VAIOと日本通信が「VAIO Phone」を正式に発表 ━━2社の幹部がメディアからの素朴な疑問に答える石川温のスマホ業界新聞(1/2 ページ)

» 2015年03月20日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 3月12日、日本通信とVAIOは「VAIO Phone」を発表した。記者会見終了後、VAIO・花里隆志氏、日本通信・福田尚久氏の囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年3月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


━━ 初年度の販売目標は。

福田氏 それは設けていないが、かなり台数を追いたいと思っています。

━━ 具体的な数字は。

福田氏 具体的な数字は控えております。

━━ 十万単位とか。

福田氏 そういう単位を狙いたいですね。数万ではなく、このモデルだけかどうかは別にして、年間で見ると、2桁万台の市場規模はあるだろうと。

━━ 初期ロットはどれくらいか。

福田氏 (言及は)難しい。初期の出荷は毎日のようにしている。難しいですね。

━━ 当初の発表からずいぶん遅れたが、ODMのコントロールが難しかったのか。

福田氏 設計へのこだわりを含め、いろいろなところをずっとチェックしてきた。その辺は当初に予定していたよりかは長くかかった。その分、良い製品に仕上がった。

(★ やっぱり、話が始まって半年で製品を出すというのは無理があるのでは)

━━ 発売日を言うのは難しいのか。

福田氏 私どもの言い方の問題ですが、販売店さんの事情がある。出荷開始日は言えるのですが、発売日をどうするというのは、各社さんで違うので、販売店からの発表をお待ちいただきたい。ただ、予約注文をされるというのは聞いております。お客様にお届けし始めるのが20日から。

━━ デザインの監修は外観が中心だったが、操作系などに展開する予定はあるか。

花里氏 今後の予定は具体的に話せる段階ではない。今回は持った感じやデザインだとか、ハードとしてのパッケージ面を我々でやっていまして、中身はすごくシンプルにした。

(★ シンプルというか、何も手を加えていないというか。中身を壁紙一枚でVAIOを名乗るのもどうかと思う)

━━ 今後、追加でVAIOらしくする、ということはあるのか。

福田氏 私のほうからいいますと、このなかにオートセットアップ機能というものをいれておりまして、実は私どもの「マイページ」という通信のポータルがあるんです。そこで例えばあることを申し込むと、そこから先は自動的にアプリをインストールして、自動的にセットアップするという仕掛けが入っている。それによって、各販売パートナー、ソリューションでのパートナーの方々が、これを素材としてプラットフォームとして、いろんなアプリをプリインストールできる状態に作っている。

━━ ということは、パートナーによって、売り方やバンドルされるサービスなどが変わるのか。

福田氏 変わってきます。従来の携帯電話のビジネスでいうと、どこのショップでも同じ製品が同じように売っている。何十万台規模で生産されているというものになっているが、今や、使い方は1人1人違う。もちろん、ここにいらっしゃる方のように自分ですべて設定できる方もいる。

 たとえば企業で1000人の方にあるアプリを一斉にインストールしたい、というようなニーズがある。あるいは、私が父親のスマートフォンにセットアップしてあげるとか、というのを可能にできる仕組みを入れている。そういった意味でのソリューションを提供することがひとつ重要なコンセプトで、このなかに組み込んでいる状態。変な言い方だが「後からプリインストールができる」という仕組みにしている。そこがマスプロダクションとして、最初に全部メーカーでつくって、ドコモなどがこういうアプリでやりますというのではない。これでヘルスケアサービスを目指している大手の方もいるのですが、そうしたアプリもあるのです。

 それをいちいち、別モデルを用意してインストールしてやらなくても、最初から、端末には自動的にアプリを追加できるという仕組みを入れてある。

(★ このあたりの取り組みは、MVNOとして素晴らしいと思う。ただ、それがユーザーの求めるVAIOスマホなのか、といえば違う気がする。なので次の質問をしてみた)

━━ 日本通信がやりたいことと、ユーザーが求めるVAIOスマホに対するイメージにズレがあるのでは。

花里氏 VAIOとしては今、福田氏が語った内容に共感して協業を行っている。VAIOユーザーが求める、たとえば、昔で言えば「VAIO P」のような、ああいったものとわかった上で、最初の協業としてこういった形が良いのではないか、というのが我々のまず一つ目の答え。

