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» 2014年12月27日 00時20分 公開

スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2014(後編):発表! 2014年を代表するスマートフォンは? (2/3)

[房野麻子、編集部,ITmedia]

 審査会には参加できなかった神尾寿氏、本田雅一氏、山根康宏氏には個別に話を聞いた。以下、2014年の振り返りとともにコメントを紹介したい。

神尾氏:ファブレットのイメージを変えたiPhone 6 Plusを評価

神尾氏 2014年のスマートフォン市場のトレンドは、「大画面化」と「スマホ中心のビジネスモデルの構築」でした。

 スマートフォンとタブレットに分かれるかなと思っていましたけど、日本では「スマホで何でもやりましょう」という、スマホ中心の世界観でした。その流れの中で大画面化があって、そういう意味ではiPhone 6/6 Plusの両方に10点を入れたいくらいでしたが、特に評価したのがiPhone 6 Plusです(10点)。より大画面になって、ある意味でギーク向けだったファブレットのイメージを変えたのは、iPhone 6 Plusの功績だと思います。iPhone 6 Plus自体はファブレットとはうたっておらず、スマートフォンのカテゴリーです。あの画面サイズに市民権を与えたAppleの貢献度は大きいと思います。

 今までもGALAXY Noteなどはありましたが、Noteは一部のマニアしか使わなくて、普通の人の購入候補に挙がらなかった。そこにAppleが参入したことで、普通の人の購入候補になりました。実際に売れたのはiPhone 6でしたけど、スマートフォンのカテゴリーを広げたiPhone 6 Plusの貢献度は大きかったと思います。

 とはいえ、全部が大画面化するとバリエーションがなくなるじゃないですか。その点、小さいながらも大方のスマートフォンと同じスペックを作ったXperia Z3 Compactを評価して9点を入れました。Xperia Z3 Compactは性能と凝縮感のバランスがとてもすばらしく、ソニーの力を感じさせられました。

 Huaweiは、メーカーがSIMロックフリースマホを直接日本市場へ訴えている。その中でも、ほかのメーカーに比べると、品質面がしっかりしているので2点を入れました。日本ではスペックが高いだけでは売れません。品質も大事なので、その点Huaweiは格安スマホの中では突き抜けたところがあるので、そこを高く評価しました。

photo Ascend Mate7

 ただ、2014年はSIMロックフリー市場が盛り上がったとは思っていません。一般市場から見たら、SIMロックフリースマホを買った人なんて、微々たるものじゃないですか。重要なのはSIMロックフリーじゃなくてMVNOなんです。MVNOは独自の端末調達もしないし、独自の販促費もかせげないから、SIMロックフリースマホが売れた。ロジックが逆だと思うんですよね。だから2014年に注目されたのはSIMロックフリースマホはなくて、MVNOだったと思っています。

2014年は「料金の年」だった

 ぶっちゃけて言うと、2014年は端末がどうでもよくなってきた年だと思っています。iPhoneやXperiaクラスの端末は別として、ユーザーにとって注目度が上がったのは料金ですよね。14年を総括すると「料金の年」だった。料金がいろいろな意味で取りざたされた。それは大手キャリアの新料金プランもそうですし、MVNOの割安な料金プランもそうです。スマホの黎明(れいめい)期は終わり、ハードウェアがけん引した時代でなくなってきたのは確かなんですよ。そこは勘違いしちゃだめだと思いますね。

 今はスマートフォンに移行する人たちが変わってきたじゃないですか。「月々の通信料の負担が増えてもいい」という人たちは、あらかたスマホを買ったので、もういないんですよ。「フィーチャーフォンと同じ料金か、安くなってくれるならスマホ使うよ」という流れになってきているのに、大手さんは、低料金ニーズに対してかじをきれない。そこにMVNOが食い込んできた。

