「KDDI ∞ Labo」の次期パートナー企業にグーグルほか3社が参画6カ月の「ハードウェアプログラム」も開始

» 2015年07月15日 14時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 KDDIは14日、スタートアップ企業やエンジニアを支援するプログラム「KDDI ∞ Labo」第8期の最優秀チームの発表と、第9期プログラムの説明を行った。

photo KDDI ∞ Laboの第8期プログラムに参加した5チーム

 第8期プログラムには「OSHARECA(オシャレカ)」「Bee Sensing(ビー・センシング)」「PU(ピーユー)」「LYNCUE(リンキュー)」「シンデレラシューズ」の5チームが参加。パートナー企業がメンター(助言者)として、アセットやノウハウを提供して各チームを支援する「パートナー連合プログラム」により、3カ月間の活動期間でサービス開発を行った。

第8期の「最優秀賞」「オーディエンス賞」はダブル受賞

 最優秀賞の発表の前に、各チームによるプレゼンテーションが行われた。

 OSHARECAは、髪型やヘアケアの相談を美容院の美容師とSNS感覚でできるアプリで、メンターはクレディセゾンが務めた。

 Bee Sensingは、IoTデバイスを使って養蜂の生産を支援する管理システムで、メンターは凸版印刷が務めた。

 PUは、家具、アクセサリーやガーデニングなど、DIYのハウツーを動画で学べて交流もできるサービスで、メンターはテレビ朝日が務めた。

 LYNCUEは、カメラで撮影したリアルタイム映像を離れた場所のプロジェクターで映し出すIoTデバイスで、メンターは日立製作所が務めた。

 シンデレラシューズは、スマホのカメラで足の画像を撮って送るだけで、ECサイトの中から自分にぴったりな靴が探し出せるサービスで、メンターは三井不動産が務めた。

photophoto 美容師と髪型やケアの相談ができる「OSHARECA」。美容師が過去の履歴を確認しながら適切なアドバイスができる(写真=左)。メンタリング企業のクレディセゾンは、美容メーカーなどの紹介、カード会員へのアンケートリサーチやアプリ開発全般を支援した(写真=右)
photophoto 養蜂を支援する「Bee Sensing」。巣箱に設置されたセンサーで情報を収集・管理し、遠隔地にある養蜂場の巡回もサポートする(写真=左)。メンタリング企業の凸版印刷は、センサーメーカーなどIoTソリューションを提供する事業者の紹介、農業のICT市場情報など、事業計画に向けたノウハウを提供した(写真=右)
photophoto DIYのハウツー動画配信やユーザー同士のSNS機能、作った商品の売買などが可能な「PU」(写真=左)。メンタリング企業のテレビ朝日は、低コストの動画作成ノウハウなどをレクチャーした(写真=右)
photophoto カメラとプロジェクターが搭載された「LYNCUE」。カメラが撮ったリアルタイム映像を、ネットワークを介して離れた場所のプロジェクターで映し出せる(写真=左)。メンタリング企業の日立製作所はハードウェアや基板の設計についてサポートした(写真=右)。
photophoto スマホで足の写真を4枚撮って送ると、足の特徴をまとめた診断書を作成し、ぴったりな靴をECサイトから探せる「シンデレラシューズ」(写真=左)。メンタリング企業の三井不動産は、足を撮影する機会や場所、コワーキングスペース「Clipニホンバシ」のコンサルタントによる助言などを提供した(写真=右)

 今回、最優秀賞に選ばれたのはシンデレラシューズだった。独自性、市場性、完成度が評価された。なお、シンデレラシューズは、当日の出席者の投票で選ぶ「オーディエンス賞」も受賞し、ダブル受賞となった。

