一般財団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、7月4日から5日にかけて開催したアプリ開発コンテスト「SPAJAM2015」本選の受賞作品を6日に発表した。
本選に参加した11チームの中で最優秀賞を受賞したのは、「VRつくり隊」の「World Portal」。全天球カメラ「RICOH THETA」で撮影した画像を共有し、画像のどこかに表示される「ドア」を開くと、ほかの人がTHETAで投稿した写真がランダムで表示されるというもの。ドアからドアへ移動しながら、まるで旅をするような感覚を味わえる。ドアを起点にしたUIとその動きが秀逸で、審査会ではほぼ満場一致で決まった。
VRつくり隊には、シリコンバレースペシャルツアー、「Adobe Creative Cloud コンプリートプラン 個人版」1年分、コロプラ馬場社長とのランチミーティングと社長室見学ツアー、「IO Hawk」1台などの豪華賞品が贈られる。
優秀賞はFUNkeyの「Sharerm(シェアラム)」、デジテニ東京の「ワラカン」が受賞した。
Sharermは、グループで目覚ましの「スヌーズ機能」を共有し、楽しく寝坊を撲滅することを目指したアプリ。自分が時間通りに起きても、ほかの人が起きないと自分のスマホのアラームが鳴り続ける。逆もしかりで、自分が寝坊をしたおかげでほかの人に迷惑を掛けてしまうこともあり得る。今すぐにでもリリースできると思えるほど明確にイメージがわくことや、寝坊した人に罰金を課すなどサービスの拡充に期待できることなどが評価された。
ワラカンは、飲み会(合コン)で撮影した参加者の写真を認識して、男女や笑顔度から各参加者の支払額を計算してくれるアプリ。笑顔の女性ほど、支払額は少なくなる仕組み。利用シーンが明確であること、プレゼンテーションの質の高さなどが評価された。
審査員特別賞は、よろしくお願いします。feat Higu's Broが手がけた「Music Elevator」が受賞した。Music Elevatorは、スマートフォンを充電すると、エレベーターに乗るアニメーションとともに、ほかのユーザーが保存している音楽データを取得してくるアプリ(充電時間が長いほど、より遠くのユーザーの音楽データを取得する)。充電を終えると、取ってきた音楽が30秒だけ再生され、iTunes Storeへのリンクも付いている。スマホの充電は必ず行うものなので、「(実質的に)何もせずに世界中の人と音楽をシェアできること」を特徴に打ち出した。充電をトリガーにしたアイデアが評価されての特別賞となった。
そのほか、好きなものへのパッション、秘密にしたいコアな趣味、色と音に置き換えた感情、言語フリーな感情、応援、育成したモンスター、散歩体験――などをシェアするという個性豊かなアプリが発表された。
6日には「モバイルプロジェクト・アワード2015」と合同でSPAJAM2015の授賞式が開催された。
審査委員長の日本Androidの会 名誉会長 丸山不二夫氏は「世の中でハッカソンは下火になりつつあるが、(SPAJAMは)日本のスマートフォンアプリコンテストでは最大のものに成長した。VRつくり隊はTHETAを使っている。オムロンの画像認識エンジンを使ったアプリもあり、ハードウェアとの連携で新しいアプリが生まれた。IoT(モノのインターネット)が、スマートフォンのアプリ開発にも影響を与えていると同時に、面白い応用分野を開いている」と、アプリ開発に新たな潮流が生まれつつあることに、喜びの声を上げた。
SPAJAMは、2016年も開催される予定。アプリ開発に本気で取り組みたいという情熱を持つ次世代クリエーター候補の人たちは、ぜひ参加してほしい。
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