 MVNOが一般ユーザーの受け皿になれるほどのサポート体制やクオリティがあるとは思えませんが、それでも一般の人たちがそこに目を向けているのは、料金に対するニーズの変化に大手キャリアが対応できていないからなんです。例えばドコモから、OCN モバイル ONEやIIJmioなどと同じクラスの料金プランが出てくれば、あっという間にMVNOが駆逐されると思うんですよ。でも大手は構造的にできない。だからMVNOが注目されている。“MVNOだから”注目されているのではなくて、単に“安いから”注目されているだけなんです。

 大手キャリアは料金プランをMVNO並みに安くはできないでしょうね。コスト構造が違うから。サポートもあるし、直営のキャリアショップもある。あとは、インフラに対する考え方が違うんですよ。MNO(大手キャリア)は需要が目の前にない状態で、数千億円から1兆円規模の設備投資をしないといけない。(帯域が)足りなくなったら追加すればいいというMVNOの方が、料金パッケージは作りやすいですよね。サポート拠点や販売チャネルも絞られているし、端末も自分たちで作らない。キャリアは販促費を積んでいるし、キャリア独自サービスや独自スマホの開発にお金がすごくかかっているんですよ。

 MVNOは、ターゲットを絞った形でやるべきです。日本で展開している多くのMVNOのサービスは、料金は違うもののターゲット層が同じだと思います。例えばアメリカには若年層向けのMVNOがあって、ターゲット層の18〜30歳に向けてブランディングをしています。ディズニースマホのMVNOはありだと思いますが、若者向けには「安いけどカッコイイ」というブランドを作るべきだと思います。

本田氏:iPhoneのUIは大画面に向いていない

本田氏 Xperia Z3 Compactに10点を入れました。ちょうどいいサイズ感でエクスキューズがないところを評価しました。“Xperia Z3”のプラットフォームは、省電力化が進みました。Xperia Z3(5点)でも(充電せずに)2日間持ちますが、Xperia Z3 Compactではそこまで行かなくとも、あのサイズ感で総合的な使い勝手を高めています。自分の好みに合わせて使えるのがいいですよね。都心部ではスマートフォンを片手で使う人ことが多いので、通勤、移動しながら使うときに、ちょうどいいサイズ感です。一方、自宅や職場で使うことが多い人は、5型クラスのモデルがいいでしょう。

 iPhoneは6に4点入れましたが、6 Plusには点は入れていません。iPhoneのUIは大画面に向いていないんです。最初は3.5型から4型になりましたけど、あのサイズ感や手に持ったときの感触を考えてUIを作っているんですよ。今までのiPhoneは右手で持つと左上に親指が届いていましたが、iPhone 6 Plusでは難しい。ホームボタンのダブルタップで画面半分を下げることはできますが、サイズを大きくしたことで、アイコンが左上から並ぶiPhoneのUIに矛盾が出てきたかなと。そういった意味では、iPhone 6の方がいいかなと思います。大画面向けのUIがiOS 9でどう進化するかは期待したいところですね。

 4点を入れたAQUOS ZETA SH-01Gは、液晶のよさもありますが、低消費電力のIGZOを評価しました。ZenFone 5が意外と良いですね(2点)。Xiaomiなどの中国メーカーは、特許の関係で日本を含む海外に参入できていませんが、ASUSはきちんと日本で発売できた。ZenFone 5はデザイン性と、Android自身のバージョンが上がってUIも良くなっています。中国ではXiaomiが伸びていますが、特許の関係で、スマートフォンは日本では発売できないでしょう。

