解像度の呪縛から逃れようとするWindows 8本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)

» 2012年04月12日 16時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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Metroは3種類のスケーリングで快適に

 シノフスキー氏の記事で興味深いのは、11.6型(インチ)というサイズにこだわっていることだ。

 11.6型のワイドXGA(1336×768ドット)を、Metroの画面設計の基準値として採用。これを100%表示と定義した上で、140%への拡大と180%への拡大表示を切り替える仕様だ。その間の拡大率を選ぶことはできない(最初にこの数字を見たときは、デスクトップアプリケーションの表示に使う96dpiを基準にしているものだと勘違いし、「たった180%?」と思ったが、100%時のdpi値は「135」なので、基準値が異なることに注意したい)。

 これらの拡大率は、画素をフルHD(1920×1080ドット)、クアッドXGA(2560×1440)と増やして11.6型に表示したとき、アイコンや文字のサイズが同等(まったく同じではない)になるよう配慮したものだという。

Metroは、画面表示のスケーリングで3つの拡大率(100%、140%、180%)をサポート。解像度が1366×768ドット、1920×1080ドット、2560×1440ドットと変わっても、タッチするアイコンや文字のサイズが同じように見えるよう設計されている

 これらの表示に対応するため、Metroアプリケーションは上記の拡大率に合わせ、自動的にレイアウトを行う。レイアウトが崩れることはないが、ビットマップの画像リソースを使う場合は、あらかじめ3つの拡大率に対応したデータを用意しておくことが推奨されている。拡大処理を行うと、ボケてしまうからだ。

 基準となっているのは、タッチ操作を行うオブジェクトのサイズ。快適にタッチ操作できる画面上の対象物を9ミリと想定し、ボタンなどのターゲットが9ミリ前後になるよう配慮しつつ、コンピュータディスプレイとして一般的に生産されている解像度をカバーすれえばいい……という考え方で設計されている。

画面サイズと解像度に応じて表示の適切なスケーリングが行われない場合、右のように画素密度が高すぎると、アイコンや文字が小さくなりすぎてタップしにくくなり、表示も見づらくなる

Metroでは、高い画素密度の画面でも適切なスケーリングを行うことで、同じサイズのディスプレイで解像度が変わっても、タッチすべきアイコンなどの表示サイズを保ちつつ、より精細に見せることができる

 そこには網膜解像度うんぬん……といった文脈はないが、11.6型のクアッドXGAは253ppiという画素密度を持ち、第3世代iPadの264ppiという数値と比べても十分なものになっている。

 人間の目が認識できる空間周波数は、視野角1度あたり50Hzといわれている(網膜細胞の大きさによる限界値)ので、第3世代iPadをふだんよりちょっとだけ近くに寄せて見ると、Windows 8が想定している画素密度と同様の見え方になる。

 「ちょっとだけって、どの程度よ?」という話になるわけだが、まぁ、ほとんどそのときの持ち方で変わる程度の違いしかない。第3世代iPadの画素密度が高いことで、表示が紙のように見えるならば、ほぼ同じ見え味だ。さらに解像度が高くなっても、人間はそれ以上の解像度を知覚できないので、結果的に感じる画像の滑らかさは変わらないことになる。

 単純に縦横の画素密度を2倍にするのではなく、タッチオブジェクトの大きさを想定し、主流の画面サイズと解像度から拡大率を決めるというのは、多様なメーカーが入り交じるWindowsならではの決め方といえるだろう。前述したように、これ以上解像度が上がってもあまりご利益はないから、この3つの解像度で快適に使えればOKということになる。

 ただし、これもMetroスタイルのアプリケーションに限るのだが。

デスクトップとタブレットの間にある“深い谷”

 このほか、ブログではMetroスタイルのアプリケーションで、物理的なサイズの違いによる表示について、いくつかの解決策をWinRT(Metro用の新しいAPI)に用意していることが記載されているが、MetroスタイルアプリケーションはWindows 8用に新たに設計されるわけなので、この点で非互換が起こることはない。

 アプリケーションによっては、大画面で見たときに多くの情報を表示させ、別のアプリケーションは拡大して全画面に表示する。これはアプリケーションの種類によって、プログラマーが自由に選び、設計できるよう配慮されているということだ。Metroスタイルでは物理的な画面サイズによって自動的な再レイアウトを行う機能が有効になるので、どちらの場合も適切なユーザーインタフェースを保つことができる。

画面が広いほど、より多くの情報を表示させるアプリケーションの例(写真=左)。画面サイズが変わっても、そのまま全画面拡大することでレイアウトが固定されるアプリケーションの例(写真=右)

 問題は従来のWindowsアプリケーションが、どのように振る舞うかだが、これに関しては詳しく書かれていない。Windows 8 Consumer Previewを見る限り、デスクトップアプリケーションは、従来と同じように拡大率の設定(最大200%まで設定可能だが、元となる解像度は96dpi)ができる。

 つまり、200%では192dpi相当の内部処理解像度までスケールするのだが、これまでのWindowsと同様、どのように表示されるかはアプリケーション次第だ。拡大率を指定して文字を大きく表示したとしても、ビットマップまで拡大してレイアウトの崩れを補正してくれるわけではない。

 今月はマイクロソフトによるWindows 8の開発者向けカンファレンスがあるので、そこではデスクトップアプリケーションの高解像度対応に関しても、もう少し詳しい情報が出てくるかもしれないが、現時点ではやや悲観的に見ている。

 これまで高解像度ディスプレイの対応に関して、デスクトップ表示の互換性に関する話は、2011年秋に行われたイベントの“BUILD”を含め、詳細が明らかになっていない。ということは、PCスタイルで使うWindows 8は従来と同じ枠組みで、タブレット端末はMetro前提で高解像度ということになるのではないか。

 スマートな対応とはいいがたいが、多種多様なフォームファクタと過去に渡るWin32アプリケーションとの互換性を重視するのであれば、どこかで割り切りも必要なのかもしれない。

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