(★ もしかしたら、VAIOとしてはスマホではなく、VAIO Pのようなデータ通信分野で協業したかったのに、結果としてなぜかVAIOスマホが出て来た、という展開になってしまったのかな)

━━ 今回、デザインがVAIOで製造が日本通信だが、ハードに長けたVAIOが製造を担当し、日本通信が企画を担当する役割分担はなかったのか。

花里氏 最初に関取(社長)がお話ししたと思うが、通信のデバイスに関するノウハウが新しい会社だけに、さほどない。そこを最初からできるとも思っていない。むしろ、協業のほうがいいというのが今回の形。

(★ 役割分担は理解できるが、デザイン面でVAIOはちゃんと仕事をしていたのか、という疑問も沸く)

━━ 製造はどこでやっているんですか。

花里氏 海外でございます。

━━ VAIOからデザインのライセンスを日本通信が受けて、製造するという形か。

福田氏 VAIO側のエンジニアリングの方も出ていただいて、一緒に開発してきた。そこはVAIOが主にデザイン、日本通信が主に製造面。たとえば製造といってもJATEやTELECを通したりするのは日本通信がやっている。日本通信は過去に、ファーウェイやZTEといったメーカーの端末を最初にSIMフリーとして日本に提供した。ですから、製品を作って、日本に入れるというのは過去もやってきている。

(★ 日本通信がここまでやる必要があるのか。というか、VAIOもメーカーなら、それくらいは自分でやったほうが、ノウハウを蓄積するという上で重要なのではないか)

━━ 5万1000円という価格で販売するが、それよりもパッケージ売りが重要なのか。

福田氏 お客様の選択肢によるが、数で言うと、圧倒的に分割払いで、月々2980円をお支払いするかたが多いと思います。ただ、すでにいろんなものをお持ちの方も多いので、一括で購入したいというご希望も強いですから、これも用意している。

━━ 今後、SIMフリー市場が広がると、5万円というのは、ソニーのXperiaと競合になるのではないか。

花里氏 価格設定は私どもというよりも日本通信。そもそもこの組み方のなかで、ソニーと競合になると最初から思っていない。もしそう思っていたら、ソニーのほうで承諾はしないだろう。そこはすみ分けられているだろう。ソニーも意識していないのではないか。

(★ ユーザーは「ソニー」としてVAIOとXperiaを比較するのではないか。このままでは、防水性能もありデザインも優れたSIMフリーXperiaを選ぶのは間違いない)

━━ 中身もゼロからVAIOスマホを開発して、それらと競合することはないのか。

花里氏 今のところ、そこまでは考えていないですね。まずはしっかりとこうしたかたちを始めて、むしろ、スマホで競合するよりかは、様々なデバイスで、IoTの世界までを含めた可能性を考えたいと思っている。

(★ スマホにさほど興味がないなら、初めからやらない方がいい。中途半端に終わるだけ)

━━ ビジネス向けも意識していたりするのか。

福田氏 MVNOとしてやってきて、法人からのニーズがすごくある。法人ニーズの場合、なかなかスマートフォンがなかった。どこだからわからないメーカーのものは買えないし、そうかといってドコモ契約しているやつを解約して、MVNOと契約するということもやらない。そういった意味で、スマートフォンでいいものがなかった。さらにどうやってアプリケーションをインストールするのかといった細かいところも含めて、法人のニーズは高い。今回の製品はコンシューマーはもちろんだが、法人でも使っていただけるデザインにした。

━━ 法人とコンシューマー、どちらが多いイメージか。

福田氏 スタートはコンシューマーが多いだろうが、じわじわと法人のニーズは高まっている。MVNOが何百社にもなってきているが、法人関係では穴があいている状況。

━━ 三田社長がプレミアムといいつつ、:福田氏 はど真ん中のストライクゾーンとした。高級なのか、普及機なのか。

福田氏 僕は花里さんが「ミニマル」といっていたが、その感じだと思っている。余分なものはそぎ落とし、必要な機能はしっかりと備える。持ちやすい、そういったことも含めて、トータルコストで考えても贅肉はない。

 私どもは今回、5万1000円という価格についても、一括価格を出すことに躊躇はした。そこは2980円、3980円という月々払いのほうが、メインになるだろう。そのへんのことも含めて、980円、1980円のSIMというのは、現在の市場では圧倒的にお安くなっている。トータルコストで見ると、必要最低限、高品質にきちっとカバーしている。

(★ トータルコストという考え方はMNOの2年縛りに近い)

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