PC USER Pro

「Windows 10 Anniversary Update」のスタートダッシュが遅れている理由鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

» 2016年09月01日 07時30分 公開
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 Windows 10では2回目の大規模アップデート「Anniversary Update(1607)」が2016年8月2日に配信され、間もなく1カ月が過ぎようとしている。しかし、8月下旬になっても「手元のPCにAnniversary Updateの更新案内が届かない」という声がネットには散見された。なぜこうしたユーザーが少なからず存在するのだろうか。

Windows 10 Windows 10の公開から1周年を記念した大型アップデートが「Anniversary Update(1607)」だ

低すぎる? Anniversary Updateの最新シェア

 米Windows Centralが8月24日(米国時間)にAdDuplexの最新データを引用して報じているが、Windows 10におけるバージョン別シェアの集計では、2015年11月に配信された「November Update(1511)」が77.2%で最大勢力を占め、Anniversary Updateの比率はまだ16.2%だ。

 この最新データはAdDuplexのサイトでも確認できる。配信開始から3週間時点となる8月22日の集計ではあるものの、Anniversary Updateのシェアは2割にも満たない。アップデート直後に判明することが少なくない不具合回避のために旧バージョンのまま据え置くユーザーが一定層いるのは理解できるが、それでも低すぎる。

Windows 10 AdDuplexが8月24日に公開したWindows搭載デバイスに関する最新調査報告。Windows 10のバージョン別シェアに触れている(出典:AdDuplex)

 Windows Centralでは明確な理由は不明ながらも、こうしたユーザーのほか、「多くの旧世代PCにはいまだAnniversary Updateのアップデート通知が届いていない」という推測を立てている。Windows 10をプリインストールした最新PCには優先してAnniversary Updateが提供されている一方、旧世代のPCは後回しにされる傾向があるという。

 その意図としては、Microsoftが製品の安定性を重視し、ドライバやソフトウェアの安定性を確認した後に順次アップデートの提供を開始していることにあるようだ。メーカー製PCであればメーカー側の検証が完了するまではAnniversary Updateの配信を見送り、自作PCであれば旧世代のパーツが含まれている場合にやはり優先配信ターゲットから外れてしまう。

 そのため、複数台のPCを所持している場合、Anniversary Updateが降ってくるPCとそうでないPCとが混在する可能性がある。

Anniversary Updateは公開直後にトラブルも

 このことはネット上のユーザーフォーラムでも多数の報告が上がって検証が進んでおり、例えばRedditなどでも同様の症状を抱えるユーザーらの投稿が複数確認できる。また、もし当該ユーザーがNovember Updateにアップデートした直後だった場合、「30日間はAnniversary Updateがダウンロードされないようロックがかかる」という話も紹介されている。

Windows 10 Redditでの「Anniversary Updateがまだ配信されない」というトピックの例。このほか、Anniversary Updateについては不具合を含め、多くの報告が散見される

 一方で、Anniversary Updateの配信直後からアップデート後に一部でPCがフリーズするようになったという報告もあり、Microsoftがその対応に追われるなど、まだ安定性が十分確保できていないとみられる部分も大きい。

 8月23日にはPowerShellの機能を無効化する不具合を直す「KB3176934」が配信されており、こうした理由から安定性が高まるまでの間、しばらくアップデートを控えるというユーザーがそれなりにいても不思議ではない。

自己責任だが手動アップデートも可能

 日本マイクロソフトにAnniversary Updateの提供状況を確認したところ、「詳細は公開していないものの、状況を見ながら順次展開を進めている」というコメントを得た。

 もし、Anniversary Updateで提供される新機能を早めに利用したいというユーザーで、いまだ手元のPCにWindows Update経由での配信がない場合、手動でのアップデート手段が提供されているので、公式ページから作業してほしいという。

 自己責任での作業となるが、「どうしてもAnniversary Updateを試したい」というユーザーは、手動でのアップデートにトライしてみてはいかがだろうか。

Windows 10 「Windows 10の更新履歴」というページでは、ユーザーが手動でAnniversary Updateを強制適用するボタンが用意されている。なお、同ページでは過去の累積アップデートの提供履歴が紹介されているが、日本語版ページでは若干更新ラグがある関係で、必ずしも最新の情報にはなっていない

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  7. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  8. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  9. 日本HP、“量子コンピューティングによる攻撃”も見据えたセキュリティ強化の法人向けPCをアピール (2024年03月28日)
  10. そのあふれる自信はどこから? Intelが半導体「受託生産」の成功を確信する理由【中編】 (2024年03月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー