第2回 IGZOはどれだけバッテリーが持つ?――静止画表示テストで比較してみた「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」の“ここ”が知りたい

» 2013年02月07日 12時00分 公開
[田中聡,ITmedia]
photo 「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」

 発売後8週間にわたって販売ランキングでトップに君臨するなど「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」が好調だ。好調の要因の1つが「バッテリーの持ち」だろう。2320mAhという大容量のバッテリーに加え、省エネ性能に優れた「IGZO」をディスプレイに搭載したことで、シャープは「2日間充電なしで使える」とアピールしている。

 気になるのが、実際にどれだけ持つかだ。最新スマートフォン徹底比較の第6回では、YouTubeの連続再生時間と24時間放置後のバッテリー残量を確認した。前者は461分(26機種中4位)、後者は14%(26機種中10位)とまずまずの結果だった。ただ、これら2つのテストでは前者はYouTube動画を再生、後者はディスプレイを常に消灯していたので、IGZOの優位性が完全に発揮されたとは言い難い。IGZOの大きな特長は、静止画表示中において、従来は画像を1秒間に60回更新していたところを、1秒間に1回の更新回数に減らせる“液晶アイドリングストップ”だ。これは例えばWebブラウザやTwitter画面をスクロール後に止めて閲覧している最中など、液晶の表示が一瞬でも止まれば有効になるので、積み重なればかなりの省エネ効果が期待できる。

 そこで、同じ静止画をAQUOS PHONE ZETAとほかの端末で表示させて、どれだけバッテリーの消費に差が出るのかを検証してみた。テストしたのはZETAに加えて「AQUOS PHONE si SH-01E」「AQUOS PHONE SERIE SHL21」「GALAXY Note II SC-02E」「HTC J butterfly HTL21」の5機種。AQUOS PHONE siはCG Silicon、AQUOS PHONE SERIEはS-CG Silicon液晶システムという、異なる技術を使っているので、同じシャープ端末の中でIGZOの違いを確認できると判断。GALAXY Note IIは秋冬モデルでは最大の3100mAhバッテリーを搭載しており、バッテリー容量が勝つのかIGZOの技術が勝つのかを見たくなった。HTC J butterflyは秋冬モデルで唯一のフルHD(1080×1920ピクセル)ディスプレイを搭載しており、どこまでバッテリーの減りに影響があるか興味があるので選んだ。

photo 左からAQUOS PHONE si、AQUOS PHONE ZETA、AQUOS PHONE SERIE、GALAXY Note II、HTC J butterfly。5機種で同じ画像を表示し続けてみた

 まずは同じ画像を表示させるテストを、1月3日18時56分から東京都江東区屋内(Xiと4G LTEは圏内)にて実施した。Wi-Fi、Bluetooth、GPSはオフ、Googleの同期はオンにし、プリインアプリ以外では残量確認に使うBattery Mixのみインストールしている。バックライトの輝度は最大に統一。バックライト点灯時間はAQUOS PHONE3機種が最長30分、GALAXY Note IIが最長10分なので、消灯直前に画面をタップして点灯状態をキープさせた。HTC J butterflyは常時点灯にしてテストを続けた。

 では結果を見ていこう。6時間後のバッテリー残量は、AQUOS PHONE siが22%、AQUOS PHONE ZETAが42%、AQUOS PHONE SERIEが33%、GALAXY Note IIが62%、HTC J butterflyが0%(5時間43分後に0%)だった。まずsiとZETAの比較ではZETAが概算で159分ほど長持ちすることが確認できた。SERIEとの比較では、1時間後と2時間後ではほとんどZETAと差が出なかったが、徐々に広がって最終的には9%の差(概算でZETAの方が約84分長持ち)となった。SERIEの備えるS-CG Silicon液晶システムは、液晶内に表示専用のメモリを搭載することで、CPUからのデータ転送を停止できるが、メモリから液晶への画像転送は止まらないので、ここでIGZOと差が出た。少々予想外だったのが、GALAXY Note IIが6時間後に62%も残っていたこと。今回の結果から概算すると、ZETAが約621分、Note IIが約947分でバッテリー残量が0になる。621分/947分(約1.52倍)は、2320mAh/3100mAh(約1.34倍)というバッテリー容量以上の差になっており、Note IIでも電力消費を制御する技術が有効に働いたものと思われる。

画像表示テスト
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 連続表示時間
(概算)
AQUOS PHONE si SH-01E 88% 75% 63% 50% 37% 22% 約462分
AQUOS PHONE ZETA SH-02E 91% 81% 71% 61% 51% 42% 約621分
AQUOS PHONE SERIE SHL21 90% 79% 68% 56% 45% 33% 約537分
GALAXY Note II SC-02E 95% 89% 83% 76% 68% 62% 約947分
HTC J butterfly HTL21 85% 68% 51% 33% 15%
(43分後に0%)
343分
(※実際の表示時間)

photo ZETAとSERIEでブラウザ画面を表示し続けた

 続いて、ブラウザ表示中の消費電力も調べてみた。こちらはAQUOS PHONE ZETAとAQUOS PHONE SERIEの2機種でテスト。1月6日の8時45分から、同じく江東区屋内にてChromeでITmedia Mobileのトップページを表示し続け、6時間後までのバッテリー残量を1時間ごとにチェックした。6時間後の結果はZETAが34%、SERIEが27%だった。ZETAの方が約1.11倍持ち、約1.16倍持った画像表示テストとほぼ同じ差になった。ブラウザテストの方が2機種ともバッテリーの減りが速いのは、Chromeを起動し続けていたので、バックグラウンドでの通信が増えたためだと思われる。

ブラウザ表示テスト
1時間後 2時間後 3時間後 4時間後 5時間後 6時間後 連続表示時間(概算)
AQUOS PHONE ZETA SH-02E 89% 78% 67% 56% 45% 34% 約545分
AQUOS PHONE SERIE SHL21 89% 77% 64% 52% 39% 27% 約493分


 画像表示テストではGALAXY Note IIが予想以上に優れていたが、シャープのCG Silicon液晶、S-CG Silicon液晶搭載機と比べると、IGZOの優位性が証明されたと言っていいだろう。実際に「2日間充電なしで持つのか」も後日検証したい。

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