同社は3D V-NANDの特徴として電力効率のよさも挙げているため、消費電力についても計測してみよう。
これまでのテストは不確定要素を排除するため、Windowsの電源プランは「高パフォーマンス」に設定していたが、ここでは電源プランを「バランス」にした状態でも測定した。電力計測には、Electronic Educational Devicesの「Watts Up? Pro」を利用している。
動作時については、Iometerのテスト中のそれぞれの電力を計測している。シーケンシャルライト時には「高パフォーマンス」で1.2ワット、「バランス」で0.8ワットとはっきり840 PROよりも下がっている。ただし、「バランス」ではランダムリードで0.3ワット、シーケンシャルリードで0.7ワットと、それぞれ840 PROよりも少し消費電力が高かった。テストしたのが量産前のサンプルということで、今後ファームウェアの更新などで改善されることを期待したい。
なお、アイドル時はデバイススリープ時の電力が大きく削減されているということだが、どちらも0.0〜0.4ワットの間で数字が変化していた。0.1ワット単位でしか計測できない計測器では両者の違いは確認できなかった。
動作時(Iometerテスト時)の消費電力 単位:ワット | ||||
---|---|---|---|---|
製品名 | Samsung SSD 850 PRO | Samsung SSD 840 PRO | ||
電源プラン | 高パフォーマンス | バランス | 高パフォーマンス | バランス |
ランダムリード(4バイト、QD1) | 2.3 | 2.1 | 1.9 | 1.8 |
ランダムライト(4バイト、QD1) | 2.5 | 2.5 | 2.5 | 2.5 |
シーケンシャルリード(64Kバイト) | 3.8 | 3.6 | 3.2 | 2.9 |
シーケンシャルライト(64Kバイト) | 3.5 | 3.3 | 4.7 | 4.1 |
参考までに、電源プランを変えた際のCrystalDiskMarkとPCMark 7のスコアも掲載しておく。CrystalDiskMarkでは電源プランをバランスにすることで、特にシーケンシャルリード/ライトや、QD1ランダムリードのスコアが落ちた。一方のPCMark 7ではほとんど落ちていない。
CrystalDiskMark 3.0.3(1000Mバイト/5回) 単位:Mバイト/秒 | ||||
---|---|---|---|---|
製品名 | Samsung SSD 850 PRO | Samsung SSD 840 PRO | ||
電源プラン | 高パフォーマンス | バランス | 高パフォーマンス | バランス |
シーケンシャルリード | 549.7 | 524.8 | 543 | 510.8 |
シーケンシャルライト | 522.3 | 497.4 | 523.2 | 494.1 |
512K リード | 417.9 | 411.2 | 457.8 | 445.3 |
512K ライト | 482.5 | 480.8 | 484.7 | 471.2 |
4K リード | 41.55 | 33.88 | 40.03 | 33.46 |
4K ライト | 140.40 | 139.80 | 132 | 129.8 |
4K QD32 リード | 403.5 | 403.2 | 402 | 401.7 |
4K QD32 ライト | 366.3 | 366.1 | 366.3 | 364.9 |
PCMark 7 1.4.0/Raw Second Storage score | ||||
---|---|---|---|---|
製品名 | Samsung SSD 850 PRO | Samsung SSD 840 PRO | ||
電源プラン | 高パフォーマンス | バランス | 高パフォーマンス | バランス |
Raw Secondary Storage score | 8026 | 7994 | 7423 | 7356 |
Windows Defender(Mバイト/秒) | 86.04 | 85.94 | 80.44 | 80.21 |
importing pictures(Mバイト/秒) | 154.49 | 151.95 | 145.93 | 150.23 |
video editing(Mバイト/秒) | 331.77 | 329.29 | 290.91 | 289.12 |
Windows Media Center(Mバイト/秒) | 425.91 | 425.8 | 346.61 | 345.43 |
adding music(Mバイト/秒) | 161.04 | 164.69 | 152.68 | 154.71 |
starting applications(Mバイト/秒) | 136.34 | 134 | 137.93 | 136.74 |
gaming(Mバイト/秒) | 171.26 | 169.96 | 163.87 | 150.69 |
以上、Samsung SSD 850 PROの性能をテストした。今回はNANDフラッシュメモリの改良がメインだが、インタフェースがこれまでと同じSerial ATA 6Gbpsなので、性能面の改善はかなり地味といえる。それでも、QD1の4Kランダムリード/ライトを中心に改良をしてきており、その効果は確認できた。
消費電力についても、ライト時の電力ははっきりと減っており、3D V-NANDが持つポテンシャルの片鱗(へんりん)は伺えるテスト結果といえる。
840 PROのユーザーがあえて乗り換える価値があるかどうかは微妙だが、公称のTBWが2倍以上になっており、10年もの長期保証を実現した点も大きな魅力だろう。Serial ATA 6Gbpsインタフェースで最速クラス、かつ高信頼性を備えたプレミアムなSSDとして、840 PROに代わって、2.5インチフォームファクタの主力SSDとして活躍するに違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.