「auのサブブランドでは意味がない」――新生「UQ mobile」が目指す“第三極”:MVNOに聞く(2/2 ページ)

» 2016年04月11日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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Y!mobileと完全に同じ路線には行きたくない

―― 端末はいかがですか。もう少しバリエーションがあると、伸びるのではと思いますが。

野坂氏 MVNOとしては、そんなに簡単ではありません。ただ、iPhone 6sが発売になってからちょうど半年たちましたし、iPhone SEも出ました。台湾、中国などのメーカーから、SIMフリー端末も出ています。

 UQコミュニケーションズは、最初にオープンデバイスをやり始めた会社ですからね。それもあって、セット割(マンスリー割)は、自分たちのブランドのものでなくても、組めるようにしました。今後出てきたものも、指定すれば(マンスリー割が)使えるようになります。デバイスについては、面白い時代になってきましたね。

 今年(2016年)は、一挙に垂直立ち上げしなければいけないと考えています。もう元年は終わりました。UQ mobileとして、一気に伸ばしていく年にしなければなりません。そうなると、気になってくるのがY!mobileです。あちらはiPhone 5sも出していて、5年前に見ていたイー・モバイルの背中ぐらい大きい。店頭でも一番売れていて、かつショップまでありますからね。春商戦も終わり、消費者ルールもこれからどんどん変わっていきますから、もう一段強力にして挑んでいきたいと思います。

 ただ、それでもY!mobileと完全に同じ路線には行きたくない。なんとかして差別化したいというのが、本音です。確かに営業に対しては、「Y!mobileに負けるな」と言いますが、一方で今の日本市場を考えたとき、大手3社はビッグになりすぎています。そういう中で、僕らが頑張るのが面白いのではないでしょうか。モバイル事業をやっていることの本質は何なのかを世に問いたいですし、UQコミュニケーションズはそういうことになると燃える会社ですからね。

―― やはり、Y!mobileは強力なライバルということですね。料金プランも金額も、意識されたうえでの2980円なのでしょうか。

野坂氏 ここでノーと言うのは大人げないので、それは言いません(笑)。ただ、6000円、7000円という会社と980円という会社がある中では、2980円という数字が出てくるのは必然です。端末代(マンスリー割)も考えると、どうしても2980円、3980円になってきます。ですから、半分イエス、半分ノーという答になりますね。

―― 一方で、音声定額は追従できていません。

野坂氏 Y!mobileさんはあくまでMNOで、こちらはMVNOです。必然的に、MNOのようなスタイルを取るのは難しくなります。確かに楽天モバイルのような仕組みもあることは分かっていますが、通常なら、無料通話が30分もしくは60分あれば、7割5分ぐらいはカバーできる。むしろ、それ(音声定額)はなくてもいいのではという気持ちもあります。確かに比べたら損だと思われるかもしれませんが、店頭では、あまり通話分数を気にされる方もいません。ただ、(KDDIに対して卸価格を)もっと安くしてほしいというのは、ありますけどね。

―― 確かに、MNOが1700円、2700円で音声定額ができているわけで、MVNO向けの定額プランがあってもいいような気がします。

野坂氏 タスクフォースで日本通信さんが、そのような趣旨のことをおっしゃったときに、心の中で拍手喝采していました(笑)。個人のユーザーに1700円で提供できて、なぜもっと大口契約のMVNOにできないのかというのはあります。ただ、ものは考えようで、それがないから戦えないわけでもありません。大手3キャリアと、同じ土俵に乗らないようにするという手もあります。

WiMAXルーターとの連携は「いずれやりたい」

UQ mobile

―― auのネットワークだと、音声がCDMA2000 1Xということもあり、SIMロックフリー端末があまり対応していません。ここに対して、何かお考えをお持ちでしょうか。

野坂氏 あまりありません(笑)。菱岡(KVE社長)の時代で一番苦労したのはそこで、確かにCDMA2000 1Xという世界はあります。ただ、これもどんどん変わってきていて、VoLTEが始まり、これから端末も出てくるようになるでしょう。1年後の状況は、全然違うものになっていると思います。

