ワイヤレスジャパン2015の初日にあたる5月27日に、日本Androidの会がIoT(Internet of Things:モノのインターネット)と、福祉をテーマにしたセッションを開催した。
IoTセッションでは、毎年恒例になりつつある「メイドさん」をフィーチャーした講演が2つ行われた。福祉のセッションでは、発達障害のある児童向け療育・知育ゲームアプリ、障害のある人向けのウェアラブルデバイスの具現化、映画のバリアフリー視聴環境に関する講演がそれぞれ行われた。
本稿では、メイドさん関連、もとい、IoT関連の講演の模様をお伝えする。
最初の講演は、日本Androidの会 秋葉原支部 アクセサリ部の江口 和幸氏が行った「メイドさんの吐息を地球の裏側に転送する」と題するもの。
まず、本題に入る前に紹介されたのが、「リアルタイムふりふり」という新作アクセサリー。スマートフォンやPCのWebブラウザからボタンを押すと、押された回数に応じてUSB電動うちわがより速く動く、というものだ。WebSocketを使ってAndroidスマホに届いたボタン押下情報が、Bluetoothを介して制御マイコン(ルネサス エレクトロニクスの「GR-KURUMI」)に伝えられ、マイコンに接続されたモータードライバで、うちわのあおぐスピードを調整する、という仕組みとなっている。
そして、本題である「メイドさんの吐息を地球の裏側に転送する」取り組みでは、吐息の“送受信”両方において制御マイコンとBluetoothを利用する。送信側のマイコンには吐息の量を検知する曲げセンサーを、受信側のマイコンにはDC(直流)ファンをそれぞれ接続し、信号情報をやりとりするスマホ間の通信には、P2P(直接通信)を用いている。
続いて、日本Androidの会 秋葉原支部 アクセサリ部の大坂 泰弘氏が「今日から使えるIoT 〜近距離無線が縮める僕とメイドさんとの距離〜」と題するセッションを行った。大坂氏は、NFCや「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した近距離無線に関する講演や展示をワイヤレスジャパンで2012年から行っており、ITmedia Mobileでは2013年、2014年の講演・展示を取り上げている。
「IoTは身近なもので、誰でも今日から使えるもの。メイドさんと一緒にそれを考えていくこと」を活動している大坂氏。その身近さを感じてもらう一環として、メイドさんが先生となって、子どもたちが電池なしで光るLEDライトや手作りNFCタグを作る、というワークショップも開催している。
またNFCタグを使うことによって、仕事や生活の効率化も目指している。例えば、会社の印鑑にNFCタグを貼り付けて、捺印管理簿の入力用画面を自動的に開けるようにすれば、「あれ、捺印管理簿、どこだっけ……?」「どのアプリ(サイト)で入力するんだっけ……?」といった面倒から解放される。また、インターネット通販で繰り返し注文する商品のページをNFCタグに登録することで注文までの過程を簡素化することができる。
これが「メイドさんとの距離を縮める」ことと、どのような関係があるのか。実は、今回のセッションに協力している幻橙館では、店舗のいろいろな場所にNFCタグが貼ってあり、店舗のTwitterアカウントの表示・フォロー誘導はもちろんのこと、スマホを使った注文システム「かりータップ」の利用誘導にも使われている。さらにはメイドさん(店員)のネームカードにもNFCタグが入っていて、個人のTwitterアカウントの表示・フォロー誘導にも使われている。客とメイドさんとの距離を“縮める”ために、IoTが役立っているのだ。
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