「Samsung SSD 850 PRO」徹底検証――“3D V-NAND”で10年保証を実現した先進SSDの実力は?SATA 6Gbps SSDの限界へ(4/4 ページ)

» 2014年07月04日 11時30分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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消費電力

 同社は3D V-NANDの特徴として電力効率のよさも挙げているため、消費電力についても計測してみよう。

 これまでのテストは不確定要素を排除するため、Windowsの電源プランは「高パフォーマンス」に設定していたが、ここでは電源プランを「バランス」にした状態でも測定した。電力計測には、Electronic Educational Devicesの「Watts Up? Pro」を利用している。

 動作時については、Iometerのテスト中のそれぞれの電力を計測している。シーケンシャルライト時には「高パフォーマンス」で1.2ワット、「バランス」で0.8ワットとはっきり840 PROよりも下がっている。ただし、「バランス」ではランダムリードで0.3ワット、シーケンシャルリードで0.7ワットと、それぞれ840 PROよりも少し消費電力が高かった。テストしたのが量産前のサンプルということで、今後ファームウェアの更新などで改善されることを期待したい。

 なお、アイドル時はデバイススリープ時の電力が大きく削減されているということだが、どちらも0.0〜0.4ワットの間で数字が変化していた。0.1ワット単位でしか計測できない計測器では両者の違いは確認できなかった。

動作時(Iometerテスト時)の消費電力 単位:ワット
製品名 Samsung SSD 850 PRO Samsung SSD 840 PRO
電源プラン 高パフォーマンス バランス 高パフォーマンス バランス
ランダムリード(4バイト、QD1) 2.3 2.1 1.9 1.8
ランダムライト(4バイト、QD1) 2.5 2.5 2.5 2.5
シーケンシャルリード(64Kバイト) 3.8 3.6 3.2 2.9
シーケンシャルライト(64Kバイト) 3.5 3.3 4.7 4.1
動作時(Iometerテスト時)の消費電力

 参考までに、電源プランを変えた際のCrystalDiskMarkとPCMark 7のスコアも掲載しておく。CrystalDiskMarkでは電源プランをバランスにすることで、特にシーケンシャルリード/ライトや、QD1ランダムリードのスコアが落ちた。一方のPCMark 7ではほとんど落ちていない。

CrystalDiskMark 3.0.3(1000Mバイト/5回) 単位:Mバイト/秒
製品名 Samsung SSD 850 PRO Samsung SSD 840 PRO
電源プラン 高パフォーマンス バランス 高パフォーマンス バランス
シーケンシャルリード 549.7 524.8 543 510.8
シーケンシャルライト 522.3 497.4 523.2 494.1
512K リード 417.9 411.2 457.8 445.3
512K ライト 482.5 480.8 484.7 471.2
4K リード 41.55 33.88 40.03 33.46
4K ライト 140.40 139.80 132 129.8
4K QD32 リード 403.5 403.2 402 401.7
4K QD32 ライト 366.3 366.1 366.3 364.9
電源プランを変更した場合のCrystalDiskMark 3.0.3スコア(データサイズ1000Mバイト/5回)
PCMark 7 1.4.0/Raw Second Storage score
製品名 Samsung SSD 850 PRO Samsung SSD 840 PRO
電源プラン 高パフォーマンス バランス 高パフォーマンス バランス
Raw Secondary Storage score 8026 7994 7423 7356
Windows Defender(Mバイト/秒) 86.04 85.94 80.44 80.21
importing pictures(Mバイト/秒) 154.49 151.95 145.93 150.23
video editing(Mバイト/秒) 331.77 329.29 290.91 289.12
Windows Media Center(Mバイト/秒) 425.91 425.8 346.61 345.43
adding music(Mバイト/秒) 161.04 164.69 152.68 154.71
starting applications(Mバイト/秒) 136.34 134 137.93 136.74
gaming(Mバイト/秒) 171.26 169.96 163.87 150.69
電源プランを変更した場合のPCMark 8 2.0.228/StorageテストにおけるStorage bandwidthスコア

性能向上は地味だが、3D V-NANDのポテンシャルを見た

 以上、Samsung SSD 850 PROの性能をテストした。今回はNANDフラッシュメモリの改良がメインだが、インタフェースがこれまでと同じSerial ATA 6Gbpsなので、性能面の改善はかなり地味といえる。それでも、QD1の4Kランダムリード/ライトを中心に改良をしてきており、その効果は確認できた。

 消費電力についても、ライト時の電力ははっきりと減っており、3D V-NANDが持つポテンシャルの片鱗(へんりん)は伺えるテスト結果といえる。

 840 PROのユーザーがあえて乗り換える価値があるかどうかは微妙だが、公称のTBWが2倍以上になっており、10年もの長期保証を実現した点も大きな魅力だろう。Serial ATA 6Gbpsインタフェースで最速クラス、かつ高信頼性を備えたプレミアムなSSDとして、840 PROに代わって、2.5インチフォームファクタの主力SSDとして活躍するに違いない。

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