 また、次はこんなものを引っ張ってきたいというのもあります。これから出てくる、ぴったりプランの端末にもご期待ください。

―― iPhoneはいかがですか。iOSを使っているユーザーの比率なども分かれば教えてください。

野坂氏 目標値は特にないですし、自分たちで出すわけでもないので、ここはノーアイデアです。ただ、黙っていても、UQ mobileのSIMを使いたい方は出てくるでしょう。比率は全然(高くない)です。やはり、ものがないですからね。

―― iOS 9への対応が遅かったのも、そこでしょうか。今後はタイムリーにやられていく予定はありますか。

野坂氏 そうですね。そこは、きちんとやっていきます。

―― 今は3機種から選べるようになっていますが、売れ筋の端末はどれになるのでしょうか。

野坂氏 数字でいえば、やはりarrows M02ですね。自分では京セラのKC-01を使っていますが、これも結構いい。マーケットの評価は、非常に分かりやすいですね。(2014年12月に発売された機種にも)面白いことに、一定の根強い人気があり、われわれの中では比較的重要なパートを構成しています。

―― WiMAXのルーターと、何かシナジー効果を出すようなお考えはありますか。

野坂氏 それは考えたい。ただ、今出すと混乱してしまうとみています。営業も、WiMAXがあった上でのスマホになってしまう。ですから、今は(ルーターとスマホの間に営業的な)ファイアウォールを入れて、「スマホをやってみよう」と言うようにしています。ですが、いずれやりたい。これが答えですね。

―― ちなみに、3GBの上はないのでしょうか。

野坂氏 WiMAXとの関係も少しあります。ルーターでは、3696円で7GBというのをやっていますからね。UQ mobileも、MNPで3980円のプランを(キャンペーンで)6GBにしてしまいましたが……。

―― この6GB、3980円がMNPなしだったら、もっとインパクトがあったような気がしますが、いかがですか。

野坂氏 そこは、まずやってみてですね。

―― 速度が徐々に落ちているという指摘もあるようですが、いかがですか。

野坂氏 恐らくもともとのベースがあり、普通のMVNOよりはいいのではと思いますが、やはり昼の12時、1時に(データが)ビンビン通るわけではありません。ただ、少なくとも、大きなMVNOの平均値よりは、十分上にしなければいけないと考えています。

―― サービス開始時に、相互接続で帯域を借りているとうかがいましたが、なぜ、以前はあんなに速度が出ていたのでしょうか。KDDIの関連会社で優遇されていたということですか。

野坂氏 いえいえ。接続の条件は、他社とまったく同じです。速度が速かったのは、お恥ずかしい話、単に人が少なかったらというだけのことです(笑)。

―― auのサブブランドとしてのUQ mobileを目指しているのか、あるいはUQ mobileは独立してauを脅かすぐらいの存在になりたいとお考えでしょうか。

野坂氏 後者です。脅かせるくらいの存在になれるかは別としても、気持ちはそれで行かないと意味がないと思っています。auのサブブランドになるのでは意味がない。(サブブランドになると)Y!mobileがソフトバンクに吸収されて、ソフトバンクの第2ブランドでやっているのと同じじゃないですか。今、われわれは(KDDIの)外にいますからね。

取材を終えて:ショップやサポートの存在が強みに

 野坂氏のお話からは、UQ mobileの新料金プランが好調なことがうかがえる。家電量販店という販売拠点をUQコミュニケーションズとしてしっかり築いてきたことが、功を奏しているようだ。端末とのセット販売がきちんとできるのも、こうした販路があるためだ。まだマンスリー割で選択できる端末は少ないが、今後、そのバリエーションが増えてきたとき、UQ mobileの勢いがさらに増す可能性はある。au系のMVNOでも、十分な数が取れるとなれば、メーカーも、積極的にVoLTEに対応していくだろう。

 ソフトバンクのサブブランドとしてY!mobileが好調なことからも分かるように、ユーザーは料金だけでキャリアを選ぶわけではない。あえて格安までいかず、端末やサポート、ショップなどを重視するという戦略も取れるはずだ。UQ mobileの新料金プランが好調だというのも、その有効性を裏づけている。MVNOが広い層に普及していく中、野坂氏の言うような第三極も、ますます存在感を増しそうだ。

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