最新の水冷ユニットを身にまとって静音性をアップ――NEC「VALUESTAR W」HD DVD-ROM対応のBDドライブを搭載

» 2007年09月03日 11時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

静音水冷システム「ウォーターサイレンス」を内蔵

第4世代水冷ユニット「ウォーターサイレンス」。実際の製品では動作確認用の赤いユニットは省かれている

 大手メーカー製の水冷PCといえば、古くは日立製作所のノートPC「FLORA」、NECそしてNEC Directで販売されていた「VALUESTAR」シリーズ、そしてアップルの「Power Mac G5」シリーズが記憶に新しい。一時は市場から姿を消していた水冷PCだが、7月の発表会(関連記事:第4世代はCPUとHDDを冷やす──NECの水冷PCが秋冬モデルで復活する)で事前に“告知”されていた通り、NECの秋冬モデルでついに復活を果たした。

 高いパフォーマンスと優れた静音性を両立した水冷VALUESTARシリーズは、NEC Directの看板製品とも言える人気モデルだっただけに、その復活を心待ちにしていたユーザーも多いだろう。ここでは全4モデルで採用される静音水冷システム「ウォーターサイレンス」と、最上位モデルの「VALUESTAR W VW790/KG」のフォトレビューをお届けしよう。

HDDの冷却を行う新開発の水冷ジャケットと動作音を遮へいする遮音ボックス(写真=左)。水冷ジャケットの両面にHDDを取り付けることで最大2台のHDDを冷やせるが、本機で装着できるのは1台のみだ。ラジエータと12センチ角の静音ファン(写真=中央と右)。ファンの回転数は1000rpm以下で動作するという

冷却液を蓄えるリザーブタンク(写真=左)。従来機の空冷モデルVW790/HGと、最新水冷PCの騒音を視覚化したイメージ図(写真=中央と右)。「ウォーターサイレンス」の採用でノイズが大幅に低減しているのが分かる

水冷システムの変遷(写真=左)と、歴代の水冷VALUESTARシリーズ(写真=右)

小型ボディに22インチ/19インチワイド液晶ディスプレイを内蔵

VALUESTAR W VW790/KG

 新VALUESTAR Wシリーズは、22インチワイド液晶ディスプレイ(1680×1050ドット表示)と19インチワイド液晶ディスプレイ(1440×900ドット表示)搭載モデルで構成されるが、ボディサイズは534(幅)×253(奥行き)×476(高さ)ミリと共通だ。これまでの20インチワイド液晶ディスプレイ搭載モデルの702(幅)×360(奥行き)×469(高さ)ミリから、大幅に小型化しているのが分かる(いずれもディスプレイ直立時)。重量も約29キロから約21キロに減っており、設置性は大きく向上したと言えるだろう。

 電源端子を右側面、地上デジタル/地上アナログチューナーをはじめとした各種端子を左側面にまとめ、フラットな背面を実現することで、壁面に近づけての設置にも対応可能だ。システムの冷却は、ボディの上下/左右から吸気を行い、システムの熱を背面に、電源ユニットの熱を上部に排出する仕組みをとる。水冷ユニット自体は液晶ディスプレイの背面に内蔵され、台座部分に電源ユニットとHDDや光学ドライブが配置される。

 なお、詳細なスペックや実売価格はこちらの記事(液晶一体型PCでついに復活を果たした水冷モデル――VALUESTAR W)を参照してほしい。

1680×1050ドット表示対応の22インチワイド液晶ディスプレイ(スーパーシャインビューEX2)を搭載する(写真=中央)。コネクタ類は左側面(写真=左)に、電源端子が右側面(写真=右)に並ぶ。吸気用の穴が多数用意されているのが分かる。奥行きが25センチと比較的短くて済む

背面はフラットな形状を確保している(写真=左)。ラジエータは左上部に位置する。2基のメモリスロットには上部のカバーを外すだけでアクセス可能だ(写真=右)。VW790/KGのみ標準で1Gバイトのモジュールが1枚装着され、そのほかの3モデルは512Mバイトのモジュール2枚のデュアルチャンネル構成を取る

HD DVD-ROMの再生が行えるBlu-ray Discドライブを左前面に、メモリカードスロットや画面消灯ボタン、USBやヘッドフォン端子を右前面に配置する(写真=左)。VALUESTAR Nシリーズと共通のコンパクトなワイヤレスキーボードが付属する(写真=中央)。奥行きが15センチと短かく、従来機と同じようにボディ底部の収納スペースにキーボードを出し入れすることで、ソフトウェアと連動させることが可能だ

スライドインキーボードと光学式ワイヤレスマウス、赤外線リモコンが付属する(写真=左)。スライドインキーボードにはCaps LockやNum Lock、電池残量などを表示するウィンドウが新設された(写真=右)。キーボードの電源スイッチが用意され、無駄な電力消費を避けることができるほか、キートップのフォントが新タイプに変更された


 試作機のため実際のパフォーマンスや騒音レベルを計測することはできなかったが、試しにシステムに高い負荷をかけ続けてみたところ耳障りなノイズは聞こえず、フル稼働時でも25デジベル以下という水冷ユニットの実力を垣間見ることができた。ただ、今回投入される水冷PCは液晶一体型であり、システムの自由度が高いセパレート型のようにパーツの交換や液晶ディスプレイの選択などが困難になったのは残念だ。

 ともあれ、今後も水冷ユニットを搭載したPCのバリエーション強化には大いに期待したい。


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