MVNOを含めた戦いはドコモの独り勝ち――3キャリアの決算を読み解く石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2017年02月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

SoftBankで守り、Y!mobileで攻めるソフトバンク

 ソフトバンクグループの決算には、米キャリアのSprintやYahoo!JAPANも含まれるが、国内通信事業だけを抜き出してみても、増収増益を達成している。孫正義社長も「国内通信は順調」と胸を張る。孫氏は「回線数も伸びている」と話し、通信モジュールなどの回線を含まない主要回線の契約者数は、3223万に達したことを明かした。ただし、第3四半期単体で見ると、ソフトバンクの主要回線数は、7万の純減を記録しており、ARPUも徐々に低下している。増収増益の内訳を見ても、モバイルの減少を「SoftBank光」などの固定が補っていることが分かる。

NTTドコモ 第3四半期の決算を語る、ソフトバンクグループの孫社長
NTTドコモ 国内通信事業の営業利益は、順調に伸びているという
NTTドコモ 前年比での純増を強調した孫氏だが、実際にはスマートフォンなどの主要回線が、7万の純減を記録している

 同社は、ソフトバンクとY!mobileの内訳を公表していないが、両ブランドの勢いを見る限り、ソフトバンクはマイナスなのに対し、Y!mobileが他社からユーザーを獲得する武器になっていることがうかがえる。ソフトバンクと比べ、Y!mobileは料金も安いため、これによってARPUを押し下げる効果も出てくる。Y!mobileは、いわゆる格安スマホで4割のシェアを取っているようだが、ソフトバンク全体として見ると、素直に喜べないのが実情だろう。

 SoftBank光などの導入によって解約率も徐々に低下してはいるが、全体で1.25%、携帯電話に絞っても0.89%と、ドコモやKDDIに比べても高い水準にある。端末の販売台数は微減。新規契約分がガイドラインの影響で135万6000台から107万2000台へと落ち込んだ分を、機種変更でカバーできなかった。こうした数値からは、Y!mobileが好調な半面、稼ぎ頭であるソフトバンクブランドにとどまるユーザーの率が他社より低く、MVNOなどへの流出が起こっているという見方ができる。

NTTドコモ SoftBank光は、好調にユーザーを獲得している

 ARPUの低下に対し、孫氏は「各社が競争をすれば料金も下がる。ARPUについては、常にマイナスになるプレッシャーがあり、同じサービス、同じ内容であれば安くする力が、競争によって働く。それは当然のこと」と語っている。これに対して、ソフトバンクが取る戦略は、「メニューの多様化」と「通信容量自体の拡大」にあるという。

 前者は、サービスの拡大を意味しており、先に挙げたSoftBank光だけでなく、最近ではYahoo!JAPANとの関係を強化し、Tポイントを増やすキャンペーンを実施した。結果として、「まだ始まったばかりだが、速報レベルだと非常にいい結果が出始めている」(孫氏)という。後者の通信容量の拡大は、単価の下落を量でカバーするという戦略で、「動画などを含め、使いたい人に量を提供する。単価は安くなるが、量を提供するメニューを用意するという努力をし続けなければならない」(同氏)。

NTTドコモ メニューの多様化の一環として、Yahoo!JAPANとの連携を強化した

 一方で、MVNOとY!mobileの競争は激化しており、今後は日本通信もソフトバンクのMVNOに参入する。同社の狙いは、ソフトバンクの過去のiPhoneを使うユーザーだ。ここに対抗するためには、Y!mobileのさらなる強化も必要になってくるだろう。ただ、見方を変えると、Y!mobileの比率が高まるのは、ソフトバンクそのものが値下げしていることとイコールでもある。自らの収益を削って戦わなければならないのが、ソフトバンクの弱みといえるかもしれない。MVNOまで含めたトータルでの戦いでは、ドコモ独り勝ちの図式も見えてきた。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月13日 更新
  1. スタバ長時間滞在、なぜ「一律ルール」設けない? “スマホでゲーム、PCで仕事も…広報見解は (2026年06月12日)
  2. 新エントリースマホ「arrows We3」発表 コンパクトな高耐久ボディーに5000mAhバッテリーや新カメラを搭載 (2026年06月11日)
  3. 「JALモバイル powered by ahamo」のお得度を検証 本家ahamoやIIJmio版とは何が違う? (2026年06月12日)
  4. スマホの“ミニ”外付けディスプレイが流行の兆し? 若者がインカメラではなく「アウトカメラ」で自撮りする理由 (2026年06月10日)
  5. 「日本通信アプリ」の新バージョン提供開始 FPoS対応で本人確認のセキュリティを強化 (2026年06月11日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. 20万円超も珍しくない高額スマホ時代、「スマホ保険」の選び方と料金の目安は? (2026年06月12日)
  8. 「Nintendo Switch 2」が“転売ヤー”の餌食に 多言語版の買い占め→「プレイ50時間」条件復活 (2026年06月12日)
  9. なぜ? マクドナルド「巨大セルフ注文端末」に批判殺到の理由 UI/UXに価格表示まで……直面している課題とは (2026年05月14日)
  10. DAZNのW杯「月額980円」表示に落とし穴 ユーザーを困惑させた2つの“ダークパターン”とは (2026年06月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー