ウィルコムの主な音声向け料金プランは、「新ウィルコム定額プラン」「新ウィルコム定額プランS」の2つで、いずれもウィルコム同士の通話は24時間無料、Eメールは誰と送受信しても無料という特長を持つ。また、これら2つのプランのいずれかに申し込んでいれば、月額980円で1回あたり10分以内の国内通話を月500回まで無料でかけられる「だれとでも定額」が利用できる。
新ウィルコム定額プランは基本料金(月額2900円)は高いが通話料金が安く、新ウィルコム定額プランSは基本料金(月額1450円)は安いが通話料金が高い。ウィルコム同士の無料通話だけで済ますなら、通話料金は無視できるので新ウィルコム定額プランSの一択になるが、通話先によっては、だれとでも定額に申し込んで通話が10分を超えた後にかけ直すよりは、通話料金を払った方がいいという人もいるだろう。こういった場合、どちらの料金プランを利用するか悩ましい。
また、新ウィルコム定額プランと新ウィルコム定額プランSは、割引内容が少し異なり、前者だけが「ファミリーパック」で基本料金が割り引かれる。新ウィルコム定額プランを同一または家族名義で2回線以上契約した場合、2回線目以降は基本料金が月額700円割り引かれ、月額2200円になる。なお、新ウィルコム定額プランS/G/GSと「新つなぎ放題」はファミリーパックの割引対象ではないが、計算対象には含まれ、例えば新つなぎ放題と新ウィルコム定額プランの組み合わせでも、新ウィルコム定額プランの基本料金が2回線目として月額2200円になる。つまり1回線だけでも新ウィルコム定額プランを契約していればいいわけだ。
基本料金 | 通話料/30秒(ケータイあて) | 通話料/30秒(固定電話あて) | パケット通信料※1 | パケット通信料上限 | |
---|---|---|---|---|---|
新ウィルコム定額プランS | 1450円 | 21円 | 21円 | 0.105円/パケット | 2800円 |
新ウィルコム定額プラン | 2900円 | 13.125円 | 10.5円 | 0.084円/パケット | 2800円 |
新ウィルコム定額プラン(ファミリーパック適用) | 2200円 | 13.125円 | 10.5円 | 0.084円/パケット | 2800円 |
※1:ウィルコムEメールの送受信はパケット通信料に含まれず、すべて無料。 ※すべて年間契約が必要。更新月以外の解約には初年度4200円、以降は2100円の解除料金が必要。 ※新ウィルコム定額プランSは、加入から3年以内に解約すると、5250円の解除料金が発生する。 |
これらを踏まえて計算すると、ケータイだけに有料通話が発生した場合、有料通話が47.5分までは新ウィルコム定額プランS、48分以上では新ウィルコム定額プラン+ファミリーパックが最安となる。固定電話だけに有料通話が発生した場合、35.5分までは新ウィルコム定額プランS、36分以上では新ウィルコム定額プラン+ファミリーパックが最安になる。固定電話あての発信が多い場合に有料通話分数が少なくても、新ウィルコム定額プランSの方が割高になる可能性あるので、料金プランの選択時には注意したい。
だれとでも定額について考えるポイントの1つが、ケータイとの2台持ちで月々の料金が安くなるのかという点だろう。ブラウザやアプリなどはキャリアサービスに依存する部分が大きいので、ウィルコムで代替することは難しいが、音声通話は基本的に代替が可能だ。通話料金に頭を悩ませている人には一考の価値がある。
新たにウィルコムと契約してだれとでも定額を利用する場合、新ウィルコム定額プランS+だれとでも定額で最低月額2430円が必要になる。端末代金は約2年間の継続利用で実質0円のモデルも複数あるので無視しても構わないだろう。つまり月々の通話料金を安くしたい場合、現状で月額2430円以上の通話料金を支払っていることが前提になる。より厳密に言えば、ケータイの料金プランを安いプランに切り替えても月額980円は発生するので、現状で基本料金と(基本料金に含まれない)通話料金の合計が月額3410円以上なら、ウィルコムを新たに契約してだれとでも定額を利用するメリットがあることになる。
ここでは分かりやすくするために、料金を音声通話分だけに限定し、基本料金の割引サービスは最大限(ドコモ、auでは約50%オフ)適用したと考える。基本料金だけで3410円を超えるのはドコモでは「タイプLバリュー」か「タイプLLバリュー」、auでは「プランLシンプル」か「プランLLシンプル」になる。ドコモでタイプMバリュー、auでプランMシンプルを選んだ場合でも、無料通話分を超えて1000円程度の通話料金が発生していれば3410円を超える。ソフトバンクはホワイトプランとダブルホワイトに申し込むと、通話料金が1450円で計3410円を超える。
