飽和するスマホ市場の中で、ドコモはパラダイムを変えたい――加藤社長に聞く新春インタビュー(2/2 ページ)

» 2014年01月01日 09時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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dマーケットの次のターゲットは「健康」と「教育」

―― 加藤社長が就任してから、dマーケットなどサービス分野における新ビジネスの拡大が重点項目になっているわけですが、この進捗状況をどう評価されていますか。

加藤氏 順調に進捗していると考えています。特に「dビデオ」「dアニメ」「dヒッツ /dミュージック」は、ドコモのサービス事業の柱に育ってきている。お客様や有識者の声を聞きましても、例えば、dビデオは(ライバルの)Huluなどと比べても遜色のない高評価をいただいています。

 このようにデジタルコンテンツ系のサービスは地歩を固められましたので、2014年は次のステップに入ります。ここでは“リアルとの関係”を重視していきます。

―― より生活密着型の分野に進む、と。

加藤氏 はい。まずは「健康」と「教育」を軸にとらえていますが、その先では、より生活を豊かに便利にする方向でサービス拡大を進めていきます。また、ここでは(ネットと)リアルの結びつきを深めるような方向性を指向しています。

 例えば、2013年に投入した「dファッション」や「dトラベル」「dキッズ」などを育てていくのはもちろんですが、2014年はさらにリアル系の新サービスを投入する計画です。

―― dマーケットは他キャリアに比べて、量と質の両面で充実したサービスになってきていますが、一方で、サービスが巨大になってくると、一般ユーザーから見て全体像が分かりにくくなってしまうという課題もあります。

 他方で、2013年後半から他キャリアで販売時のオプション強制加入が問題視されて、業界全体でスマートフォン販売時にサービスをセットで売る「直づけ」がやりにくくなってきている。いかにdマーケットの魅力や価値を一般ユーザーに伝えて、利用者を増やすのかというのは2014年の課題ではないでしょうか。

加藤氏 おっしゃるとおりです。我々ドコモとしては、お客様への販売窓口で強制的なことはやってはいけないと考えています。むろん、dマーケットはよいサービスなどでお勧めはしますが、そのご案内の方法を工夫していかなければなりません。

 (スマートフォン販売と抱き合わせになったオプション強制加入については)他社で問題になりましたし、消費者庁も気にされています。そのような中で、ドコモとしては対面でお客様に納得していただく説明を重視する。とりわけドコモショップには、そういったきちんとしたご案内をする力があると自負しております。

―― サービスを抱き合わせ販売的に押しつけるのではなく、ユーザーが価値を見いだすための説明・案内を強化していく、と。

加藤氏 そのとおりです。お客様に魅力を感じてもらうということが重要です。ドコモショップでは、そういったサービス販売のノウハウを今後さらに蓄積していきます。

―― 2014年もdマーケットのサービス拡充は続くとのことですが、加藤社長として特に重視している分野はどこでしょうか。

加藤氏 「健康」ですね。ここはウェアラブル端末などで新しい機器が出てくると予想されますので、そういった潮流をしっかりと取り込みながら、この分野のサービスを分厚くしていきたい。また、健康は他分野との連携性も図れます。例えば、教育や料理といった分野との連携はまず考えられますが、それ以外のサービス分野との連携をやっていきます。

―― 2013年は多くの企業に投資や買収を行いました。2014年も、こういった出資・買収を伴う異業種への拡張路線は継続されるのでしょうか。

加藤氏 チャンスがあれば引き続き行います。これからのドコモが目指す方向性は、ドコモ単独で行えるものではありません。出資、提携、買収、合弁会社の設立など、手段はいろいろありますが、そこは目的意識を持ってしっかりと行っていきたい。

―― 異業種投資のリクープ(回収)についてはどのように考えていますか。2012年、2013年とかなりの投資案件がありましたが、その回収時期はいつ頃になるのでしょうか。

