基本的に125ワット版も140ワット版もスペックは同じなので、ベンチマークテストの結果もほぼ同程度だ。しかし、前回測定したときから、一部デバイスドライバのバージョンが上がっていることが影響したためか、スコアが伸びたテスト項目や、逆に低くなったテスト項目がある。例えば、PCMark05のGraphicsでは125ワット版が落ち込んでいるが、SYSMark 2007 Preview Patch-4のVideoCreationやPCMark VantageのMusicでは、125ワット版でスコアが向上した。ただ、Sandra 2009.SP2 v15.72のCPU関連テストではスコアに違いがないことから、今回のリビジョンアップでCPUコアの内部に手を入れたとは考えられない。
消費電力に関しては、140ワット版に対して125ワット版は確実に低くなった。特にピーク時におけるシステム全体の測定値では、140ワット版から16ワットほど低い結果が測定されている。また、アイドル時の測定値でも若干だが140ワット版より下がっている。
AMDは、ハイエンドモデルで“高TDP高クロック”版を先行して投入し、プロセスルールの生産がこなれていく過程で低いTDPに落としたモデルを投入する。125ワット版のPhenom II X4 965 BEもこの流れに沿って登場したといえる。
TDPが125ワットに収まったことで、利用できるCPUクーラーユニットやマザーボードが増え、自作PCユーザーにとってハードルが下がったメリットは大きい。また、TDPが下がったことでオーバークロックにおけるマージンが確保されている可能性もある。今回の計測ではピーク時で15ワットほど省電力が引き下げられたことから逆算すれば、動作クロック3.6GHzあたりでもTDP 140ワット相当の消費電力に収まるのではないだろうか。
すでに140ワット版に合わせたCPUクーラーユニットとマザーボードを所有しているユーザーにが、さらなるオーバークロックという楽しみを、新しく登場した“965 BE”は与えてくれるだろう。
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