「KeplerがGPUの新しい時代を切り開く」──GTC 2012基調講演GPU Technology Conference 2012(1/4 ページ)

» 2012年05月17日 18時44分 公開
[本間文,ITmedia]

Keplerで実装したGPU仮想化技術とは?

GPUによる汎用コンピューティングに加え、新たにクラウド利用を打ち出したNVIDIA CEOのジェンスン・ファン氏

 米国サンノゼのMcEnery Convention Centerで開催している(5月14〜17日:現地時間)GPUに関する技術会議「GPU Technology Conference 2012」(GTC 2012)の基調講演に登場したNVIDIA CEOのジェンスン・ファン氏は、「グラフィックス処理専用チップから、汎用コンピューティングへ裾野を広げたGPUは、Kepler世代でクラウドコンピューティングの扉を開く」と述べ、新たにクラウドコンピューティングにおけるGPU利用を呼びかけた。

 ファン氏は、同社の最新GPUアーキテクチャ“Kepler”は、「世界で初めてハードウェア仮想化技術に対応したGPU」と位置づけるとともに、2006年に発表したCUDAによるGPUを使った汎用コンピューティング処理の実現に次ぐ、大きなステップと訴求する。

 NVIDIAがKeplerで実装したGPU仮想化技術とは、「複数のユーザーがGPUを共有できるハードウェア仮想化技術」と「低レイテンシを実現したリモートディスプレイ機能」を導入することで、クラウドコンピューティング環境のグラフィックス処理性能を高めるだけでなく、CPUの負荷を低減したり、プラットフォームの壁を取り除くことで、クラウドコンピューティング環境を改善させるというものだ。

 例えば、現在多くの企業で採用しているシンクライアントと組み合わせ、デスクトップ環境を仮想化してサーバで一元管理する「VDI」(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラストラクチャ)は、クライアント側で表示する画面をソフトウェアでグラフィックス処理しているが、GPUの仮想化によって、複数のクライアント(ユーザー)がグラフィックス処理にサーバ側のGPUを利用できる。リモートデスクトップ環境のパフォーマンスを改善できるだけでなく、VDIでグラフィックス処理に利用していたサーバ側のCPUリソースを、演算処理、または、より多くのクライアント(ユーザー)のサポートに活用できるため、クラウドコンピューティング環境のエネルギー効率をさらに高めることができるとファン氏は説明する。

 NVIDIAは、GPU仮想化技術を、WindowsやLinixだけでなく、iOS、MacOSやAndroidなど幅広いプラットフォームで利用できるようにすべく、開発環境を提供し、米国企業内での利用が増えつつある「BYOD」(Bring Your Own Device:従業員が個人所有のデバイスを職場に持ち込むことを指す)を、エンタープライズクラウドコンピューティング環境に取り込むことで、

  • 従業員は使い慣れたデバイスを利用することで仕事の効率が向上する
  • 会社側はコンピューティングデバイスなどへのIT支出を削減できる
  • 複数のデバイスプラットフォームの管理やサポートなどのIT管理も簡素化できる


などのメリットが生じるという。

 そこでファン氏は、Kepler世代のGPU仮想化技術プラットフォームとして、エンタープライズ向けの「VGXクラウド・プラットフォーム」と、ゲームサービス向けの「GeForce GRIDプラットフォーム」を、2012年後半より展開することを明らかにした。

ファン氏は、NVIDIAの最新GPUアーキテクチャである“Kepler”が、世界で初めてハードウェアの仮想化技術をサポートしたGPUで、遅延時間の少ないリモートディスプレイ機能などの実現により、クラウドコンピューティングを加速させる存在だとアピールする

米国企業では、自分の使い慣れたデジタルデバイスを職場に持ち込む“BYOD”が盛んになっている(写真=左)。現在一般的なリモートデスクトップ環境は、ソフトウェアでグラフィックスの処理を行うため、動作が遅い(写真=右)

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年01月04日 更新
  1. 充電ストレスからの解放! 「Apple Watch Ultra 3」を選んだ理由と実機を使って分かったこと (2026年01月03日)
  2. 「35歳以下は節約しか知らない」 シャープが“野性味”を取り戻すために選んだ、オール日本人体制への回帰 (2026年01月01日)
  3. イヤフォン連携&文字起こし無料! 無線機能を省いて物理ボタン搭載の異色AIレコーダー「HiDock P1」実機レビュー (2026年01月04日)
  4. クルマは95%の時間停まっている――シャープが挑む「部屋になるEV」と、大阪・堺筋本町への本社移転が示す覚悟 (2026年01月02日)
  5. アイ・オー・データが「Amazon 初売り」に参加 ゲーミングディスプレイやスティックSSDなどがお買い得 (2026年01月03日)
  6. トラックボールの大定番がモデルチェンジ! 新「Expert Mouse TB800 EQ」(レッドボール)を試す (2025年12月29日)
  7. 家族4人で「XREAL One Pro」を使ってみた “推し活”からガチの格ゲーまで、視野角57度の魅力 (2025年12月30日)
  8. 現役情シスの2025年ベストバイ 外付けGPUボックスで脱・デスクトップ、そして“ZUNDAルーター” (2025年12月30日)
  9. 新しい年をいい音で始めよう――エージング用の音源セットもあるゼンハイザーのオーディオ機器がお得 (2026年01月03日)
  10. 光学ドライブをあきらめない! 2026年に向けた「手持ちパーツ流用」で安くPCを延命/自作ガイド (2025年12月31日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年