ASUSの「ZenPad 8.0(Z380KL)」(以下、Z380KL)は、その名の通り8型ディスプレイを搭載するAndroidタブレットだ。Wi-Fi(無線LAN)だけではなくLTE/3G/GSMのモバイル通信機能を備え、しかもSIMロックフリーだ。さらに、3G/GSMでの音声通話にも対応している。価格は3万円(税別)前後と、お手頃なことも特徴だ。
スマートフォン全盛のご時世に生を受けた「音声通話ができるタブレット」であるZ380KLは、誰を想定した機種なのか。実機をレビューしながら考えてみようと思う。タイトルがネタバレ気味な予感もするが、お付き合いいただきたい。
Z380KLのスペックは、いわゆる「ミドルレンジ」(中位)に相当する。プロセッサはQualcommの「Snapdragon 410」で、CPU部は4コア(最大1.2GHz)となる。メインメモリは2Gバイト、内蔵ストレージは16Gバイト搭載している。
どちらかというとハイエンドなスマホ・タブレットが人気を集める日本の市場では「ちょっと物足りないのでは?」と思われそうなスペックだ。それでも、2年前のハイエンドスマホ・タブレット(Qualcommの「Snapdragon S4 Pro」を搭載する機種)ぐらいの性能はある。そう考えると、Androidスマホ・タブレットの進歩というものはすさまじいものだと改めて実感する。
ベンチマークテストをしてみると、3D表示はかなりもたつく。しかし、それ以外の表示はむしろスムーズだ。3D表示を多用するゲームでもなければ、それほど問題を感じない。ただし、動画や音楽を大いに楽しみたい場合、ストレージ容量がやや心もとない。幸い、Z380KLにはmicroSDXCスロットが付いているので、microSDカードを別途用意して動画・音楽を保存するようにすればいい。また、「Googleドライブ」の100Gバイトプランを2年間無料で使える権利も付いてくるので、ドキュメントファイルはクラウド保存するようにしておけば、ストレージの節約とデータ共有が両方できて「一石二鳥」だ。
冒頭で述べたとおり、Z380KLは8型ディスプレイを搭載している。ディスプレイは、視野角の広いIPS液晶を採用し、解像度はWXGA(800×1280ピクセル)、アスペクト(縦横)比は10:16となっている。HD(1280×720ピクセル)の動画を画面いっぱいに表示できる上、画面の向きを問わずビジネス文章も見やすい。
ボディサイズは123(幅)×209(高さ)×8.5(厚さ)ミリで、重量は350グラムだ。仕事で持ち歩くカバンに入れてもかさばらないし、重みが増える感じもあまりしない。移動中に動画や電子書籍を楽しむ、という使い方にもピッタリだ。手帳タイプのカバーを付ければ、“書籍度”はより増すだろう。
Z380KLには、GPS/GLONASS、加速度センサー、磁気センサーや電子コンパスなども搭載している。仕事中、あるいは旅行中に目的地までのナビゲーションにも便利に使える。自動車の車内にスマホ用ホルダーを取り付けてZ380KLを固定して使えば、カーナビの代わりにもなる。
どこにでも持ち運びやすい絶妙なサイズ感と、後述のモバイル通信機能を組み合わせれば、「どこにでも持ち歩けるコンパニオン」的な使い方も可能だ。
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