MVNOを含めた戦いはドコモの独り勝ち――3キャリアの決算を読み解く石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2017年02月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

auのユーザー数は減少傾向、MVNOも含めて反転攻勢を狙うKDDI

 収益面では順調に成長しているものの、各種指標で陰りが見えているのがKDDIだ。田中孝司社長は、「ARPAの方は順調に成長しているが、auに関していえば、ID数は減少している」と語った。数値で見ると、その意味がよく分かる。モバイルの契約者数は、第3四半期で3万6000の純増だが、ここからMVNOの増分を除くと、15万4000の純減となっている。auを利用するユーザー自体が減っているということだ。

 「MVNOとMNOの両方の軸で見ると、ガイドラインが出て、MNOからMVNOへの顧客流出がおこっている。先にマイナスが出たが、MVNOを足すと、プラスマイナス0の近くまで来ている」(田中氏)

NTTドコモ MVNOの影響を語る、KDDIの田中社長

 ガイドラインの影響で解約率は前年同期比で低下しているものの、0.78%とドコモに比べると、やや高い水準にあるのも懸念材料といえるかもしれない。業績で見ると、売上高4兆2380億円、営業利益2610億円と前年同期比で増収増益だが、「端末が売れないと奨励金が減り、それがそのままヒットしてお金を使わないために、(営業利益増分の)250億につながった」(田中氏)という側面があり、今後を楽観視できない状況だ。ドコモとは異なり、端末の販売台数も通期で前年からマイナスになっている。

NTTドコモ ガイドラインの影響もあり、増収増益を達成した

 これに対し、KDDIは第3四半期から「UQ mobile」「J:COM MOBILE」といった傘下のMVNOのユーザー数を合算して、「モバイルID数」として公開。「auのID、プラスMVNOでの成長目指す」(田中氏)と、MVNOを成長戦略を担う一翼に位置付け直した。第4四半期からは、2月に買収が完了したビッグローブのMVNOユーザーも、このモバイルID数に含まれる。ただし、ケイ・オプティコムの「mineo」などは、この数字に含めない方針。これは、モバイルIDが「ユーザーとのタッチポイントを示す数字」だからだ。

NTTドコモ 新たに「モバイルID」という指標を作り、MVNOも成長戦略の軸に位置付けた

 ビッグローブについても、MVNOはドコモのネットワークを使用しているが、「われわれの観点では、タッチポイントが増えていくことになる」(田中氏)という。各種コンテンツサービスや、金融サービス、au WALLETなどを含めた「au経済圏」を、MVNOに拡大していくというのが田中氏の打ち出した戦略になる。田中氏が「われわれは、ライフデザイン事業を持っているので、これをビッグローブのタッチポイントで販売してもらう」と語っていたのは、そのためだ。

NTTドコモ 買収したビッグローブのユーザー数も、次の四半期からはモバイルIDに含まれるという

 ただし、現時点でauのサービスは、基本的にはキャリアに閉じたものになっており、「auスマートパス」や「auビデオパス」などは、MVNOユーザーが利用できない。ドコモがdマーケットのコンテンツをキャリアフリーにして、MVNOがその販売を取り次いでいるのとは対照的だ。auのサービスとのタッチポイントという視点でモバイルID数を掲げるのであれば、最低限、自社グループのMVNOにau IDを開放するのは急務といえるだろう。

NTTドコモ 「au経済圏」の一部は、MVNOにも拡大していく必要がありそうだ

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