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» 2010年04月07日 12時00分 公開

専用アプリは? 2倍モードは?:「iPad」で気になるアプリを試してみた (2/3)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

iPad専用(あるいは対応)アプリをチェック

 次はiPhoneとiPadで異なる、あるいは両対応のアプリについて見ていこう。筆者は仕事柄、移動中や休憩中、あるいは取材や原稿執筆の合間など、ほぼ四六時中ニュースチェックをしている。そのため、筆者のiPhoneはニュースチェック用のアプリとトラベルツール(旅程表や交通情報チェック、天候チェック、乗り換え案内)が大半を占めている。なので、ここで紹介するアプリの多くはニュース関連のものが多くなるのはご容赦いただきたい。

 冒頭でiPhone用とiPad用で別々のアプリが用意されているものがあると書いたが、そのサンプルの1つがAssociated Press(AP通信)の「AP News」だ。AP通信はWeb上で直接記事配信を行っていないものの(提携サイトでの配信のみ)、iPhoneアプリなどを使えばこのAP通信配信の記事を直接チェックできる。

 画面サイズや容量、3Gでのアクセス速度に限界のあるiPhoneでは、ヘッドラインの表示と記事本文の確認が主な役割だったが、iPad用アプリではさらに情報量が増え、見せ方も大画面を利用する工夫が凝らされている。またiPhone用とiPad用ともに、アプリの初期起動時に位置情報を取得し、地元のローカルニュース配信を加えるカスタマイズ機能が用意されている。こうしたAP通信はiPadへの参入で有料課金サービスを計画しているともいわれ、今回のアプリはそのテストケースとして利用されることになるだろう。

iPhone用とiPad用で個別にアプリが用意されているのがAssociated Pressの「AP」アプリだ。画面サイズや用途が異なり、情報へのアクセス性を重視したiPhoneアプリに対して、レイアウトの工夫や画面いっぱいのニュース記事表示がiPadの特徴だ

 通信社のAP通信に対し、同じくiPad用アプリをリリースしている全国紙のUSA Todayでは、基本となるホームページのレイアウトが新聞本紙のそれに似ている。天気情報やスポーツ情報、気になる写真、ヘッドライン、トップニュースなど、1日の最初にチェックするような情報がまとめられており、このあたりは新聞社ならではのレイアウトとなっている。新聞紙面をそのままアプリに落とし込むのでない点は、通勤途中で読むようなスタイルではなく、むしろ自宅や職場でチェックするような用途を想定していのだと考えられる。

セグウェイによる大都市での宣伝キャンペーンを行っていたUSA TodayのiPhoneアプリ。トップページにその日の情報一覧が表示されているところなど、新聞紙面を意識した作りだ

 ニュースアプリで最後に紹介するのはBBC Newsだ。英国の公共放送のBBCだが、WebやiPadなどの新メディアへの積極的な進出がほかの民間メディアの業務を圧迫しているとの批判でたびたび議論を呼んでいる。だが、今回のiPadアプリを見る限り、非常に意欲的に新メディアへの進出を考えている様子がうかがえる。

 特徴の1つは動画再生で、記事によっては比較的大画面のTVニュース映像をストリーミングで流してくれる。記事の写真をタップすることで動画プレイヤーが起動してストリーミング再生が始まるが、事前に帯域を非常に食うことを警告してくる。ほかのニュースアプリと同様、外出先で新聞やニュースを読むというよりは、自宅や職場などのネットワークが安定した場所で腰を据えてニュースを閲覧することを想定しているようだ。

登場までに(公益法人による商用メディアへの脅威という理由で)賛否両論あったBBC NewsのiPadアプリ。オープニング画面が印象的。単なる紙面だけでなく、ビデオ映像によるリポートも掲載され、写真をクリックすると専用プレイヤーが起動してビデオ再生が始まる(事前にネットワークのデータ通信容量を消費する警告が出る)

 ニュースではこのほか、Wall Street Journalが紙面イメージをそのまま読めるiPhone/iPad兼用アプリを出している。これは産経新聞と同じスタイルで、朝刊イメージをそのまま取り込んで表示するスタイルになり、外に持ち出して読むことも可能だ。ただし有料サブスクリプションが必要で、週4ドル、月額にして18ドルが請求される。課金自体は悪くないことなのだが、このWSJアプリは課金スタイルにつねに批判が集まっていることでも知られている。WSJのWeb版は有料サイトだが、本紙購読者とこのWeb版契約ユーザーともに、iPadでは別課金になる(さらにいえばiPhone版も別課金)。同じ情報へのアクセスにデバイスが異なるだけで何度も課金が行われるわけで、ユーザーレビューでもこの二重・三重課金スタイルへの批判で最低評価を受けている。実際、WebページにSafariでアクセスすればほとんど同じ情報が見られるからだ。

 課金を行う新たなきっかけとして注目され、WSJの現在のオーナーになっているNews Corp.のルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏“肝いり”のiPadへのメディア進出だが、安易な課金はそう簡単ではないようだ。初期のiPhone有料アプリの値段が異様に高く、後にディスカウントが繰り返され、現在の5ドル以下の価格帯が定着したApp Storeだが、同じような現象がiPadアプリやメディア各社の有料課金スタイルにも起こるかもしれない。デバイスが変化し、いくら画質が向上したとはいえ、ユーザーの財布はそう簡単に緩くはならないだろう。

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