PCにしても首都と地方の格差は激しい。2009年に訪れたバンコクのパンティッププラザをはじめとした電脳街では、店の前にショップブランドPCを展示し、パーツ価格表を店の前に張り出すPCパーツショップばかりだった。しかし、今はバンコクのどの店もメーカー製ノートPCが主流となって、PCパーツ屋はテナント料の安い上階に追いやられている。
ところが、地方に行くとショップブランドPCを販売するPCパーツショップがまだまだ主流で、新品のPCケースにSocket 370対応CPUとマザーボードという“ヴィンテージ”PC(店頭では“リフレッシュ”PCと名づけているが)も現役で販売している。タワー型リフレッシュPC(“海賊版”ソフトウェア導入済み)は日本円にして7000円から購入できる。このような、激しく型落ちの“リフレッシュ”PCが販売されている一方で、Atomを搭載するNetbookはどこのショップでも扱っていない。これは、タイに限った話ではなく筆者が訪れた新興国のいずれでもAtomはウケが悪い。
家電にしてもバンコクでは「テレビ売り場は液晶かプラズマだけ」なのに、バンコク以外ではブラウン管もまだまだ現役だ。この状況は、「上海や北京ではみな薄型テレビ、地方は大都市でもブラウン管」だった3〜4年前の中国に近い。
バンコクと地方都市ではゲームセンターまで異なる。地方都市では、インターネットカフェを思わせるディスプレイが並んだ部屋で、PCではなくプレイステーション2で遊ぶ、いわば「プレステカフェ」が子供に人気だ。
これほどまでにIT事情の格差が激しい首都バンコクとタイの地方都市。違わないのはバンコクも地方都市も海賊版が売られまくっていることくらいなのだ。
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