子どものスマートフォン化の実態(2):小寺信良「ケータイの力学」

» 2013年05月20日 20時30分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 前回に引き続き、内閣府の「平成24年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」を元に、子どもたちのネット利用の変化を探っていきたい。今回は主に、スマートフォンに対する保護者の認識についてフォーカスしてみる。

 スマートフォンの利用に際して、アプリをダウンロードする際に保護者に確認を取る青少年の割合は、年齢が上がるに従って激減する。

photo ダウンロードについての保護者の確認

 現状のiOSやAndroidには、アプリのインストールについて、保護者の承認を得る仕組みもある。あるいはケータイキャリアが独自に、管理の仕組みを導入しているケースもあるだろう。

 しかしアプリ用ストアへアクセスできるならば、好奇心旺盛な子どもならアプリのインストールなどはしょっちゅう発生するため、保護者側の手間が大きくなる。また年齢が上がると、スマートフォンをいちいち保護者に渡してパスワード入力などをしてもらうことに抵抗感を感じるようになり、この仕組みがうまく働かなくなる。

 さらに、子どもの年齢が上がるに従って、保護者のインターネットの知識が子どもに負けてくるという現実も、データが示している。すなわち子どもの年齢が上がるにつれて、保護者に相談しても判断できないので、相談しても無駄――という現実を表わしている。

photo 保護者と子どもでは、どちらがインターネットに詳しいか

 このグラフでは、年齢につれて子ども側の習熟度が上がることと、高学年の保護者になるほど年齢が高くなり、元々インターネットへの習熟度が低いという2つの方向から、加速度的に保護者が“負けていく”という傾向が見られる。

 ただ子どもの習熟度は、これから年を重ねても同じ傾向を示し続けるだけなのに対し、保護者は年を追うごとにだんだんネットリテラシーを持った世代に変わってくる。恐らくこのグラフの年齢別の差は、年数が経つにつれて次第に均衡化されていくのではないかと考えられる。

アプリからのアクセスを、誰が面倒見るのか

 アプリのインストールの問題は、なかなか悩ましい問題だ。例えばSNSが問題になったときは、EMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)が作られ、厳しい管理を行なうコミュニケーションサイトのみ、フィルタリングが除外されるという方法がとられた。現在EMAではサイトだけでなく、アプリの認定制度もスタートさせているが、そもそもEMAのような審査したのち認定するという制度は、先方から認定を申し入れてこない限り、勝手に審査することはできない。

 すなわち、多大なコストをかけて公式にフィルタリングから除外されるということにメリットを感じる事業者のみが利用する格好で、フィルタリング外で大人向けにサービスを運用したいとう事業者には、利用する意味がないのである。こういう大人向けのアプリを子どもたちが手に入れると、やっかいなことになる。

 スマートフォンでは、無線LANを使ってネットへアクセスするとキャリア側のフィルタリングが無効になるというのは、もうそろそろ多くの人にも知られるようになっただろう。今回の調査では、スマートフォンの無線LANの利用も調査している。これによれば、高校生の無線LAN利用は45.7%と、想像よりも高い。

photo スマートフォンの無線LAN回線の利用状況

 一方で別の詳細資料では、保護者が無線LANを子どもに利用させているか、という調査との比較があった。これによれば、高校生の保護者は40.7%しか利用させていると答えておらず、高校生らとの認識のズレがある。ただこの調査人数では、5%の差を問題視するのは早計であろう。

photo 無線LAN機能の利用(青少年と保護者の比較)

 いずれにしても高校生ぐらいになれば、4割から5割程度は無線LANを利用しており、保護者もそれを容認していることが分かる。子どものネットリテラシーに合わせた結果ならいいが、問題点をよく認識しないままに利用させているというケースもあるかもしれない。

 子どものスマートフォン化に対する懸念点のうち、具体的なネックは保護者のネットリテラシーにあるということが、次第に明確になりつつある。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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