―― 目標はどこに置いているのでしょうか。
岩井氏 直接このビジネスを担当している私たちからすると、次のモデルを出していいと判断できる結果を出すことが、1つの目標です。
―― 今回は価格などである程度差別化できましたが、AndroidだとWindows以上にそこが難しい印象はあります。
林氏 販売店さん、エンドユーザーさんからは、既にいくつかのフィードバックをもらっています。その中で、われわれが強みを出せるのは、安心して使っていただけることです。今回、VAIO Phone Aも「安曇野フィニッシュ」で弊社がしっかりサポートしている。お客さまの安心を第一に、それを続けていけば受け入れられるのではないでしょうか。
岩井氏 差別化という意味では、出したときの反響として、「防水がない」「おサイフケータイ」がないという声が出ていましたが、そこはある程度分かってやっていました。防水、おサイフは日本のスマホの最大の特徴ではありますが、そこであえて同じ土俵に立つより、通信やスペックが高めのところで戦っている海外メーカーさんと同じ路線に行きました。スペックはいいが、海外メーカーだとちょっと不安という人に、安心感や堅牢(けんろう)性を評価していただければ、それは差異化になります。その点では、ちょうどどこもやっていないポジションが作れつつあります。
ただ、今後、(後継機を出すとした場合)防水がどのくらいニーズがあるのかは議論の余地があるかもしれませんが、おサイフや指紋センサーはまず考えなければいけないとは思っています。
―― 最後に1点、VAIO Zで話題になった、コーポレートカラーの「勝色」を出すのは、やはり難しいのでしょうか。
岩井氏 ある程度の数を出さないと難しいところがあり、色を出すのも大変です。VAIO Zの勝色も、相当苦労したので(苦笑)。また、VAIO Zは全部アルミパーツでしたが、VAIO Phone Aは素材がいくつかに分かれています。素材が違うと、角度によって全然違う色に見えてしまう。こればかりは、デザインを変えないと、難しいかもしれません。
AndroidにOSを載せ替えたVAIO Phone Aは、そのコストパフォーマンスが大きな話題を呼んだ。MVNOの採用も多く、初動は順調なことがインタビューからはうかがえた。ドコモのVoLTEが利用できるSIMロックフリースマートフォンも、まだ種類が少ない。音声通話を重視するビジネスユーザーにとっても、悪くない選択肢といえるだろう。
一方で、インタビュー中も指摘した通り、やはり主要事業であるPCとの連携機能は、もう少し重視してほしかったのが本音だ。MicrosoftのOfficeをプリインストールしたり、VAIO独自のWindows風ホームアプリを配布したりするなど、何らかの方法はあったはずだ。次のモデルが出るようであれば、世界観の面での“深化”にも期待したい。
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