ASUSの「最前線仕様マザーボード」に突撃せよCeBIT 2009

» 2009年03月06日 17時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 ASUSブースでHAMMERのジオラマとともに展示されている“コンセプト”マザーボードの「MARINE-COOL」は、「宇宙仕様」相当の耐熱基準を満たしたセラミック-金属素材の放熱ユニット(Ceramic-Metal Thermal Module)に代表される、究極の安定性と耐久性の実現を目的としている。

そのアグレッシブなデザインで注目を集めたコンセプトマザーボード「MARINE-COOL」は、真夏のビーチを想像させるネーミングだが、実際は、「海兵隊って、かっこいいぃ!」というところか(写真=左)。MARINE-COOLの特徴の1つ、セラミック-メタル素材のパネルで構成されたクーラーユニットとUPSユニット(写真=右)

 マザーボードの裏には、基板全体を覆うカバー状のユニットが取りつけられるが、このユニットには、放熱機構とUPSユニットが内蔵されている。放熱機構を組み込んだ部分は、素材に放熱効率と堅牢性能に優れるセラミック-メタル素材を用いている。UPSをマザーボードにもたせた理由として、ASUSのスタッフは、MARINE-COOLのコンセプトに軍用機器への搭載が考えられており、戦闘で被害を受けて電力供給が絶たれても、普及するまでの時間は自力で電力を確保してシステムの機能を維持するためと説明している。

 このように、軍用マザーボードとしての採用を想定しているため、MARINE-COOLには激しい衝撃に耐えうることが求められる。その1つの工夫としてノートPC用のメモリスロットが実装されている。消費電力と設置面積を抑えるために、ノートPCプラットフォームの導入も考えれるが、それとともに、メモリモジュールを確実にロックできることも軍用マザーボードのメリットになるという。

 通常のハイエンドマザーならディップスイッチでオーバークロックを可能にするところが、安定動作の確保が求められる軍用マザーボードでは、オーバークロックスイッチの代わりに駆動電圧上昇スイッチを設けることで、駆動電圧を上昇させて多少無理させてでも動かしたり、駆動電圧を下げてUPSから供給される電力で少しでも長く動作させたりが調整できる。

展示されていたMARINE-COOLはATXフォームファクタのLGA775搭載マザーであったが、これは、たまたまベースにしたものがそうであっただけで、採用するプラットフォームは、MARINE-COOLを搭載する製品ベンダーのリクエストで決まるだろうと、ASUSのスタッフは語っていた(写真=左)。ヒートパイプで連結したクーラーを載せたサウスブリッジの右脇に、カバーで覆われた予備のメモリがオンボードで用意されている(写真=右)

ノートPC用のメモリスロットを備える(写真=左)。オーバークロックスイッチの代わりにCPUとノースブリッジの“電圧カツ入れ”スイッチが用意されていた(写真=右)

 また、先にも述べたように、衝撃にも耐えて安定した動作を確保するだけでなく、戦闘で被害を受けても動作を続ける冗長性とMARINE-COOL自体が被害を受けてパーツを損害が発生しても早期に復旧できるダメージコントロールも重要だ。MARINE-COOLでは、メモリスロットに差したメモリのほかに、シールドで保護された予備のメモリをオンボードで用意しておき、メインスロットのメモリが損害を受けても予備のメモリに切り替える手法を採用している。

 コンセプトモデルということもあって、その外見も含めて、導入される機能や出荷時期、製品にするかどうかも含めて確定していないが、仮に製品化された場合は、コンシューマー向けのリテール品としてショップで販売するのではなく、OEMなどへ納入することになるだろうとASUSのスタッフは答えている。

なんとなく、「ボトムズ!」といいたくなるクーラーユニットのデザイン(写真=左)と、メタルパーツで配線まで覆われたバックパネル(写真=右)

なるほど、説明を聞いてようやくジオラマの意味とMARINE COOLの本当の意味が分かりました

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