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» 2014年05月29日 17時03分 公開

海外プリペイドSIM導入マニュアル――「ロシア・モスクワLTE」編英語が通じないせいでトラブルも?(2/2 ページ)

[山根康宏,ITmedia]
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空港のMTS SIMを購入した翌日、まさかの事態に……

 このようにMegafonで快適なプリペイドデータ環境を手に入れたのだが、実はドモジェドヴォ空港で真っ先に購入したのがMTSのプリペイドSIMだった。MTSのプリペイドSIMもデータ専用料金があることをあらかじめ同社のWebサイトで調べており、それに対応したプリペイドSIMを空港で買おうと考えていたのだ。

photo MTSのデータ料金(350p、600pはそれぞれルーブル。 ロシア語のWebサイト

 空港に果たしてMTSがあるのか、あるいは量販店に行って買うものなのだろうかと、ドモジェドヴォ空港で入国して荷物を受け取りロビーに出ると、そこは何もない空間だった。国際空港にしては何かおかしいと思ったのだが、実は左手へ行くと出発ターミナルとなっており、そちらにお店が多数入っているのだ。ターミナル内を歩いてみるとあちこちにMTSの小さいカウンターがあり、そこでプリペイドSIMを売っている。これなら簡単に買えそうだ。

photophoto ドモジェドヴォ空港の出発ターミナル。MTSの小さいカウンターが多数ある(写真=左)。SIMも見せてくれた。4G/LTEと書いてある。これでモスクワ滞在はハッピーになるはずだった(写真=右)

 愛想のよさそうな店員のいるカウンターに立ち寄り、片言の英語で話しかけたところ、先方も英語が通じることが分かった。国際空港だけに英語は問題ないのだろう(これが後で間違いと知る)。店員にメモで「Internet、3GB、350ルーブル」と書いた紙を見せると「OK、あるよ」という。ということでそのプリペイドSIMを買うことにした。約1000円で3Gバイト、悪くない価格だ。

 ところが店員はカウンターの下をごそごそやったあとで「3Gバイトのはない、6Gバイトしかない」という。まぁ多いことに越したことはないし6Gバイトもあれば十分すぎるだろうと思い、そちらを購入することにした。だが6Gバイトの料金は600ルーブルなのに、価格は650ルーブル(約1920円)だとう。50ルーブルはSIMカードの代金なのだろうか? このあたりはモスクワ到着した直後ということもあり、とにかくプリペイドSIMの入手がしたかったため何も疑問に思わずそのまま現金で支払いを行った。

 パスポートを提示して登録を行い、SIMを手持ちのSIMフリースマートフォンに装着。APNは自動的に設定されたが以下の通り。

  • APN:internet.mts.ru
  • ユーザー名:なし
  • パスワード:なし

 ところが電波は拾うものの、データ通信がなかなか始まらず、ネットワーク検索したり電源のオン/オフを数回繰り返しているうちに、ようやくデータ通信が始まった。このあたりも購入時にアンテナマークが立つだけではなく、データ通信が開始されることを確認してからカウンターを離れたほうがいいだろう。

 さて、これで1週間の滞在中、どこへ行っても自由にデータ通信できるという幸せな気分に。空港から市内に移動し、ちょっと気になって残高照会(*100#に発信)すると400.01ルーブルと表示される。なぜこの金額なのかは不明だが、その後もデータ通信を繰り返しながら残高確認を行うと400.01ルーブルのまま。おそらく6Gバイトのパッケージ分は別計算で、それとは別に400.01ルーブルの利用分が残っているということなのだろう。

 空港でプリペイドSIMが買えてLTEにも入れ、6Gバイトも使える! さっそくスピードテストを行うと、最大で70Mbpsもの速度が出た。これはもうホテルのWi-Fiを使うよりもはるかに快適だ。ストリーミングの動画も再生はスムースで、スマートフォンのテザリングをオンにしてノートPCからの接続も問題なかった。空港でMTSを買うのがドモジェドヴォ空港では最高かも、と思ったのだ。

 ところが翌朝、スマートフォンに1通のSMSが届いて目が覚めた。どうせ広告の類だろうと思いきや、残高がもう0.1ルーブルしかない、との案内だった。まさか夜中にアプリのアップデートなどで6Gバイトを使い切ってしまったと思いきや、データ利用分を見ると500Mバイトにも達していない。おかしいと思い残高照会を行うと、昨日何度も表示された400.01ルーブルではなく、0.01ルーブルになっていた。

photophoto 70Mbps弱の速度は快適だ(写真=左)。ところが翌日、500Mバイトも使っていないのに残高はゼロに……(写真=右)

