―― PHSに対して、ユーザーからエリアに対する不満はないのか。
宮内社長 「PHSのエリアは(ユーザーから)割り切られて見られているのと、今度のやつはプラチナバンド対応なので、エリア不満はほとんどないのではないか。いまのPHSだと、温泉の奥地などに行くとつながりません。ただ、ひとつ言えるのは、ソフトバンクのでかい基地局に、(PHSの基地局を)横にぺたんとつけていることで、だいぶ(エリアが)良くなっている。ネットワーク基地局の相乗効果が出ている」
(★一時期、ウィルコムは16万基地局と自慢していたけど、最近はどれくらいなんだろうか)
―― 株主総会であがったソフトバンクとの無制限の無料通話は準備できているのか。
宮内社長 「ああ。あれは計算しています。やる方向で検討するつもりではいる」
―― いつごろのイメージなんですか。
宮内社長 「まぁ、何とも。あれ、やりましょうって言ったっけ?」
(★孫社長は意気揚々とやりましょうと言ったけど、ウィルコム関係者はやはり気乗りがしないようで)
―― FCCの承認、スプリント買収について……。
宮内社長 「今日はちょっとそれは辞めましょうよ。今日はウィルコムに集中して。もうすぐの話ですから」
―― 契約者数が伸びている中で、あえてスマホのデュアルに力を入れたり、パスカードを投入する狙いはどこにあるのか。
宮内社長 「やっぱりね、みなさんに申し上げてもいいと思うんだけど、この2年半で、強烈にマーケットが変わっている。あんまり言ってないかも知れないが、ウィルコムって僕が担当しはじめた時は、4〜5月が一番売れていた。なんでかわかります? 学生なんです。小中高大。それがいま減っているんです。シニアのところが伸びている。それは感じていたので、シニアシフトせいと言っていた。
いま、中高で一番使っているマシンはiPhone。学校行ったら、みんなiPhone。Androidもいるけど、大半がiPhone。これはソフトバンクモバイル側としてつかめていた。春のキャンペーンをやると、中学生がiPhoneになる。中学、高校生が2台持つことはない。そこは減るので、シニアところを増やす。その一連の流れのなかで、今回、提案しているのは若い人じゃないと思いますよ。このだれスマも。どちらかというとビジネスマン。30〜40、50代ぐらいじゃないの」
寺尾洋幸マーケティング本部長 「40〜50代は生活費は高い。子どもが大きくなって、生活費がかかるなかで、なかなかお父さん、お母さんがスマホに代えられない。そういったお客様が普通に使うなら、1GBで充分。そこで軽く使ってもらいたい。もっともっと使うのであれば、高い料金プランも用意している。
そういうお客様、特に40代は子どもが育って、生活が苦しい中、みんなに使ってもらえるものを出せないか(というのが企画の発端)。だれとでも定額も同じだが、より多くの方に楽しんでもらうために少しだけ制限をする。『だれ定』であれば10分、『だれスマ』は1GB。ほとんどの人には充分な使い方できるプランを提供するのが、我々がLCCとして、生きていく道だと思っている。高校生、大学生はスマートフォンにシフトしているが、まだまだ広がる大人の層がある」
(★年配層も当たり前のほうにスマホを使うようになると、ウィルコムは次にどこをターゲットにすべきなのかは気になるところ)
宮内社長 「マーケットがスイッチしている。実際に純増が毎月5万、6万あり、順調に来ているが、中身はガラリと変わっている。そこは企業努力。企業の内線電話需要は堅くある。病院、大学など法人向けに売れている。
でもやっぱり、そうはいっても、VoLTEなども出てくるが、いまから新しいカテゴリーを作らないと行けない。それがLCCスマホのカテゴリーだと僕は思っている」
(★2014年度中に始まるPHSとのMNPによって、LLCの価値は一気に高まるんだと思う)
―― デュアルでも、あくまでも2台目需要を獲りにいくというわけではないのか。
宮内社長 「デュアルは2台目ではない」
―― 低価格のスマホという位置づけか。
宮内社長 「そうですね。そんなところでよろしいでしょうか。ご支援よろしくお願いします。どうも、ありがとうございました」
ソフトバンクの傘下になり、グループのシナジーがかなり出まくっている感がある。端末調達や料金施策、ネットワーク構築などにおいて、LCCとレガシーキャリアとの棲み分けがかなり戦略だって位置づけられているようだ。
ウィルコムの強みは何と言っても「設備投資」にコストがあまりかかっていないという点にある。しかも、STREAMのように、今度は端末調達においても、ソフトバンクの在庫処分を譲り受けるという大胆な手法に打って出てきた。
高ARPU顧客はソフトバンク、低ARPU顧客はウィルコムという棲み分けがうまくいくと、2つのキャリアともうまくいきそうな気がする。あとはイー・アクセスをどうのように位置づけるかが課題だろう。
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