2月18日、イオンリテールはMVNO事業者になると発表した。これにより、1GB月額480円からのプランなど、全29種類の料金プランを揃える。
これまで「イオンスマホ」として提供していたサービスは、日本通信やビッグローブ、IIJといったMVNOの商品を扱う販売代理店という位置づけであった。
イオンスマホが登場して、この4月で2年となるが、2月26日から従来のMVNO各社のサービスだけでなく、イオンオリジナルの料金プランも扱うようになる。スーパーでいえば、トップバリューのようにプライベートブランドを立ち上げるのに近いのかもしれない。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年2月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
販売代理店ではなく、MVNOとしてのサービスに踏み切る背景として、イオンリテール株式会社住居余暇商品企画本部、橋本昌一デジタル事業本部長は「(販売代理店は)商品で言えば、メーカーと問屋、小売りという関係だが、(MVNO参入で)できるだけ短い流通経路でコストダウンにつなげたい。その差をお客様に還元したい」という。
今回、イオンモバイルでは全国213店舗ですぐに対応できるアフターサービスを展開していく。端末が故障した場合もユーザーが直接、メーカーに依頼するのではなく、イオンモバイルで修理を受け付ける。さらに端末を預けている期間は代替機も用意するという徹底ぶりだ。
MNPにも即日対応するし、スマホの初期設定なども店員が行った上で手渡される。
格安スマホ市場は、リアル店舗でいかに販売、サポートできるかがカギとなりそうだが、イオンモバイルはその点において、かなり他社を出し抜いたのではないだろうか。
これまで単に購入するだけでなく、その後の故障時においても「駆け込み寺」として、店頭が存在するのは、スマホ初心者にはかなりありがたいはずだ。
橋本氏に取材をしていると、いつも通信業界の人とは全く違う考え、常識で、格安スマホを提供しているので、本当に驚かされる。
今回も、「解約金なし、契約期間の縛りなし」の話題になったのだが、橋本氏は「お客様が解約をするというのは、我々に不満を感じたからに他ならない。本来ならお詫びをしなくてはいけない立場なのに、解約金を取るなんておかしな話だ」というのだ。キャリアの偉い人たちに聞かせたい言葉だ。
確かに、本来なら「満足せず、嫌だから辞める」のであって、さらにお金を請求されるなんておかしな話だ。
キャリアの人たちが「お客様満足度」や「お客様視点」とか言っているが、イオンモバイルのほうがよっぽどユーザーの立場になっている感がある。
格安スマホのプレイヤーは熾烈な競争を繰り広げているが、イオンモバイルに関しては、かなり侮れない存在であるといえるだろう。
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