 これは、空港のカウンターのMTSの店員がデータオプションを付け忘れたからだろう。SIMを入れた後になかなかデータ通信が始まらなかったときに店員はかなり焦った様子で、無事に通信が始まったときにほっとして6Gバイトのオプションを付け忘れたのかもしれない。しかしそうなると最初に「3GBのSIMはない」と言った話とは矛盾が生じる。後から付けるなら、3Gバイトであろうと自分で付けられるはずだからだ。

 では店員が実は400ルーブルしか残高を入れなかったと考えても、購入した日は何度もデータ通信を行っても残高は400.01から減らなかったのだ。となると、購入したSIMは支払った650ルーブルのうち250ルーブルが200Mバイトなり300Mバイトなりのデータパッケージ分で、それを超えて使ったために残りの400.01ルーブルから引かれていって翌朝残高がゼロになってしまった、のかもしれない。

 実は別件でモスクワ市内のMTCのお店に行ったが、そこでの店員の対応は問題なく無料利用分の説明もしっかりしていた。空港で買う場合は自分の希望したプランになっているかどうかを、しつこいくらいに確認した方がいいかもしれない。

評判のよいBeelineだが、空港での対応は“ロシア流”

 ドモジェドヴォ空港ではこのようにMTSのSIMを買い、そのときは「もうほかに何もいらない」と喜んでいた。だがせっかくモスクワに来たのだし、別途もう1枚プリペイドSIMを買ってみることとした。ネットではBeelineのSIMがスマートフォンで使いやすいとの情報もよく見かける。空港の出発ターミナルの2階にはレストランやカフェなどが入っており、そこに携帯量販店Svyaznoyの店もあるのでそちらで購入してみることにした。なおMegafonがあるのもこのフロアだ。

 MTSのカウンターで英語が片言通じたことに安心し、Svyaznoyの店でも店員に「プリペイドSIMを買いたい」と英語で伝えてみた。すると店員は首を横に振って分からないという仕草をするではないか。そこで紙にBeeline、SIM、Internetと書くと分かってくれたようで、手持ちのスマートフォンを見せるとそれ用のSIMを出してくれたものの、こちらの顔を見るまでもなく無口のまま作業が進んでいく。

 SIMのパッケージを開け、乱雑にSIMを台紙から切り離しすとSIMカッターを使いマイクロサイズに一瞬で切断、角をカッターで落とすなどやり慣れている感じは頼もしいものの、無言で作業が進んでいく。パスポートを出せとロシア語で言われ、印刷された紙にサインしろといったようなことを言われたが、相変わらず店員はこちらの顔を一切見てくれない。「いくら?」と聞くと筆談で399ルーブル、と返してくれるが詳細は一切不明だ。

photophoto ドモジェドヴォ空港のSvyaznoy(写真=左)。BeelineのプリペイドSIM、有無を言わさずマイクロサイズに切断された(写真=右)

 ここで別の店員が現れ、笑顔で「1日、1日、49ルーブル、データたくさん使える」とゆっくりとした英語で説明してくれた。すなち399ルーブル払ったので約8日間利用できるということなのかもしれない。なお1日あたりのデータ上限は不明。BeelineのWebサイトを翻訳アプリを使いながら見ても情報はちょっと分からなかった。

 だがSIMを入れても電波は拾うものの、データ通信が始まらない。入れたスマートフォンにはAPNも自動設定されなかった。そのため最初の店員に「APN」と筆談で聞くと「beeline.internet」という。ところがこれでもデータ通信は始まらず、お手上げの表情をすると「そこでつながるまで好きにやっていいよ」というような仕草をしたうえで、次の接客に入ってしまった。結局先ほど買ったMTSの回線を使ってネットで調べたところ、正しいAPNは以下の通りだった。

  • APN……internet.beeline.ru
  • ユーザー名……なし
  • パスワード……なし

 このSIMを入れたスマートフォンでテザリングを利用とすると、Beelineの専用ページがブラウザで開き、利用はNGといった説明が表示された。この料金プランではスマートフォンからの接続のみが利用できるということだ。

 BeelineのプリペイドSIMもなんとか無事接続できるようになったからよかったが、この店で感じたこと……それは「ロシアの店員は愛想が悪い」ではなく「店員にもいろいろな人がいる」ということだった。空港の店で来客も多く、いちいち1人の客の相手をしている時間はないと考える店員もいるのは仕方ないことかもしれない。別の店員は愛想がよく、おそらくそちらに頼めばAPNもきちんと設定してもらえただろう。


 このようにすんなりいかない部分もあったものの、モスクワのLTE回線はプリペイドでも利用でき快速快適だった。英語が通じない部分は翻訳アプリを使い、店に入ったら愛想のよさそうな店員を見つけるようにすれば、買い物もスムースに行えるだろう。モスクワでのプリペイドSIMの購入は一筋縄ではいかないが、頑張ってほしい。


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山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。



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