すべてで「これぞG'zOne」を目指して──10年目で到達した「原点回帰」:開発陣に聞く「G'zOne TYPE-X」(2/3 ページ)

» 2010年12月13日 09時30分 公開
[青山祐介,ITmedia]

モチーフはシリーズで一番光り輝く「TYPE-R」

photo カシオ計算機 デザインセンター プロダクトデザイン部 第四デザイン室 池津早人氏

── 原点回帰のコンセプトは、デザインではどういったところに現れているのでしょうか。

池津氏 圧倒的な存在感、パッと見の迫力とか個性でしょうね。他のケータイと並んだときに「すごいな」と手に取ってもらえるような、男ゴコロをくすぐるワクワク感を表現しました。

── 過去のモデルでイメージしたモデルはありますか?

奈良氏 やはり「G'zOne TYPE-R」ですね。歴代のG'zOneシリーズの中で一番光り輝いていたのはTYPE-Rだと我々も感じていますし、そう言ってくれるユーザーも多い。だからTYPE-Rの持っているデザインモチーフを現代風にリファインしました。例えばサークルベゼルしかり、カスタマイズプロテクターもTYPE-Xではプロテクションアンテナに、緑、赤、黒というカラバリも、金属感や輝度感を与えて現代風に磨きをかけていますが、基本的な色相は同じです。TYPE-Rユーザーが納得できるものにしたかったのです。

── TYPE-Rはモータースポーツがテーマでしたが、TYPE-Xもテーマは同じなのでしょうか。

池津氏 今回もレースマシンのエンジンフードのダイナミックな形や、フードを開けたときに見えてくるダイナミックな形をモチーフにしています。キーはエンジンのシリンダーヘッドブロックをイメージしました。キーの周囲は凹凸のある荒い表現にして、見た目の強さとグローブをした手でも操作しやすい機能性を兼ね備えています。

奈良氏 W62CAとCA002では薄さを優先してシートキーを選びましたが、TYPE-Rのころに回帰したいという思いで、しっかりした操作感のあるプラキーを採用しました。厚さとクリック感はトレードオフの関係ですが、今回は機構設計の安田にとても苦労してもらいながら、厚さを増やさずにクリック感を得られました。

── 今回は大きなバンパーの中にアンテナが入っていて、ストラップホールも兼ねていますね。

佐合氏 電波が入りやすく、かつ持ち手の影響を受けにくい方法をいろいろ検討しました。ロッドアンテナも考えましたが、それはやはり今の時代にそぐわない。そこでW42CAでヒンジ側のバンパーの中にアンテナが入っていたのですが、これを参考にしました。

池津氏 当初はここに直接金具を取り付けて首から下げられるようにするといったことも考えました。しかし、ヒンジ部にはアンテナがあるため金属が使えません。そこでいろいろなストラップを着脱できるというコンセプトを生かす形で、「G'zOne TYPE-X用ストラップセット」を用意しました。

photophoto 先端のプロテクターにはメインアンテナを内蔵している(写真=左)ほか、ストラップホールも備えている(写真=右)
photo 別売のG'zOne TYPE-X用ストラップセット

── TYPE-Xのデザインはいちファンとして私もこれぞG'zOneだと思いますが、デザイナーとしては特に訴えるポイントはありますか?

池津氏 「TYPE-Rユーザーの方々、お待たせしました」と申し上げたいですね。さらにTYPE-Rを知らない若い世代の方や、ガジェット好き、メカ好きの方にも使っていただきたい。また、私は好きな時計や道具は、よく全方向なめまわすように見ることがあります。TYPE-Xはぜひそうやってなめ回して眺めてください。

photo 滑り止めを兼ねたトレッドパターンやスクリューバッテリーロックをあしらうなど、裏面のデザインと機能性にもこだわった

奈良氏 最近のほかのケータイは表側こそそれなりにこだわっているのですが、ヒンジ方向や横など正面以外を見ると、あまり処理されていないように思います。これだけいろいろなケータイが出てくると、アイキャッチになる部分に力を入れるのは分からなくもないですが、我々はそういうことはしたくない。ぜひ裏側、側面などすべての方向から見ていただきたいですね。

 今の日本のケータイは、本当に個性がなくどれも同じに見えてきます。特にスマートフォンは画面だけでプロダクトとしての楽しさが出しにくい。画面の中で行われる“こと”に関心が移って、“もの”を所有する喜びが失われているように感じます。そういう意味でもフィーチャーフォンはプロダクトデザイナーとしてはものすごくやりがいがあります。TYPE-Xは長く使い込んでいくうちに、じわじわ伝わってくる愛着を持ってもらえるようなデザインを心がけていますから、ぜひそういう部分を感じてもらえると嬉しいですね。

