知っておくと身を助ける、公衆電話の基礎知識防災・防犯ラボ(2/2 ページ)

» 2011年08月31日 10時40分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]
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NTTは、公衆電話の設置場所を教えてくれない

 公衆電話の設置場所も、NTTのWebサイトで公開されているのだろうと思ってアクセスしてみると、それらしき情報は見つかりません。

 不思議に思って、再度問い合わせてみたら「公衆電話の設置場所は、一切公開しておらず、教えることもできません」と言われてビックリ。え、そういうものなんですか。公衆って呼ばれるくらいだから、てっきりオープンな情報だと思っていました。

 非公開の理由を尋ねましたが「まあ、最近は携帯電話も普及していますから……」との回答。うーん、それ回答になってないですけど……。

頼りになるのは、ソーシャルサイト

 どこか公衆電話の設置場所を教えてくれるサイトはないものかと、いろいろ探して見つけたのが「公衆電話チズ」。最近はやりのソーシャルの力を利用して“ユーザー同士で全国の公衆電話の場所をマッピングしていこう”というプロジェクトだそうで、2007年から続いている個人運営のWebサイトです(NTTは関与していません)。

 地図をスクロールするだけで、登録している公衆電話がアイコンとなって次々に現れます。アイコンをクリックすると、地図の住所、写真、登録者も確認可能。デフォルト表示はGoogle Mapですが、Yahoo!地図の表示に切り替えることもできます。使い慣れたインタフェースで使えるわけですね。

iPhoneアプリ「公衆電話マップ」(85円)

 ユーザー登録をすれば、誰でも公衆電話の場所を登録できますが、閲覧だけの利用ももちろんOK。試しに職場と自宅周辺の地図をチェックしてみると「あ、こんな場所にあったんだ!」とか「(自宅周辺の)住宅街にはあまり設置してないな。最寄りの公衆電話までけっこう歩くことになるなあ」ということが分かりました。

 2011年8月時点の登録数は8万5000強なので、全体(25万2775台)のカバー率は3割強です。また、ソーシャルサイトの宿命として、アップデートにタイムラグが生じる可能性はあるものの、十分役に立つ情報だと思います。

 ただ、公衆電話チズはスマートフォンには対応していないようです(閲覧は可能)。その代わり「公衆電話マップ」(85円)という別のiPhoneアプリを見つけましたよ。


時代遅れの料金体系に驚き

 設置場所が非公開であることに加え、もう1つ驚いたのが、公衆電話の料金体系です。NTTは東日本も西日本も同一の料金体系なのですが、これが意外に高額(維持運営費用との兼ね合いもあるのでしょうが)。

 「距離が離れるに比例して秒単位の料金が上がる」料金体系を採用していて、9つの区分に分かれています。

公衆電話料金(NTT東西)

  • 区域内
  • 隣接区域内及び20キロまで
  • 20〜30キロまで
  • 30〜40キロまで
  • 40〜60キロまで
  • 60〜80キロまで
  • 80〜100キロまで
  • 100〜160キロまで
  • 160キロ以上

 区域内だと3分30円とリーズナブルですが、160キロを越えると、平日昼間(8:00〜19:00)の場合で3分210円とイッキに7倍です。基本料に無料通話時間が含まれたり、ただ友や家族間通話無料といった携帯電話の料金プランに慣れた身からすると、電電公社的と言ったらいいのか昭和的と言ったらいいのか昔から変わらない印象を受けます。

まとまった小銭を用意しておこう

 もっとも、東日本大震災ではNTT東日本管轄エリア17都道県で公衆電話無料化が実施されたように、災害時は無料で使える場合もありますが、やはり小銭の準備はしておきたいもの。最低でも1000円分くらいの硬貨とテレホンカード数枚は、防災袋に入れておいてもいいかもしれません。

 まずは、身の回りの公衆電話の設置場所の確認から、始めてみてはいかがでしょうか?

今回の研究成果
サイト名 内容
公衆電話インフォメーション NTT東日本の公衆電話情報サイト。公衆電話の種類や機能、テレホンカードの解説などを掲載している。
公衆電話料金表 NTT東日本の公衆電話料金表。なお、西日本と東日本は同一の料金体系。
災害時の電話利用方法 社団法人電気通信事業者協会による災害用伝言ダイヤル171、災害用ブロードバンド伝言板(web171)、ケータイ「災害用伝言板」の利用方法の解説。
災害時優先通信について 総務省による、「災害時優先通信」の解説。FAQもある。
日本の公衆電話 Wikipediaより。公衆電話の歴史や種類(画像付き)について詳しい。
公衆電話チズ 「みんなで公衆電話の場所をマッピングしていこう」というプロジェクト。2011年8月末時点の登録台数は8万5520台。
公衆電話マップ 現在地付近の公衆電話ボックスを探せるiPhoneアプリ。85円。

著者紹介:中山順司(なかやま・じゅんじ)

 シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。

 2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。


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