KDDIと沖縄セルラー電話が2021年3月に提供を開始した「povo(ポヴォ)」(現在は「povo1.0」)は、月額基本料金の2728円に、月間データ通信量は20GB(超過した場合の通信速度は最大1Mbps)が含まれていました。ここに「データ使い放題24時間」トッピングを220円で購入すると、その名の通り24時間はデータ通信量無制限となる設計です。
メイン回線として使う場合、povoは比較的手頃で、データ使い放題24時間の追加負担も大きくありません。ただ、サブ回線で運用しようと考えると負担感がそこそこあります。
両社は9月29日、povoのサービスを一新し「povo2.0」として提供を開始しました。これに合わせて、従来のpovoは「povo1.0」と名称を改めた上で、新規申し込みの受け付けを終了しています。
povo2.0の月額基本料金は0円(※1)で、高速データ通信を行いたい場合は、容量をトッピングとして購入する必要があります。データ使い放題24時間は「24時間データ定額」と名前が微妙に変わり、料金が330円に値上げされていますが、それでもたまに使うデータ容量無制限サービスだと考えると非常に手頃です。
povo2.0自体はスマホでの利用を想定していますが、SIMロックさえ掛かっていなければワイヤレスルーターでも利用できます。ホームルーターをたまに持ち歩く際にピッタリなプランともいえます。
(※1)180日以上通話、SMSの送受信、有料トッピングのいずれかを行わなかった場合、事前予告をした上で利用停止または解約となる場合があります(参考記事)
povo2.0のトッピングは、専用のスマホアプリから購入できます。アプリをインストールしたスマホこそ必要ですが、povo2.0のSIMカードをホームルーターに入れておけば、出張や旅行で活躍する臨時ルーターに早変わりします。一定条件がありながらも月額0円から維持できる上、au 5G/au 4G LTEエリアでも使えるので、povo2.0ほど臨時利用に適した通信サービスはないと思います。
もっとも、povo2.0のSIMカードを入れておくホームルーターは、自分で調達する必要があります。auまたはUQコミュニケーションズが販売するホームルーターが理想ですが、以前の記事でもお伝えした通り、UQコミュニケーションズ(とそのMVNO)では新品の単体購入ができません。au取扱店などで新品を単体で購入するか、中古端末販売店で中古(新古)の端末を購入する必要があります。
ただし、auにおけるホームルーターの販売価格は、UQコミュニケーションズのそれよりも高めに設定される傾向にあります。「費用対効果」を考えると、中古購入がベターですが、5G対応モデルはそれほど多くは見かけません。時間の経過で入手性は高まるでしょうが、現時点ではルーターの調達が意外と高いハードルです。
povo2.0は「普段は使わないけれど、たまに使う時は使い放題で使いたい」というニーズを満たしてくれます。先述の通り、出張や旅行時に固定回線代わりに使うのもいいですが、au以外のキャリアをメインとしているユーザーが、緊急時のバックアップ回線として使うのも“アリ”だと思います。
図らずも、そのことが具現化したのが10月14日に発生したNTTドコモの通信障害でした。
筆者のメイン回線はドコモで、出張で東京に戻る途中で通信障害の影響を受けることになってしまいました。、通信が途絶えてしまうと飛行機のオンラインチェックイン、シェアサイクルの利用、地図や時刻表のチェック……といったことができなくなるところでした。
そこで、povo2.0でデータ使い放題24時間トッピングを購入することでデータ通信手段を確保することにしました。おかげで、メイン回線における電話の発着信が不安定になった以外は影響を最小限にとどめることができ、無事東京まで戻ってこられました。
povo2.0はオンラインで申し込める上、事務手数料も無料です。au以外のキャリアの通信障害時などに「備えておく」だけなら、維持費を抑制しつつ維持しやすい回線でもあります。こんなに早く「備え」が役立つとは思いもしませんでしたが……。
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