発売後8週間にわたって販売ランキングでトップに君臨するなど「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が好調だ。好調の要因の1つが「バッテリーの持ち」だろう。2320mAhという大容量のバッテリーに加え、省エネ性能に優れた「IGZO」をディスプレイに搭載したことで、シャープは「2日間充電なしで使える」とアピールしている。
気になるのが、実際にどれだけ持つかだ。最新スマートフォン徹底比較の第6回では、YouTubeの連続再生時間と24時間放置後のバッテリー残量を確認した。前者は461分(26機種中4位)、後者は14%(26機種中10位)とまずまずの結果だった。ただ、これら2つのテストでは前者はYouTube動画を再生、後者はディスプレイを常に消灯していたので、IGZOの優位性が完全に発揮されたとは言い難い。IGZOの大きな特長は、静止画表示中において、従来は画像を1秒間に60回更新していたところを、1秒間に1回の更新回数に減らせる“液晶アイドリングストップ”だ。これは例えばWebブラウザやTwitter画面をスクロール後に止めて閲覧している最中など、液晶の表示が一瞬でも止まれば有効になるので、積み重なればかなりの省エネ効果が期待できる。
そこで、同じ静止画をAQUOS PHONE ZETAとほかの端末で表示させて、どれだけバッテリーの消費に差が出るのかを検証してみた。テストしたのはZETAに加えて「AQUOS PHONE si SH-01E」「AQUOS PHONE SERIE SHL21」「GALAXY Note II SC-02E」「HTC J butterfly HTL21」の5機種。AQUOS PHONE siはCG Silicon、AQUOS PHONE SERIEはS-CG Silicon液晶システムという、異なる技術を使っているので、同じシャープ端末の中でIGZOの違いを確認できると判断。GALAXY Note IIは秋冬モデルでは最大の3100mAhバッテリーを搭載しており、バッテリー容量が勝つのかIGZOの技術が勝つのかを見たくなった。HTC J butterflyは秋冬モデルで唯一のフルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイを搭載しており、どこまでバッテリーの減りに影響があるか興味があるので選んだ。
まずは同じ画像を表示させるテストを、1月3日18時56分から東京都江東区屋内(Xiと4G LTEは圏内)にて実施した。Wi-Fi、Bluetooth、GPSはオフ、Googleの同期はオンにし、プリインアプリ以外では残量確認に使うBattery Mixのみインストールしている。バックライトの輝度は最大に統一。バックライト点灯時間はAQUOS PHONE3機種が最長30分、GALAXY Note IIが最長10分なので、消灯直前に画面をタップして点灯状態をキープさせた。HTC J butterflyは常時点灯にしてテストを続けた。
では結果を見ていこう。6時間後のバッテリー残量は、AQUOS PHONE siが22%、AQUOS PHONE ZETAが42%、AQUOS PHONE SERIEが33%、GALAXY Note IIが62%、HTC J butterflyが0%(5時間43分後に0%)だった。まずsiとZETAの比較ではZETAが概算で159分ほど長持ちすることが確認できた。SERIEとの比較では、1時間後と2時間後ではほとんどZETAと差が出なかったが、徐々に広がって最終的には9%の差(概算でZETAの方が約84分長持ち)となった。SERIEの備えるS-CG Silicon液晶システムは、液晶内に表示専用のメモリを搭載することで、CPUからのデータ転送を停止できるが、メモリから液晶への画像転送は止まらないので、ここでIGZOと差が出た。少々予想外だったのが、GALAXY Note IIが6時間後に62%も残っていたこと。今回の結果から概算すると、ZETAが約621分、Note IIが約947分でバッテリー残量が0になる。621分/947分(約1.52倍)は、2320mAh/3100mAh(約1.34倍)というバッテリー容量以上の差になっており、Note IIでも電力消費を制御する技術が有効に働いたものと思われる。
1時間後 | 2時間後 | 3時間後 | 4時間後 | 5時間後 | 6時間後 | 連続表示時間 (概算) |
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AQUOS PHONE si SH-01E | 88% | 75% | 63% | 50% | 37% | 22% | 約462分 |
AQUOS PHONE ZETA SH-02E | 91% | 81% | 71% | 61% | 51% | 42% | 約621分 |
AQUOS PHONE SERIE SHL21 | 90% | 79% | 68% | 56% | 45% | 33% | 約537分 |
GALAXY Note II SC-02E | 95% | 89% | 83% | 76% | 68% | 62% | 約947分 |
HTC J butterfly HTL21 | 85% | 68% | 51% | 33% | 15% (43分後に0%) |
− | 343分 (※実際の表示時間) |
続いて、ブラウザ表示中の消費電力も調べてみた。こちらはAQUOS PHONE ZETAとAQUOS PHONE SERIEの2機種でテスト。1月6日の8時45分から、同じく江東区屋内にてChromeでITmedia Mobileのトップページを表示し続け、6時間後までのバッテリー残量を1時間ごとにチェックした。6時間後の結果はZETAが34%、SERIEが27%だった。ZETAの方が約1.11倍持ち、約1.16倍持った画像表示テストとほぼ同じ差になった。ブラウザテストの方が2機種ともバッテリーの減りが速いのは、Chromeを起動し続けていたので、バックグラウンドでの通信が増えたためだと思われる。
1時間後 | 2時間後 | 3時間後 | 4時間後 | 5時間後 | 6時間後 | 連続表示時間(概算) | |
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AQUOS PHONE ZETA SH-02E | 89% | 78% | 67% | 56% | 45% | 34% | 約545分 |
AQUOS PHONE SERIE SHL21 | 89% | 77% | 64% | 52% | 39% | 27% | 約493分 |
画像表示テストではGALAXY Note IIが予想以上に優れていたが、シャープのCG Silicon液晶、S-CG Silicon液晶搭載機と比べると、IGZOの優位性が証明されたと言っていいだろう。実際に「2日間充電なしで持つのか」も後日検証したい。
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