「この2年半で市場は変わった。 学生からシニアにシフト」――ウィルコム・宮内謙社長の囲みにツッコミ石川温のスマホ業界新聞(1/2 ページ)

» 2013年07月12日 20時44分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 ウィルコム記者会見のあと、宮内謙社長の囲みが行われた。宮内社長が、公の場に出て、記者の質問に答えることはほとんどなく、とても貴重な場面と言える(おそらく2011年9月のウィルコム新製品発表会以来。アップルWWDCの会場でも宮内さんを見かけるのだが、その前に孫さんがいるので、やはり孫さんを優先して話を聞いてしまう)。

 10分程度の短い囲みであったが、いろいろ聞くことができたので、すべてをテキストに起こしつつ、気になるところには★で突っ込んで行きたい。

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―― 安い料金プランを投入することで、料金競争を誘発される懸念はないのか。

宮内社長 「料金プランをプランニングしている段階では考えた。ソフトバンクモバイルとセグメンテーションを分ける意味で、誰が使うのかを考えた。

 ソフトバンクは7GB、こちらは1GB。1GBの制限をつけることによって、まだそこまでスマホを使わない人は結構いる。そこのセグメンテーションをきっちりとやっていきたい。そういう意味では、そういう世界に参入する(他の)人もいるかも知れない。わかりませんが」

(★料金競争が促進されるという意味では大歓迎。ただ、問題は、そんな初心者が「1GB」という値を理解して、納得して契約してくれるかという点にあるかも)

―― 1GBに設定したのが戦略と言えるのか。

宮内社長 「まぁ、そうですね」

―― 今回の料金プランでiPhone4Sを売るという選択肢はないのか。

宮内社長 「それはないです。やっぱりiPhoneはますますトラフィックが上がっている。当然そうです。iCloudで上がっていく。iPhone5しかり、iPhone4Sもすごい勢いのトラフィック。お客さんがLTEのネットーワークを使って楽しんでもらうには、それなりの料金を払ってもらわないと、通信事業者は成り立たない。こちらは、データ制限。データをどれくらい使っているかという分布はいえないが、この(ウィルコムプランLiteに当てはまる)分布もいることはいる。コンベタン(コンベンショナル端末の略、フィーチャーフォンのこと)は(トラフィックが)ちょっとだったが、(ウィルコムプランLite向けに)本当はコンテンツも含めて、新しい仕組みをつくらないといけない。トラフィックの少ないコンテンツ。そういったものもの検討していきたい」

(★これは自分の質問。発表会の質疑応答で宮内社長は「ウィルコムでもiPhone4Sを扱ったが、ハッキリ言って売れなかった」と言っていたが、もし、ウィルコムプランLiteで売ったら、意外と行けそうな気もするのだが。STREAMよりは売れるでしょ)

―― 今回、スマホ競争に身を投じていくようだが、これからスマホにシフトしていくのか。

宮内社長 「スマホシフトもしていくし、今、実は低価格で端末を作っている。現在、STOLAがものすごく売れている。それと同時に、PBXというか内線電話で使いたい、病院など、PHSが得意なカテゴリーもある。今日は発表しなかったが、(音声端末も)ちゃんとやっている。デュアルで使うという新しいチャレンジをした。DIGNO DUALもあったが、今回は2つ出したということである」

(★他キャリアがスマホシフトし、フィーチャーフォンのラインナップを減らしていく中、音声端末の需要は確実にあるわけで。そこをすくい取っていくのはウィルコムの役目かも)

―― ARPUの向上はやはりスマホがメインと言えるのか。

宮内社長 「アベレージの単価でいえば、当然、スマートフォン型。現実にPHSの料金は1450円に980円、それに若干の通話料が入る程度。それを考えると、スマホは2980円が乗ってくるので、全然違う。できるだけ、全方位でお客さんを我々のグループに持って行きたい。

 ソフトバンクモバイルはソフトバンクモバイル、ウィルコムはウィルコムで、そういったセグメントでやる。やっぱり、我々の作戦としては一番いいのではないか」

(★確かにいい棲み分けだと思う)

―― 設備投資はどうなのか。一時期、ITXにお金をかけていた時期もあるが。

宮内社長 「ネットワークのコストは、毎年ぐっと下がっている。もうすぐ600万ユーザーだが、PHSのキャパシティとしては倍の数ぐらいはいける。設備投資はほとんどいらない。若干、古い機器の交換ぐらいはいるが。

 当然、グループのネットワークに切り替えていっている。バックホールの値段も含めて。ITX化も進めて、出力を倍にしている。来年にかけて、もう一段、コストがさがると思う。低ARPUであっても再建ができるというのはここにある。そうじゃなかったら、難しかったと思う」

(★やはり、追加の設備投資がほとんどかかっていないのは強い。しかし、PHSという技術が、ここまで生き延びるとは誰が予想できたか。実際に使っているユーザーがどれだけいるかはさておき、いまのやり方を貫けば、表面上のユーザー数は1000万ぐらいまでいくのではないか)

―― 来年度にかけて、もう一段、安い料金プランを仕掛けることも考えているのか。

宮内社長 「いや。それはいまのところない。これで戦っていきたい」

(★さすがにいまから「来年も値下げする」なんて言わないわな)

―― VoLTEが出てきたときのウィルコムのアドバンテージはどこになるのか。

宮内社長 「VoLTEが出てきて、どういう世界になっていくのか。アメリカを見れば、一番よくわかる。アメリカのキャリアは全キャリアが音声を合体して、ひとつの値段にしている。韓国もそう。結構高い値段になっているが、合算形式。音声はこれだけ使えますよ、データはこれだけ。データはうまい階段方式になっている。スプリントだけはアンリミテッドになっているが。こういう感じ。

 合算方式で100ドルを出すとバンバン使えますよ、という方式になっていくのではないか。

 いまは、きちっと分けたパターンになっているが、世界の通信事業者の動向を見ていると、そんな感じだ」

(★孫社長がスプリントを買収したことで、ソフトバンクグループはアメリカのキャリアにおける料金設定のメリットデメリットを知ることができる。これが日本に反映されるようになると面白そう)

―― 日本でもそういう方向性になっていくのか。

宮内社長 「わかりませんが、そういう方向性もある。本当にタダになるかというと、LINEを使えば、当然タダ。音声ARPUは下がっているが、それがゼロになっていくかと言えば、そうではない。どういうタイミングで、新しい料金施策を作るのかという意味では、これからやってくるのは間違いないと思う」

(★アメリカでスマホを持とうと思うと本当に高い。日本でもそういう方向に行くのかも)

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