加藤氏 一概には言えませんが、単黒に持っていくのに3年、累損解消は5年程度と考えていますが、これはもうケース・バイ・ケースですね。これまでドコモが出資した例でも、すでに経営基盤が確立されているところがある一方で、合弁会社としてゼロから新規事業を立ち上げているところもある。このあたりは一律に評価はできないでしょう。

春商戦はiPhoneを武器に「若者に魅力的なドコモ」を目指す

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―― 2014年の春商戦はフィーチャーホンからスマートフォンへの乗り換え促進において終盤戦となり、かなり重要な戦いとなります。この春商戦でのドコモの戦略はどのようなものになるのでしょうか。

加藤氏 今回の春商戦において、ドコモが今までと違うのは「iPhoneを持っている」ということです。iPhoneを持っているという部分で他キャリアと同じ条件になり、一方で、Androidスマートフォンのラインアップはこれまでドコモが注力して優位性を築いてきた。ですから、今回の春商戦では、魅力的なiPhoneと優位性のあるAndroidスマートフォンで、最強の組み合わせを作ることができた。端末に関しては、ここを訴求していきます。

 サービス面では、春商戦ではdマーケットのほとんどがiPhoneで使えるようになります。またドコモメールもiPhoneで使いやすくなる。(春商戦で重要な商材となる)iPhoneで、競争の準備が整うことは大きいでしょう。

―― 料金面における販売戦略はいかがでしょうか。過去、春商戦でドコモが苦戦した要因を分析しますと、iPhoneや学割で他キャリアに学生層を取られて、そこから家族割引で世帯契約を丸ごと持っていかれる、という傾向が見られます。これを反転させるような戦略はあるのでしょうか。

加藤氏 今回はそれに対抗していきます。「(学割適用となる)学生のお客様に合わせて家族みんなでドコモにポートインしていただくと、契約していただく人数が増えるほどお得感が増す」というような施策を行います。また、学割契約をしていただく既存ユーザー向けにも「学生家族いっしょ割2014」などを通じて、さらなるお得感を出します。

 我々は今回の春商戦で、学生層に絶大な人気を誇るiPhoneを手に入れました。これを武器にして、学生の皆さんはもちろん、学生のいらっしゃるお客様にとっても、魅力的な料金やキャンペーンを用意していきます。

―― iPhone導入に合わせて、ドコモは若年層向けの優遇プランを充実させてきましたが、この方向性は2014年の春商戦でも継続されるのでしょうか。

加藤氏 もちろんです。ドコモは、若い人たちにとって魅力的なキャリアになりたいと考えています。今回の春商戦では、若者を重視したプロモーションやキャンペーンを打ち出していきたい。

―― iPhoneを入れたことで、ドコモのイメージが若者向けに変わってきていますが、これが春商戦ではさらに進みそうですね。個人的にも、ドコモの若年層重視、“若返り”の取り組みには期待したいところです。

ドコモは2014年、新しい挑戦を行う

―― 2014年後半になれば、スマートフォン移行はかなり進むと考えられます。また、そのほかのスマートデバイスの普及も進むでしょう。こうした“スマート化された世界”となる今年、加藤社長は何をやりたいですか。

加藤氏 ドコモ全体としてはスマートライフのパートナーとして、引き続き(スマートデバイス向けの)サービスを拡充していきます。その上で2014年のテーマを申し上げると、「リアルとの連携・融合」ですね。これを形作っていきたい。

―― 最後に読者へのメッセージをいただけますか。

加藤氏 目先の市場だけ見ますと、スマートフォンが成熟期に入り、少しサチュレーション(飽和)傾向が感じられる部分もあります。しかし、ドコモとしてはパラダイムを変えていきたい。競争のパラダイムを変えて、ステージを上げていきたい。具体的にはまだ申し上げられませんが、ドコモは2014年、新しい挑戦を行っていきますので、ぜひそこに注目いただければと思います。

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