各キャリア2015年「年頭所感・挨拶」にツッコミ ━━4人の社長は新年に何を語ったのか石川温のスマホ業界新聞(3/3 ページ)

» 2015年01月16日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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ソフトバンク・孫正義社長

 あけましておめでとうございます。昨年は、ソフトバンクグループが、さらなる大きな一歩を踏み出した年でした。

 国内では、スマートフォン時代のネットワーク強化へ努力してきた結果、外部調査で、接続率、通信速度、顧客満足度No.1を獲得し、7月に誕生した新会社「ワイモバイル」は、ヤフー株式会社と連携し、新しいモバイルインターネットサービスの提供を開始しました。また、世界初となる感情を認識するパーソナルロボット「Pepper」を発表し、新しい事業分野を開拓しました。米国ではマルセロ・クラウレ氏がスプリントのCEOに就任し、彼の強力なリーダーシップの下、さらなる飛躍に向けて精力的に動き出しています。また、今後も目覚ましい成長が期待されるインド、東南アジアを中心とした地域に展開するネットベンチャー企業へ投資を行い、当社のグループシナジーが最大化できるような構えをつくってきました。

 今年は、「Pepper」の販売が開始され、ロボットが初めて一般家庭に浸透していくという記念すべき年となるでしょう。また、新型の高機能のスマートフォンやタブレットも続々と登場することになります。こうした状況の中、情報革命の技術はもう成熟期に入ってしまったのかと考える方が多いかもしれません。しかし、私はまだ始まりにすぎないと思っています。メモリー、CPUの処理能力、計算能力などは1年半ごとに倍増し、通信速度も同じように倍増しています。これが15年後だと、現在の1000倍、30年後はさらにその1000倍と加速度的に伸びていくことでしょう。また、膨大な情報量とともに、生活の中にある全てのものがインターネットにつながり、「Pepper」のような感情を認識するロボットとのコミュニケーションも生まれ、ライフスタイルが大きく変わる時代が必ずやってきます。仕事や遊びだけでなく、医療や教育などのさまざまな産業分野にも変革がもたらされることになるでしょう。

 こういった新しい時代を常に先導し、人々の幸せのために取り組んでいくということがわれわれの本業であり原点です。この原点を大切にし、未来を見据えながら常に挑戦し続ける、そういう企業グループでありたいと思っています。

 「情報革命で人々を幸せに」。この経営理念の下、グループ会社一丸となってその実現に向けて行動するのみです。今年も、ソフトバンクを宜しくお願いいたします。

以上

ソフトバンク・孫正義社長の年頭所感を読んでみて

 2014年のソフトバンクは「Pepper」ぐらいしか注目を浴びなかった。すっかり話題の少ない、寂しいキャリアになってしまった感がある。「VoLTE時代を先取りした料金プラン」も、かつての「ゴールドプラン」を連想させる、ユーザーの気持ちに全く刺さらない、魅力ゼロのプランだったし。結局、見直して、NTTドコモの追随しか出せなかった。かつての「ホワイトプラン」のころの「他社を出し抜く料金プラン」を出せなくなったソフトバンクが残念でならない。

 孫社長は「携帯電話キャリアは儲けすぎている」と息巻いて、ボーダフォンを買収してソフトバンクモバイルを始めたのに、儲かるやいなや「利益1兆円を超える」「NTTドコモを超えた」と宣言。しかし、結局は9000億円台に留まるなど、今から振り返ると「あれは何の宣言だったのか」と首をかしげたくなるほどだ。

 アメリカへの進出も、スプリントを買収し、T-Mobileも手中に収めるかと思いきや、強力な抵抗にあってしまい断念。それからというもの、一気にトーンダウンした感がある。「日本のノウハウを生かし、スプリントを再生させる一方、インターネットの最先端であるシリコンバレーのトレンドを先取りする」はずだったシリコンバレー拠点も開発体制に大幅な見直しが入ってしまった。

 スプリントの経営はマルセロ・クラウレに任せて、もはや孫社長の気持ちは別の所にあるように思える。

 本来であれば、PepperもCESに出展して世界からの注目を集め、アプリやサービスを盛り上げる必要があったはずだ。「アメリカで売る予定がないからPepperは出展しない」(ソフトバンク関係者)とのことで、それだったら「アメリカとのシナジー」はどこにあるというのか。すっかり腑抜けになったソフトバンクなんて見たくない。2015年には孫社長に日本で再び大暴れしてもらいたいものだ。

UQコミュニケーションズ・野坂章雄社長の年頭所感

 新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。

  昨年は、競合他社からさまざまなモバイルデータ通信サービスが提供され、これにより、競争は一層厳しいものとなりましたが、おかげさまで、当社は、「J.D. パワー アジア・パシフィック」、「RBB TODAY」、「オリコン」のモバイルデータ通信部門の顧客満足度ランキングにおいて、「満足度No.1 」を受賞した結果、2年連続の三冠を達成いたしました。

  これは、当社が他社に先駆けて、月額3696円で高速インターネットが使い放題となる画期的な料金プランを提供するなど、エリア、スピード、料金、デバイス、サポート対応などの全ての要素において、徹底的にお客様にご満足いただけるサービスを提供することに努めてきた結果だと考えております。

  本年、当社は、より多くのお客様に快適な高速インターネット通信をお楽しみいただけるよう、WiMAX 2+のサービスを、2015年3月末にはWiMAXと同等の全国エリアに拡大し、また、下り最大速度220Mbpsの超高速サービスを実現する所存です。

 さらに進化したWiMAX 2+サービスの提供を通じて、お客様により速く、より快適に、より安心してご利用いただけるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。どうか一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

UQコミュニケーションズ・野坂章雄社長の年頭所感を読んでみて

 顧客満足度ランキングにおける2年連続の三冠は、やはり「使い放題」というのが効いているのだろう。スマホでもパケットの通信制限が厳しくなる中、WiMAXであれば、使い放題というのはわかりやすく、また安心感も大きい。

 しかし、WiMAX 2+を導入した当初、「とりあえずは使い放題。その後はまた検討する」と野坂社長は言っていた。そろそろ、「検討結果がどうなったのか」を知りたいところだ。これで「使い放題」ではなくなったら、ユーザーはどん引きするだろうし、「UQらしさ」というのもなくなってしまう。

 「使い放題」を維持し続けられるかが、UQにとっての2015年の課題となるだろう。

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