インスタント&グループメッセージングの決定版「Facebookメッセンジャー」松村太郎のiPhone生活:ソーシャルネットワーキング

» 2011年10月21日 23時31分 公開
[松村太郎,ITmedia]
Photo 英語圏で一足先にリリースされていたが、このたび日本語版もリリースされた「Facebookメッセンジャー」

 以前ご紹介したグループメッセージングの「Beluga」がFacebookに買収されたが、このBelugaのチームがFacebookをプラットフォームにメッセージングのアプリを独立させてリリースしたのがFacebook Messengerだ。米国、カナダのAppStoreで先行してリリースされていたが、日本語版も先頃公開された。

 このアプリは、スマートフォンとソーシャルメディアでのメッセージのやりとりをよりシンプルにしてくれるのではないか、と期待している。インタフェースは非常にBelugaと似ている。Facebookにログインすると、すぐにこれまでのメッセージの履歴がFacebookから読み込まれ、以前のスレッドのメッセージからすぐに返事を始めることができる。

 こちらもBelugaのように、写真や位置情報を添付することができ、複数人のチャットの場合はチャットルームのタイトルや画像を設定することも可能だ。そしてメッセンジャーアプリを入れると、Facebookアプリのメッセージ着信時のプッシュ通知は送られてこなくなり、Messengerアプリのプッシュ通知がFacebookのチャット着信でおなじみの音で鳴るようになる。

 アプリはiPhoneだけでなくiPadにも対応し、Android版もリリースされている。

メッセージングの混乱から統合へのプロセス

 はっきり言って、現在はメッセージングの洪水の状態になっている。これまで通りのEメールはGmailのおかげでスパムから解放されつつあるが、それにしてもいつも大量のメールが「受信トレイ」に溜まり続けて、それを消化し続ける毎日を送っている。スマートフォンでPCのメールが読み書きできるようになり、スキマ時間にメールを覗くことができるようになって、少しメールの重荷が減ったようにも思えるが、使っている時間はあまり変わらない。

 そしてケータイの頃から使っているケータイメールはプライベートなメッセージングの中心的な存在だ。加えてTwitterのメンションやダイレクトメール(DM)、Facebookメール、mixiのメッセージ、さらにFacebook・Skype・Googleトークのチャットなど、メール、メッセージ、チャットと表現はさまざまだが、非常にたくさんのコミュニケーション手段に触れている。さらに、人によってつかまりやすいメディアは分かれている。自分の周辺のメッセージング環境は、実はかなり破綻状態にある。

 そういう意味ではいろいろなレベルでの融合が必要だ。例えば先般KDDIから発売されたWindows Phone 7.5搭載のスマートフォン「Windows Phone IS12T」では「People Hub」と呼ばれる機能で、GmailやFacebookのアドレス帳と統合された状態で同期できる。そしてFacebook、Twitterの最新情報は混ざった状態で表示され、サービスを気にせず返信やコメントを打つことができる。自分宛のTwitterの「通知」とFacebookの「お知らせ」も1つの字形レズで並べられる。あるいはSMSとFacebookチャットが融合され、相手がFacebookチャットでオンラインならFacebookチャットで、オフラインならSMSに自動的に切り替えて送信される。

 これがiPhoneなら、メール、メッセージ(IOS 4以前はSMS/MMS)、Facebook、Twitterとアプリそのものを切り替えながらメッセージを送る必要があり、しばしばTwitterのDMでメッセージをもらったのか、Facebookでメッセージをもらったのか、どちらに返信したのか分からなくなってしまうことがあるのだ。

 Windows Phoneのようなメッセージングの統合がOSレベルで行われたスマートフォンはこれまでなく、人を選んでから最適な方法を選ぶというプロセスは非常に理にかなっているように感じる。まさにメッセージングは現在、混乱から統合へのプロセスへ進みつつあるのだ。

 Facebook公式アプリにもチャットとメッセージの機能が備わっていたが、Facebookメッセンジャーは、それを切り出して強調するような形でリリースされたアプリである。Facebook上でメッセージとチャットが統合されているユーザーは、PCからのメッセージやチャット、スマートフォンからのメッセージなどに関係なく、すべてをFacebook Messengerで受信・返信できる。

 また同様に、FacebookのWebページからでもチャット画面やメッセージ画面で返事を書くことができるようになっており、チャットとメッセージ、というコミュニケーションサービスの違いを飲み込んで、その人とのメッセージングを行う、という目的を達成することができる。ログはFacebookのメッセージ機能1箇所に溜まり、あとから見直すことができる仕組みだ。

 このアプリを見ると、友人とのコミュニケーションをFacebookに任せても良さそうだ、という感覚になってくる。そのくらい使い勝手が良く、またメッセージングの統合に対する期待感を持つことができるアプリだ。

PhotoPhotoPhoto 一度ログインしてしまえば、Facebook上でやり取りしたことがある人が、履歴とともに表示される。Facebookのメッセージング機能だけが切り出された形だが、シンプルな使い勝手で分かりやすい
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プロフィール:松村太郎

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東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。


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