大解説! Mantleは死なず、ただ進化するのみDirectX 12は脅威なのか(2/2 ページ)

» 2014年12月18日 17時54分 公開
[本間文,ITmedia]
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ARMにとって有力なゲームプラットフォーム構成技術となるか

 Mantleには、もう1つの副産物がある。それは、省電力化にも効果があるということだ。クドリ氏は「Mantle対応によってCPU負荷を軽減できるほか、より効率的にGPUを利用することで、省電力化も果たせる」と語る。

 Mantle対応のゲームエンジン「Nitrous」を開発しているOxideでは、ゲームシーンによって20〜30%の省電力化を実現すると説明する。また、クドリ氏は「将来的にはMantleを1ワットからキロワット規模まですべてのプラットフォームに活用できるようにしたい」と、携帯端末やHPCへの展開も視野に入れる。

 AMDはすでに、“Project Sky Bridge”と呼ぶ、x86系、または、ARMコアを搭載した2種類のAPUを共通プラットフォームで展開する構想を計画している。Project Sky Bridgeで共通のグラフィックスAPIとしても、Mantleに注目している。

 AMDは、Mantle APIを自社で独占するのではなく、ARM陣営はもとより、IntelやNVIDIAでも採用できるオープンスタンダードとして展開する意向だ。IntelやNVIDIAがMantleを採用する可能性は低いが、ローレベルAPIの整備が遅れ気味のARMプラットフォームにおいて、その魅力は大きい。

 一方、ゲーム開発者からは、MantleのLinux対応に関する要望も大きい。DirectX 12の発表により、また、しばらくはWindowsがPCゲームの基幹プラットフォームとなることは明らかだが、“ポストWindows”のゲームプラットフォームを模索するベンダーも多く、SteamOSやChromeOSなどのLinuxベースのシステムで、ストリーミングゲームではプレイしづらいFPS(First Person Shooting)などのゲームタイトルが動く環境が求められているのも事実だ。

 開発リソースの問題から、急激な進化は期待できないものの、AMDは、DirectX 12後も睨んで、Mantleをさらに進化させていく考えでいることだけは確かだ。

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