今週、ヨーロッパ出張だったが、グーグルが先ごろアメリカなどで発売した「Pixel」を持ち歩いた。残念ながら技適マークがついていないため、大手を振って使うには海外に持ち出すしかないからだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年12月3日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
Pixelの特徴としてあげられるのが、カメラ性能の高さと、人工知能を用いたというパーソナルエージェント機能である「グーグルアシスタント」だ。
日経電子版のコラムで、グーグルアシスタントの例として写真を取り上げた。今の所、英語しか対応しないが、例えば「自分の写真から、子供が写っている写真を見せて」と問いかけると、Google Photoアプリの中から、自分が撮影した子供の写真がピックアップされて表示されるというのを紹介した。すでに、スマホの中にある膨大な写真に写っている被写体が何かが解析されており、グーグルアシスタントは言われた被写体を抽出して表示してくれる、というわけだ。
アップル・Siriの場合、撮影場所や日時で写真を検索できても、被写体に何が写っているかを判別し、そこから抽出するというのはまだ実現できていない。
さらにグーグルアシスタントを使っていて驚いたのが、まず「日本の首相は誰ですか」と問いかけると、ウィキペディアを調べてきて、安倍晋三を見つけ出してくれる。そこから「彼の身長は?」と聞くと「1m75cm」と答えてくれる。さらに「奥さんは誰?」と聞くと「安倍昭恵」と回答してくるのだ。
ちゃんと、「日本の首相は誰か」という質問を理解し、さらに「彼」という指示の仕方においても、「彼=安倍晋三」という関連性を把握した上で答えを出してきているのだ。
Siriの場合、同じ質問をした場合、「日本の首相は誰ですか」という質問をウェブ検索にそのまま放り出し、そこから出てきた複数のサイトを表示して、ユーザーに選んでもらうという形をとっている。
ただ、グーグルアシスタントは今の所、英語にしか対応しておらず、自分もかなり拙い英語を何度も話しかけ、なんとか理解してもらって、検索をかけている状態だ。
その点、Siriはしっかりと日本語をマスターしている。また流行語にもなった「PPAP」に対しても、きっちりとギャグで返答してくるなど、会話の内容にセンスがあり、Siriというキャラクターが確立しているように思える。
グーグルアシスタントは会話の流れをきっちりと理解して真面目だが、その点、会話の楽しさという点はこれから勉強が必要と言えそうだ。
いずれにしても、人工知能の世界はまだ発展中であり、グーグルアシスタントもSiriもまだまだ成長の過程だ。数ヶ月後、数年後には全く違った回答をしてくるのは間違いない。
「スマホのパーソナルエージェント機能」は、始まったばかりであり、この分野においては、まだまだワクワクする要素が潜んでいそうだ。
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