現在の料金プラン | 基本料金(+有料通話) | 無料通話分数 | 2台持ち変更時の基本料金差額(余剰) | 差額で有料通話可能な分数 | |
---|---|---|---|---|---|
ドコモ | タイプMバリュー+有料通話1000円 | 3625円 | 176分(1000円分の有料通話を含む) | 215円 | 10分 |
タイプLバリュー | 4200円 | 300分 | 790円 | 38分 | |
タイプLLバリュー | 6825円 | 733分 | 3415円 | 163分 | |
au | プランMシンプル+有料通話1000円 | 3625円 | 178分(1000円分の有料通話を含む) | 215円 | 10分 |
プランLシンプル | 4147円 | 262分 | 737円 | 35分 | |
プランLLシンプル | 7035円 | 800分 | 3625円 | 173分 | |
ソフトバンク | Wホワイト+有料通話2200円 | 4160円 | 104分(2200円分の有料通話を含む) | 750円 | 36分 |
Wホワイト+有料通話5000円 | 6960円 | 238分(5000円分の有料通話を含む) | 3550円 | 169分 | |
※2台持ちの基本料金は、各キャリアで長期割引などを適用して月額980円になるプランと、新ウィルコム定額プランS+だれとでも定額の月額2430円を組み合わせた計3410円を基準値とした。 ※ドコモの「タイプMバリュー」とauの「プランMシンプル」は、基本料金だけでは2台持ちの基本料金(3410円)に満たないので、無料通話分を超えて通話料金が1000円発生した場合を想定している。 |
表では、先に上げた各社の料金プランに新ウィルコム定額Sとだれとでも定額を組みわせた場合を比較している。ソフトバンクのホワイトプランには無料通話が含まれないので、ドコモとauの基本料金程度の有料通話が発生している場合を想定してある。ドコモのタイプMバリューとauのプランMシンプルでは、1000円分の有料通話が発生していると仮定している。いずれの場合でも、ウィルコムで有料通話が発生しなければ、だれとでも定額に申し込んで2台持ちした方が安い。
ちなみに、ドコモとau向けには「キャリアメールの送受信が無料」「パケット定額が自動適用」「月額780円」が特徴の料金プランも提供されており、2台持ちとする際はこちらの料金プランに切り替える手もある。ただ、無料通話が一切含まれないことを考慮すると、最大25分(最大50回発信)の無料通話が含まれる980円の料金プランの方が無難といえる。
ウィルコムが圏外のときや高速移動中などには、ケータイの音声発信が活躍する。ウィルコムの電話番号の周知が済むまでは無料通話分を活用して、ケータイへの着信をウィルコムに転送し、ウィルコムからかけ直すといった利用もできる。ちなみにウィルコムからの転送時には転送先に発信元電話番号は通知されないが、ケータイからのウィルコムへの転送では問題なく通知される。
もっとも、だれとでも定額を契約したウィルコム端末との2台持ちが料金削減に有効かどうかは、毎月の通話料金に加えて“1回あたりの通話時間”にも大きく左右される。ドコモでタイプLL、auでプランLLを選択している人の場合、1回の通話が30分ということも珍しくないだろう。新ウィルコム定額プランS+だれとでも定額で30分通話すれば、20分の超過分だけで840円もの有料通話料金が発生する。いつも30分単位で通話している人が10分ごとに電話をかけ直すという使い方はしたくないだろうから、だれとでも定額との2台持ちはしない方が得策だ。
むしろドコモでタイプMバリュー/Lバリュー、auでプランMシンプル/Lシンプルを利用している人の方が1回あたりの通話が短く、ウィルコムとの2台持ちが有効な可能性が高い。これらのプランの無料通話分を1日あたりに換算すると10分以下だ。もちろん週末に集中して通話をするという使い方もあるが、10分を超えるような長電話はまれという人もいるだろう。10分以内の通話なら、だれとでも定額は非常に有効だといえる。
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