オンラインサービスを使って、スケジュールやメールをデスクトップPCとスマートフォンで共有管理。街角で目撃した出来事を画像とともにSNSへ放流。知らない街を歩くならオンラインマップとナビゲーションサービス。スマートフォンを使わずには街も歩けない現代人だ。となると、日本だけでなく海外でも使わないわけにはいかない。否! わけの分からない海外だからこそスマートフォンで使うオンラインサービスは必須!
そして、仕事で海外に赴くビジネスマンとしては、これから述べる理由が実は重要で致命的。海外のホテルでは、自前でネットワーク回線を提供しているが、これが、夜になると重くて使い物にならない。これで、24時間で10ドル前後の料金がかかる。しかも従量制ではなく時間単位で課金されるため、使えなくてもコストがかかってしまう。使えなければ無駄金だ。
こういうとき、スマートフォンをモデム代わりにしてPCのネットワークインフラとして使うのも有効だ。料金プランと滞在日数にもよるが、ホテルのネットワークサービスよりも安く済んで、しかも、確実にネットワークが利用できるという利点は大きい。
……というわけで、今回は2011年1月に2011 International CESの取材で訪れた米国ラスベガスで、「プリベイドSIMカードを購入してスマートフォンでデータ通信をした」ときの話をしよう。
ラスベガスというと、日本からの観光客も多く、プリベイドSIMカードに関する情報も多いと思いきや、最新動向となるとこれが意外と紹介されていない。米国で使えるプリペイドのデータ通信サービスは、AT&TやVergin Mobile、Verizon Wireless、T-Mobile、そして、そのほかにも多数のMVMO業者などが用意していて、プリベイドデータ通信端末(USB接続のデータ通信モジュールが多い)を利用するのが一般的だ。
ただ、「自分で用意したSIMロックフリーのスマートフォンで利用したいから、SIMカードだけを購入したい」となると、これが意外と難しい。日本では米国のプリベイドSIMサービスとしてAT&Tがよく紹介されている。ただ、2011 International CESの期間中では、AT&Tによるデータ通信は非常に重いという声が多かった(これは、米国でAT&Tだけが扱っているiPhoneシリーズのユーザーが“世界中から”ラスベガスに集結して、AT&Tの回線に殺到したという事情も影響している)。
そこで、気になるのがT-MobileのプリペイドSIMカードだ。T-Mobileのプリペイドサービスは日本でも個人の体験談をはじめとしていくつか紹介されているが、スマートフォンを使ったデータ通信については、ほとんど情報が提供されていない。実際にラスベガスで情報を集めても、AT&TやモバイルWiMAXを利用しているユーザーは多いが、T-Mobileを利用しているユーザーはほとんどいない。なぜだ?
この理由の1つに、データ通信で利用できるSIMカードを単体で購入するのがちょっと面倒、という事情がある。SIMロックフリーのスマートフォンで運用すべく、データ通信で使えるSIMカードを単体で購入しようと、ラスベガス市内のBest Buyや、街の中心部にある携帯電話ショップを訪れても、プリペイドSIMカードを単体で扱っていない。そこで、現地で出会った某氏、いや、その徳の高そうな風貌からここでは“坊氏”と呼ぶことにした日本人に相談した。
「そりゃ、T-MobileのプリペイドSIMカードはBest Buyで買えませんよ」
「ほっほう。それでは、どこなら買えますか」
「直営店ですね。T-MobileのWebページに、ショップの場所を検索して表示する機能(Store Locator)があるから、そこに、宿泊しているホテルの名前とZip Code(郵便番号)を入力してみれば見つかりますよ」
プリペイドSIMカード単体は、T-Mobile直営店でのみ取り扱っている。ラスベガスにT-Mobile直営店はいくつかあるが、そのいずれもが、公共交通機関と徒歩で到達できる場所にない。
「そういうわけで、観光客がT-Mobile直営店に行くのはハードルが高いのです」
「ふーむ。どうすればいいですかね?」
そのため、モノレール、または、“Deuce”と呼ぶ観光客が利用しやすいバスで、最寄りの駅かバス停まで行き、そこから、タクシーで移動することになる。
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