グローブを着用しても使えるプラキー

photo NECカシオモバイル 第二商品開発本部 第二構造設計グループ 主任 安田晋也氏

── 機構面では今回から耐衝撃性能にMIL規格をうたっていますが、仕様的に何かこれまでと変わったところがあるのでしょうか。

安田氏 実は今までのモデルでも今回と同じMIL規格をうたえるだけの実力は備えていましたが、利用シーンを加味するとうたいにくいという事情がありました。しかし、防水が一般化するなかでタフネスをうたうには、そのくらいのスペックはあります、とあらためてアピールする意味で今回掲げました。これまでと耐衝撃の仕様が変わっているわけではありません。

 ただ、液晶やバッテリーが大きくなったことで苦労はしました。これまでのG'zOneは、液晶やカメラの性能はトレンドとされるスペックよりは劣っていましたから。設計者としては薄くて軽い方がタフネス端末としては開発しやすく、バッテリーや液晶が重くなるのは逆に負担が大きくなります。特にヒンジや液晶周りの強度には苦労しましたね。

── ヒンジやディスプレイの部分には具体的にどんな工夫をしていますか?

安田氏 まずヒンジですが、これまでキー側とディスプレイ側を結ぶケーブルには、フレキタイプを使っていました。でも、CA005からは同軸細線を採用しています。そうなるとヒンジの片側が同軸細線で埋まってしまうので、ヒンジユニットが片側1つしか入りません。そこでダミーのヒンジを使います。CA005ではこのダミーのヒンジがプラスチックでしたが、TYPE-Xの重さでは耐えられずに破損してしまうので、新たにMIM(Metal Injection Mold)という金属素材で支えています。

 凹凸感を付けたいというデザイン側の要求に応えるには、中身を薄くする必要があります。そこでディスプレイの厚さを抑えるために、強化ガラスと液晶パネルが一体になったものを使いました。実はCA005でも同じタイプの素材を使っていましたが、それはガラスの厚さが薄いもので、TYPE-Xではタフネスということでガラスを厚くしています。また、ディスプレイ側には、W62CAやCA002で全体的に剛性感が足りないという指摘があったので、マグネシウムのフレームを入れました。

── 今回はプラキーが復活しましたね。

安田氏 やはりシートキーでは薄いものを押しているので、全体的にたわんで押し感が悪くなってしまいます。デザイン側からはTYPE-Rのような押し感を実現してほしいという要求がありました。そこでベースはシートキーに近い構造で、その上にプラキーを貼り付けてカバーを被せ、さらにキーの凸量を調整することでプラキーのしっかりした押し感を演出しました。キーにも凹凸感があって押しやすくなっていると思います。

photophotophoto 凹凸感のあるキーを採用した(写真=左)。キーの表面(写真=中)と裏面(写真=右)
photo NECカシオ 第二商品開発本部 ハード管理・カメラ技術部グループエキスパート 猪俣真一氏

── アンテナはすべてバンパーの中に入っているのですか?

猪俣氏 バンパーの中にあるのは通話用のメインアンテナだけで、それ以外にヒンジ側に通話用のサブアンテナ、ワンセグアンテナ、BluetoothとWi-Fiの共用アンテナがあり、さらにFeliCaアンテナ、GPSアンテナと、これらのアンテナを詰め込むのに苦労しました。アンテナにはそれなりの体積が必要なので、デザインと機構上の問題どちらを優先するかのせめぎ合いです。さらに落下したときには基板にストレスがかかるので、設計上でもシミュレーションはしますが、最終的には実際にテストしてみて不具合が出たらまたやり直す、という繰り返しでした。

photophoto G'zOne TYPE-Xのパーツ(写真=左)。こちらは基板(写真=右)
photophoto 矢印上からワンセグアンテナとサブアンテナ(写真=左)。矢印のバッテリー部周囲の赤い線がFeliCaアンテナ(写真=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月11日 更新
  1. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  2. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
  3. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  4. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
  5. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  6. 「iPhone 18 Pro Max」を試して分かった進化と課題 想像以上に“使えた”可変絞り搭載カメラ (2026年10月09日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. ドコモが「Google Pixel 10a(256GB)」を11万6930円に値上げ 2年7万円台に (2026年10月09日)
  9. 「iPhone Duo」は閉じても開いても迷わず使える Appleが提示するUIの設計思想 (2026年10月10日)
  10. POCO F9 Ultraのベースモデル「REDMI K100 Pro Max」はバッテリー容量とカラバリに違いがある (2026年10月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー