基本スペックも大幅に強化された。システムの中核となるSoC(System on a Chip)には、NVIDIAのTegra 3を採用している。当初のTegra 3よりも性能を強化した「Tegra3 AP37」と呼ばれていたものにあたり、最大1.7GHzで動作する4つのARMコアと省電力なコンパニオンコアを状況に応じて使い分けることで、高性能と省電力を両立している。
メインメモリも従来の2倍となる2Gバイトと大容量だ。データストレージは32Gバイトを搭載している。前述の通り、microSDXCカードスロットを備えるため、32Gバイトのストレージで足りなければ、大容量のmicroSDXCカードで拡張できる。
画面が高解像度になり、コンテンツも高解像度に対応すれば、それだけデータ量が多くなり、処理や描画の負担が増えることになるが、それに十分対応し、快適にこなせるだけの強力なシステム構成だ。WebブラウズやYouTube動画の視聴など、日常的な操作のレスポンスもサクサクと快適で、使用感も先代機と比べると大幅に向上している。
ARROWS Tab Wi-Fi FAR70B/FAR70Aのスペック比較 | ||
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製品名 | ARROWS Tab Wi-Fi FAR70B | ARROWS Tab Wi-Fi FAR70A |
OS | Android 4.0.4 | Android 3.2 |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド/IPS方式 | 10.1型ワイド/IPS方式 |
表示画素数 | 1920×1200ドット | 1280×800ドット |
画素密度 | 224ppi | 149ppi |
CPU(SoC) | Tegra3 AP37(クアッドコア、最大1.7GHz) | OMAP4430(デュアルコア、1GHz) |
メモリ | 2Gバイト | 1Gバイト |
ストレージ | 32Gバイト | 32Gバイト |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFC | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR |
搭載センサー | GPS、加速度、地磁気、RGB(照度センサー兼用)、指紋 | GPS、加速度、地磁気、照度、指紋 |
カメラ | インカメラ:120万画素、アウトカメラ:810万画素 | インカメラ:130万画素、アウトカメラ:510万画素 |
インターフェイス | Micro USB(MHL)、microSDXCカードスロット、ヘッドフォン/マイク兼用 | Micro USB、microSDHC、ヘッドフォン/マイク兼用 |
ワンセグ | 〇 | 〇 |
DLNA | DLNA/DTCP-IP | DLNA/DTCP-IP |
スピーカー | ステレオ(デュアル) | ステレオ(デュアル) |
音響エンジン | Dolby Digital Plus | Dolby |
バッテリー容量 | 1万80ミリアンペアアワー(37ワットアワー) | 6560ミリアンペアアワー |
バッテリー駆動時間(動画再生時) | 約14時間 | 約10時間 |
バッテリー駆動時間(音楽再生時) | 約75時間 | 約83時間 |
バッテリー駆動時間(スタンバイ時) | 約2100時間 | 約2900時間 |
外形寸法(幅×奥行き×高さ) | 259×169×9.9ミリ | 262×181×11.3ミリ |
質量 | 約589グラム | 約599グラム |
防水 | IPX5、IPX8 | IPX5、IPX7 |
防塵 | IP5X | − |
ベンチマークテストは、Androidの総合パフォーマンステストで定番のQuadrant Professional EditionとAnTuTu Benchmarkを実行した。先代機(Android 3.2搭載)も改めて計測している。総合スコアを比較すると、Quadrant Professional Editionでは約1.9倍、AnTuTu Benchmarkでは約2.8倍と大幅にスコアがアップした。
バッテリー駆動時間のテストでは、ディスプレイ輝度が約50%、Wi-Fi/GPSがオン、Bluetoothがオフ、音量が53%という条件で、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生させて行なった。デフォルトではバッテリー残量が40%以下になるとエコモードに移行するように設定されているが、この機能は無効にしている。
この条件でテストしたところ、バッテリー満充電から残量15%になり警告が表示されるまで、11時間22分も動作した。設定次第では、公称の約14時間動作も可能ではないだろうか。10型クラスのタブレットとして、満足できるバッテリー駆動時間だ。
ボディの発熱については、裏面上部(横位置)の電源ボタン付近が最も高温になり、アウトカメラの間あたりまでじんわりと熱を持つ。それでも表面温度は、高負荷時で最大35度程度(室温22度の場合)で、動画再生などの軽い負荷では32度程度だった。普通に使っていれば、電源ボタン付近は持つことのない部分だと予想され、うまく排熱を処理している。これならば、気温が高くなる夏場でも、不快になることはないと思われる。
このようにARROWS Tab Wi-Fi FAR70Bは、フルHD超えの高画素密度ディスプレイに迫力のドルビーサウンド、ワンセグなど充実の機能を防水防塵の薄型軽量ボディに詰め込みつつ、さらに独自開発のLSIとソフトウェアにより、使い勝手も追求した実にぜいたくなAndroidタブレットだ。
液晶ディスプレイとサウンドの品質、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、操作感といった基本的な部分のレベルが高く、これまでと同じアプリでもより快適に利用でき、これまでと同じコンテンツも一段と楽しめることだろう。
さらに、スマート指紋センサーやフォトフレーム機能などは極めて実用性が高く、大手メーカー製品にありがちな独自の機能がかえって邪魔だという感覚がまったくない点は素晴らしい。アプリにはまだ熟成の余地もあるが、パーソナルなタブレットとして、一段上のステージが見えてきたと感じられる。
気になる実売価格は、同社直販サイトのWEB MARTで7万4800円だ。Webサイト上で配布中の8%オフクーポンを適用すると、6万8816円で購入できる(2013年2月7日現在)。Androidタブレットとしては割高に思えるかもしれないが、いわゆる「普通のAndroidタブレット」と比較できるようなレベルの製品ではない。価格に見合うだけの価値は十分にあるだろう。
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