photo KDDI 代表取締役執行役員専務 バリュー事業本部長の高橋誠氏から表彰されるシンデレラシューズ代表の松本久美さん

次期メンタリング企業にはグーグルなども参画

 表彰式の後、KDDIの代表取締役執行役員専務 バリュー事業本部長の高橋誠氏が、第8期の振り返りと第9期プログラムの方針説明を行った。

 まず、KDDI ∞ Laboとして、初めて女性が率いるプロジェクト(シンデレラシューズ)が最優秀賞を獲得したことを賞賛した。また、第1期から累計で39チームがプログラムに参加・卒業したこと、ベンチャー企業を広く支援する「KDDI Open Innovation Fund」を通して29社にKDDIが出資していること、パートナー企業として15社が参画していることを改めて紹介した。スタートアップと企業とのビジネスマッチングの成果や、地方との連携として「大阪イノベーションハブ」との提携活動についても取り上げ、スタートアップの支援が企業、自治体を巻き込んだ全国的な活動になっていると指摘した。

photophoto KDDI ∞ Laboとファンドの活動、パートナー企業の広がりなどを説明(写真=左)。「大阪イノベーションハブ」との提携によって地方のスタートアップ支援も始まり、活動が全国に広がっていると説明(写真=右)

 スタートアップをめぐる環境としては、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の国内市場が成長していると分析。KDDI ∞ Laboでもハードウェア系の応募件数が増加しているという。高橋氏は、開発拠点も増えている一方で、量産化支援や販売チャネルについては不透明だと指摘。その上で、「一度作って売るだけではなく、持続性が大事だ」と強調した。

 その上で、国内での起業家支援活動の活発化の動きと「フェーズを合わせて」(高橋氏)いく取り組みとして、KDDI自ら「LUXA(ルクサ)」と組んで「au WALLET Market」を通した物販サービスを2015年夏に開始することを紹介し、事業創出につながる支援を続けていくことを表明した。

photophoto モノづくりのスタートアップは機運は盛り上がりつつあるが、支援環境は不十分と認識(写真=左)。その上で、LUXAと協業して提供する「au WALLET Market」を通して事業創出につなげることで事業創出につなげていく(写真=右)

 そして、7月14日から募集が始まった第9期プログラムでは、「パートナー連合プログラム」に参画する企業として、新たにグーグル、住友不動産、三菱UFJニコスが加わることが明らかになった。既存の参画企業と合わせて18社体制で、スタートアップを支援することになる。

 別室で行われた報道記者向けの質疑応答で、KDDIの執行役員 新規ビジネス推進本部長の雨宮俊武氏は、グーグルの参画について、「(グーグルから)ぜひ参加したいというご希望をいただいた。世界的なOTT企業(Over The Top:通信事業者やインターネットプロバイダーとは関わりのないインターネットサービス事業者)なので、起業に関するノウハウ等の面で、KDDIとも、(他の)パートナー企業とも違う支援を期待している」と語った。

photophoto 第9期では、グーグル、住友不動産、三菱UFJニコスが新たに参画し(写真=左)、パートナー企業は計18社に拡大(写真=右)

 また、地方との連携も拡大し、大阪市に加え、石巻市(宮城県)、広島県と福岡市が新たに加わることになった。各地域のスタートアップに対し、KDDIやパートナー企業とのビジネスマッチング機会などを提供する「MeetUp!」プログラムも9月から順次開始される。

photophoto 地方連携では大阪市に加え、石巻市、広島県、福岡市が新たに参画(写真=左)。地方のスタートアップを自治体とともに支援する「MeetUp!」プログラムが9月から順次開始される(写真=右)

 さらに、「(LYNCUEのメンタリング企業となった)日立製作所さんから、3カ月でモノづくりをするのは不可能に近いという注文をもらった」(高橋氏)ことから、従来の3か月間のプログラムと並行して、モノづくりのスタートアップを支援する6カ月間の「ハードウェアプログラム」を開始することも発表された。ハードウェアのアイデア出しから開発支援、プログラム終了後にはクラウドファンディングやKDDIが持っている販路の活用まで、一気通貫でモノづくりの事業化を支援する。参加チームは、プログラム期間中にクラウドファンディングに掲載可能なレベルの試作品の完成を目指す。

photophoto モノづくりのスタートアップを支援するため、6カ月間の「ハードウェアプログラム」が登場する(写真=左)。モノづくりを本職とする企業や専門家のサポート、開発環境やツールなどを提供し、トータルにモノづくりを支援する(写真=右)

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