“紙の進化形”を目指した「enchantMOON」――UEI清水氏が開発の背景を語る:Mobile IT Asia(2/2 ページ)

» 2013年03月15日 23時13分 公開
[田中聡,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ほぼ紙と同じ感覚で書けるデジタイザーペン

 enchantMOONの生命線とも言えるアイテムが、オリジナルのデジタイザーペンだ。手書きの微妙なニュアンスを伝えるため、OSレベルからチューニングし、ほぼ紙と同じ感覚で書けるようこだわった。開発中のモデルでは、ペンで書いてからの最短反応遅延はわずか0.05秒だという。「人間が何かをして認識するまでに0.04秒ほどかかるので、もう少しで紙と同じくらいに達する」と清水氏は手応えを話す。CPUはシングルコアだが、CPUコア数に関係なくスラスラ書けるよう注力した。UEIがわざわざデバイスから開発したのは、OSレベルではチューニングできない既存のスマホやタブレットでは、ここまでの書き心地を実現できないためだ。

 enchantMOONの操作は至ってシンプル。いわゆるホーム画面のようなものはなく、電源を入れると黒い画面が出る。ここに文字を書いて周りを丸く囲うと、「Web」「Note」「Link」という3つのメニューが現れ、Webからはインターネット上の検索、Noteにはメモの保存ができる。Webで切り取った情報を「シール」としてNoteに貼り付けられるので、スクラップブックのようにも使える。Linkでは、特定のNoteにアクセスできるようハイパーリンクを作成できる。また、シールにはプログラムを組むことができ、「ブロック」を組み合わせることで、ペンの色や太さを変えたり、アップロードや共有をしたりといった機能を追加できる。

photophotophoto 対象物の周りを丸く囲むと、Web、Note、Linkを選べるメニューが現れる(写真=左)。開いたWebページの好きな部分を「シール」として切り取ってNoteに貼れる(写真=中)。情報を関連づけるときに役立つハイパーリンク(写真=右)
photophotophoto enchantMOONのデザインを手がけた安倍吉俊さんが、enchantMOONで描いたイラスト(写真=左、中)。こんな感じでメモを残せる(写真=右)

 enchantMOONに書いた文字は裏側で認識されており、手書きの文字や画像を検索できるのも新しい。認識できる言語は日本語と英語で、英語は筆記体も含まれる。このように情報を整理して検索できるのは、紙にはないメリットだ。

enchantMOONの利用シーンは?

 清水氏がenchantMOONの利用シーンとして想定しているのが、議事録、デジタル教育、契約書、街頭アンケートなど。教育については、すでに都内の小中学校でenchantMOONを導入したいという引き合いがあるという。複数のデータを集計するアンケートでもenchantMOONが活躍しそうだ。「すごく重要なのは、アンケートのどの設問で迷ったかの時間も計測できること。SPIのような筆記試験にも使えるかもしれない。さらに、倫理上問題はあるかもしれないが、設問に答えたときに、どんな表情をしたかもセルフカメラから分かる」と清水氏はさらなる活用法を説明した。

photophoto
photophotophoto 想定されるenchantMOONの利用シーン

早ければ4月に予約受付を開始か

 気になるenchantMOONの発売時期だが、「現在は量産試作の最終段階に入っている」という。「今月(3月)末に量産できるか確認できるので、早ければ、4月に予約受付を開始できるのでは」と清水氏。台数は「1000台限定とかになるのでは」と初期出荷は抑えめのようだ。個人に何台も買ってもらう……というよりは、学校や法人などから、ある程度まとまった台数を購入してもらう方が期待できそうだ。価格や販売方法は調整中だが、「ちょっと変わった販売方法を考えている、とだけ申し上げておく」と含みを持たせていた。来場者の中には「10万円でも買いたい」と目を輝かせていた人もいた。

 筆者も(展示会や囲み取材など)PCを使えないシーンでの取材や、考えを整理したいときなどは、紙のノートを使っている。PCやスマホをメモツールに使うこともあるが、あくまでメモを残すだけ。PCやスマホに思考のプロセスまで残すのは、確かに厳しい。enchantMOONをノートとして使いながら、検索や共有を駆使することで、何か新しい世界が開けてくるかも!? そんな期待を抱かせるには十分だと感じた。

photo
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  2. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  3. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  4. 「Galaxy Z Fold8」「iPhone Duo」を“メイン端末”として使う上での課題 縦型コンテンツの最適化をどう進める? (2026年10月26日)
  5. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  6. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  7. KDDI、子会社モビコムのモンゴルでの火災について事実関係を公表 「法令違反行為を行っていない」 (2026年10月24日)
  8. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  9. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  10. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー