続いて、ユーザーが次々とコンテンツを追加共有し、それを楽しめるソーシャル型アプリケーションが2つ紹介された。
1つ目はパノラマ写真で世界の風景を楽しめるアプリケーション「TourWrist」だ。現在は英語のみの対応だが、1カ月以内に日本語版がリリースされる予定という。
アプリケーションを起動すると世界地図が表示され、その上にたくさんのマーカーが現れる。このうちの1つをタップすると、そこで撮られた360度のパノラマ写真が見れるというアプリケーションなのだが、パノラマの写真を見る際にジャイロセンサーを使っており、iPhoneやiPadの向きを変えると、表示される向きも変わるという仕様になっている(指でタッチして向きを変えるモードもある)。
このジャイロを使って写真を見る操作が、なんとも斬新だ。例えば、インタビューの現場ではエッフェル塔の写真を見せてくれたのだが、写真に向きという感覚が加わることで、エッフェル塔との本当の距離感や大きさも伝わってくるようなリアルさがあり、非常に新鮮だった。
ちなみにこのアプリは、ソーシャルというくくりで紹介されているだけあって、ただ写真を見るだけでなく、自分で写真を撮って投稿することもできる。「Create Tour for free」というボタンを押し、カメラボタンを押すと、真ん中に線が引かれたカメラ画面が出てくるので、線の位置に地平線、水平線をあわせて撮影する。景色のよい場所にいったら、是非このアプリで撮影してみよう。
2つ目のアプリは、日本が誇る食べ物ソーシャル写真アプリの「miil」(ミイル)だ。ランチやディナーを食べる前に、パシャっと写真を撮る日本の文化を世界に広めようとしているアプリケーションだが、アイコンが可愛らしいだけでなく、ちょっとした動き1つをとっても、よく練られており、出来映えがとにかくすばらしい。その質の高さにひかれて、アップルのiOS製品担当者も惚れ込んでしまったようだ。
「例えば、私は日本にはなかなか来る機会がない。そこで、このアプリケーションを起動すると『Near By』という近所検索の機能があるので、これを選べば近くにあるレストランでどんな食べ物が食べられるかを見て楽しむことができるんだ。そして、気になる食べ物写真を見つけたら、この右上のタベターイ(食べたい)!ボタンをタップする。よくできているだろう? さらに、そのレストランが気に入ったら、写真の下のレストラン名をタップすれば、住所や地図、電話番号も表示され、同じレストランで、ほかの人が撮影した写真も一望できるんだ」。
自慢げに話す担当者だが、miilなら筆者も勝手に「miilエバンジェリスト」を自称するだけあってかなり詳しい。miilは、食べ物を撮影した後、Instagramのような簡単な画像編集機能で、光の加減などを調整し、よりリアルに、あるいはより美味しそうに写真を加工して共有できる。
レストランのタグも流行しているが、最近では「自宅」タグを使って、自宅の料理の手の込んだ写真を競い合う文化も広がってきている。もともとは“3.11”以降、急激に落ち込んだ外食産業を盛り上げようと登場したアプリだが、iOS製品担当者がうれしそうに押していた「食べたい!」ボタンは、アプリケーションのリリースからわずか6カ月ですでに「200万」回も押されており、現在、プレゼントキャンペーンを実施中だ。
このアプリの開発者は、食べ物の写真を撮るという日本の文化を世界に広げようと開発を進めているので、「日本だけでなく海外のジャーナリストにも広めてきて」とお願いしてきた。これで次に海外に行くときには、美味しいレストランが発見しやすくなりそうだ。
アプリケーションの解説をしにきて、まさか逆に解説をされて、しかも、お願いまでされるとは思っていなかった様子のiOS製品担当者だが、最後はニッコリ笑って「いずれにしても、こんなにすばらしい食べ物ガイドが、ポケットの中に入ってしまうんだから、いい時代だよね」と返してみせた。
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