山根氏:iPhone 6が一番だが、iPhone 6 Plusは残念だった

山根氏 iPhone 6に10点を入れました。4.7型は自分にとっては小さいですが、薄くすることで、ただ小さいだけでなく、すごく持ちやすくなりました。ただ画面を4.7型にしただけでなく、薄くすることで、4型のiPhoneユーザーが違和感なく移行できるのではないでしょうか。これがもっと厚かったらiPhoneユーザーは困ってしまったかなと。今までのiPhoneユーザーにとっては大きな感動はないかもしれないですが、そうしたユーザーの期待を裏切らずに大画面化した。これって実はすごいことじゃないかなと。香港でiPhone 6に買い換えている人の姿を見ると、やっぱりすごいなと。ほとんどの人が6に変えていますよ。

photo iPhone 6とiPhone 6 Plus

 一方、iPhone 6 Plusは工夫がなく大きくしただけという印象です。ほぼ同じサイズのAscend Mate7よりもディスプレイが小さいですし(Ascend Mate7は6型、iPhone 6 Plusは5.5型)。中国でiPhone 6 Plusのモックが出たときに「ウソでしょ?」と思いましたよ。「またアイコンだけ大きくちゃって〜」と思ったら、本当に!?と(笑)。普通、画面と解像度が大きくなったらアイコンを増やすでしょう。サムスンだって増やしているんだから。アイコンの数がiPhone 6と同じですからね。ビックリしましたよ。サムスン端末で画面全体を小さくするような、UIの工夫が足りない。でも、次のiPhone 6 Plusはすごくなると信じていますよ。

 GALAXY Note Edgeは、曲面ディスプレイがアグレッシブで、他社がどこもやらないものを載せました(4点)。サムスン電子はスマートフォンメーカーといわれているけど、部品や液晶も作っていて、その技術をうまく出せたのではないでしょうか。でも、もし「GALAXY Note 4」が日本で出ていてノミネートされたら、これに10点を入れました。GALAXY Note Edgeは文字どおりエッジが効きすぎているので(笑)。エッジディスプレイを使いこなすのが大変なんですよね。個人的にはGALAXY Note Edgeが好きですが、動きも若干もっさりしているし、皆さんにGALAXY Note Edgeを買ってくださいとは言いにくいかなと。

 Ascend Mate7は今までのHuaweiのイメージを一新するモデルだと思います(3点)。アジアのファブレット人気をHuaweiがうまく認識して、GALAXY Noteに対抗できるスペックを載せました。サクサク動くし、このサイズで6インチはいいですよね。狭額縁のボディも魅力で、iPhone 6 plusとほぼ同じサイズで出してきたことも評価しています。Ascend Mate7に触れてからiPhone 6 Plusに触れると、ディスプレイ面ですごい無駄なスペースを使っていると感じます。Ascend Mate7の方が、はるかに密度が詰まっていて、本体サイズを有意義に使っています。iPhone 6 Plusはどうも甘いな……と思いました。

 ZenFone 5は格安のSIMロックフリー端末端末という点では出来がいいですが、もっと値段を下げて、1万9800円くらいで日本市場を破壊してほしかったですね(1点)。

 isai FLは日本に特化して、しかもハイスペックなものに仕上げてきました(2点)。LGエレクトロニクスは海外では「G3」でがんばっていますが、日本市場を重視してくれたことがうれしいですね。G3のグローバルモデルをそのまま出さず、isaiとしてアレンジした柔軟性を評価しました。

 iPhoneとXperiaは“正しいスマートフォン”ですね。GALAXY Note EdgeとAscend Mate7は正統なスマホとはいえず、ターゲットを選びます。その中でXperia Z3を当初の5機種に選ばなかったのは、正統進化で日本人受けはするけど、個人的には正統すぎて面白みがなかったから。万人にオススメできることを考えて5点を入れましたが、Xperia Zを初めて見たときほどの感動が、Xperia Z2やZ3では少なかったと思います。

 ちなみに最初の5機種でTORQUEを選んだのは、スペックというよりも、日本の得意な防水をとがらせて、アメリカで成功したものを逆輸入したことが面白いと思ったからです。アメリカ育ちの日本人みたいな。私は海外から日本の市場を見ているので(※山根氏は香港在住)、日本在住の方とは視点が違うかもしれませんね。

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