「みおふぉん」は当初の予測より50倍近く売れた――「モバイルプロジェクト・アワード2015」表彰式

» 2015年07月06日 21時54分 公開
[田中聡ITmedia]

 一般財団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は7月6日、モバイルビジネスの発展に貢献した個人とプロジェクトチームを表彰する「モバイルプロジェクト・アワード2015」の表彰式を実施した。

 モバイルプロジェクト・アワードでは、モバイルコンテンツ部門、モバイルプラットフォーム・ソリューション部門、モバイルハードウェア部門、MCF社会貢献賞の4部門で特に優れた製品やサービスを選出している。2015年の審査結果は以下のとおり。

「モバイルプロジェクト・アワード2015」審査結果
モバイルハードウェア部門
優秀賞 ZenFone 5
優秀賞 通信融合カメラ「LUMIX CM1」
モバイルプラットフォーム・ソリューション部門
優秀賞 Remote TestKit
優秀賞 au WALLET
優秀賞 IIJmio 音声通話機能付きSIM(みおふぉん)
MCF社会貢献賞
MCF社会貢献賞 大規模災害時における公衆無線LAN無料開放「00000JAPAN」
モバイルコンテンツ部門
優秀賞 MixChannel
優秀賞 白猫プロジェクト
優秀賞 音楽コミュニティアプリ nana
優秀賞 Brain Wars
優秀賞 SmartNews
photophoto モバイルハードウェア部門で受賞をした「ZenFone 5」と「LUMIX CM1」

 2015年は最優秀賞は該当なしで、優秀賞とMCF社会貢献賞のみとなった。以下に選考理由と、担当者のコメントをピックアップして紹介したい。

photo 冒頭では実行委員長の東京理科大学 名誉教授 東邦仁虎氏があいさつをした

“クロスバリューイノベーション”で生まれた「LUMIX CM1」

 モバイルハードウェア部門で受賞した「ZenFone 5」は、価格と性能のバランスの良さを評価しての受賞となった。「ASUSは2002年に日本法人ができあがって、まだ13年しかたっていない。社員も若く少人数でやっているが、これからも新しい端末を日本市場に出し、モバイル市場をより活性化させたい」(ASUS JAPAN コンシューマー事業部 リテール営業2課 課長 中村正志氏)

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 「LUMIX CM1」は、停滞感の漂いつつあるスマートフォン市場に新しい流行を提案したことが評価された。

 「CM1は、横浜の旧スマホ部隊と大阪のカメラ部隊と共同でプロジェクトを作って開発した商品。パナソニックの中では『クロスバリューイノベーション』という言葉がある。異業種や異文化といった異なる価値をミックスして、新しいイノベーションを起こす取り組み。今回のCM1も、その取り組みで進めた。ライカレンズや1インチのイメージセンサー、LUMIXのカメラ信号処理回路を、なんとしてもこのサイズに詰め込むという目標を共有することで、最後にはイノベーションを起こせた。今後は、カメラにLTEモジュールを内蔵するなど、新しいお客様価値を創造して、モバイルイメージング文化に貢献していきたい」(パナソニック AVCネットワークス社 イメージングネットワーク事業部 イメージングプロダクツビジネスユニット 商品企画部 部長 前田将徳氏)

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楽観的な予測よりも50倍近く売れた「みおふぉん」

 モバイルプラットフォーム・ソリューション部門で受賞した「Remote TestKit」は、遠隔でスマートフォンの実機画面を表示して、アプリやサイトの動作を検証できるツール。30機種のスマートフォンに対応しており、実機の導入コストを削減できることが評価された。

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 「au WALLET」は、端末やネットワークが成熟していく中で差別化要因になるサービスを提供したこと、対応店舗の広さなどが評価された。

 「2014年のサービス開始当初は類似サービスが少なかったので、どれほどお客様に受け入れていただけるかを不安だったが、いい意味で予想を裏切るペースで申し込みいただいており、すでに1200万件の申し込みを突破した。今後もポイントをためて使っていただく楽しさを体感いただき、ポイントアップ店でのパートナーシップを強化することで、よりよいサービスにしていきたい」(KDDI au WALLET推進部 グループリーダー 長野敦史氏)

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 IIJの「みおふぉん」は、MNO(大手キャリア)からMVNOへMNP(モバイル番号ポータビリティ)で乗り換える動きが活発化する契機を作ったこと、MNOへの対抗策も打ち出しユーザーに新たな選択肢を提示したことが評価された。

 「思い起こせば3年目に(みおふぉんの)プロジェクトを結成したが、需要があるのかな、と皆で自問自答をした。『月間どれくらい売れるのか?』と赤裸々に話したときに、私は会社の中で最も楽観的な予測をした。しかし、実際はその楽観的な数字の50倍近い契約をいただいている。それだけ高い評価をいただいたということだと思っている。今後も、より市場をリードしていくことに注力したい」(IIJ ネットワーク本部 技術企画室 担当課長 佐々木太志氏)

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「助け合いの精神」から生まれた「00000JAPAN」

 「00000(ファイブゼロ)JAPAN」は、大規模災害時に無料で利用できる公衆無線LANサービス。日本で約100万といわれているアクセスポイントの約90万をカバーしており、非常に威力あるプロジェクトということで、満場一致で決まった。

 「(00000JAPANは)東日本大震災を教訓にして、通信事業者や業界関係者が1つになれた象徴だと思っている。3キャリア、メーカー、いろいろな関係者が、普段はにらみ合いながら仕事をしているが、大規模災害時は1つになる。助け合いの精神は日本人らしい。こういうことができるのは、アンライセンストバンドのWi-Fiだからだと思っている。1人でも多くの人が使えるよう、まい進していく」(KDDI 技術統括本部 技術企画本部 技術企画部 副部長 大内良久氏)

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モバイルコンテンツ部門では、世界を巻き込んだヒット作も受賞

 10秒の動画を投稿できる中高生向けサービス「MixChannel」は、参加のしやすさ、広がり、10秒という狭い範囲の中で新たな可能性を見つけたことが評価された。コロプラのRPG「白猫プロジェクト」は、スマートフォンのコンテンツで2015年に一番ヒットしたことから、満場一致で決定。グラフィックのクオリティの高さや、指1本で操作できることが評価された。

 音楽コミュニティアプリ「nana」は、日本の音楽好き、バンド好き、カラオケ好きが参加して、日本の得意なサブカル的なコンテンツを世界に発信できることが決め手に。「Brain Wars」は、全世界で1300万以上のダウンロードを記録した知的対戦アプリ。ユーザーのうち95%が海外の人であり、海外で大きく成功した日本発のモバイルコンテンツであることが評価された。「SmartNews」は、キュレーションメディアとして、日本で一番普及しており、リコメンデーションの高さが評価された。

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