GM204では、ビデオエンジンも大幅に強化している。NVIDIA上級副社長のジョナ・アルベン氏は「GM204では、H.265(HEVC)エンコードのほかにも、HDMI 2.0に対応し、4K 60Hz表示や5K表示もサポートする」と説明する。
GeForce GTX 980のリファレンスデザインでは、Display Port×3、HDMI×1、Dual Link DVI×1の5つのディスプレイ出力端子を備え(同時利用可能なのは4出力まで)、DisplayPort MSTハブなどを利用することで、最大7画面出力を可能にするほか、Display Portでは最大5120×3200ピクセル/60Hzの5K出力もサポートする。
また、HDMIは2.0に対応し、“4:4:4”のアナログRGB出力もサポート。DisplayPort出力と組み合わせて、最大4画面の4K出力が可能になった。さらに、GM204に統合したH.265ビデオエンコーダは、従来のH.264ビデオエンコーダに比べて2.5倍のスループット性能を持ち、4Kビデオを60fpsでエンコードできるようになる。
NVIDIAは、このGM204を採用するGPUとして、GeForce GTX 980とGeForce GTX 970を発表した。PCパーツベンダーもこれらのGPUを搭載したグラフィックスカードの販売を開始する。GeForce GTX 980とGeForce GTX 970の基本仕様は以下の通りだ。
GPU | GeForce GTX 980 | GeForce GTX 970 |
---|---|---|
SM | 16 | 13 |
CUDAコア | 2048 | 1664 |
ベースクロック | 1126MHz | 1050MHz |
GPU Boostクロック | 1216MHz | 1178MHz |
テクスチャユニット | 128 | 104 |
テクセルフィルレート | 144.1Gtexels/sec | 109.2Gtexels/sec |
L2キャッシュ | 2MB | 512KB |
メモリクロック | 700MHz | 700MHz |
メモリ帯域 | 224GB/sec | 224GB/sec |
メモリインターフェース | GDDR5 256bit | GDDR5 256bit |
ROP | 64 | 64 |
TDP | 165W | 145W |
最上位モデルのGeForce GTX 980でも、TDPがGeForce GTX 680より低い165ワットで、グラフィックスカードの外部補助電源用コネクタ構成が6ピン×2基構成となっている。にもかかわらず、NVIDIAが公開した資料によれば、グラフィックス処理性能は、GeForce GTX 680の2倍以上で、Maxwellアーキテクチャの採用により、同社の目標通りに省電力化と高性能化を両立したことになる。
NVIDIAでは、「GeForce GTX 980やGeForce GTX 970は、省電力性に優れるだけでなく、オーバークロック耐性も高い」と述べ、PCパーツベンダーから、パワフルなオーバークロックモデルが登場する見通しであることを示唆している。実際に、GeForce GTX 670を採用したグラフィックスカードで、PCパーツベンダーが独自に設計したオーバークロックモデルを発表する予定だ。
実売予定価格は、GeForce GTX 980が549ドル、GeForce GTX 970が329ドルと見込んでいる。ただし、日本市場では、米国における実売予想価格から高めの価格設定になっているようだ。なお、NVIDIAでは、GeForce GTX 780 Ti /GeForce GTX 780 /GeForce GTX 770は在庫限りで、出荷停止となることも発表している。
NVIDIAの個人向けGPUで新しいフラグシップモデルとなる「GeForce GTX 980」は、高性能化と省電力化を両立させただけではなく、4Kゲーミングを廉価な1080pディスプレイでも楽しめるようにして、HDMI 2.0サポートによる4K/60Hz出力や、H.265エンコード機能に対応するなど、これまでのグラフィックスカードにない特徴を備えている。ゲームユーザー以外にも高い処理能力をエンドユーザーに提供してくれるGPUとなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.