現地潜入測定! ヨドバシカメラ「スペシャリスト」の“PC DIYスキル”を試す「電源ユニットは“ぜいたく”してください」(4/4 ページ)

» 2015年09月03日 18時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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ゲームの途中で泣きたくないなら電源ユニットはケチらない

 残るパーツは電源ユニットとストレージだ。電源ユニットコーナーは、棚2つ分に売れ筋メーカーで700ワット以下のモデルを中心にそろえている。1000ワット超モデルは少数だが、信頼性の高いメーカーの製品を用意していた。

電源ユニットコーナーは定番どころが中心で、1000ワット超のハイエンドはやや少な目だ。シングルGPU構成で検討するなら十分だろう

 木村氏は「電源ユニットはPCの安定性を決める重要なパーツ」という。一見地味な電源ユニットに予算を十分割り当てると安心ということだ。今回のPCパーツ構成から考えると、およそピークで300ワット台となり、目安としては600ワットクラスの電源ユニットが必要になる。その上で選んだのがオウルテックの「SS-660XP2S」だ。600ワットの電源ユニットではハイエンドのモデルで、80PLUS Platinumも認証しているものの価格は2万円台となる。同じような80PLUS Platinumの600ワット台電源ユニットでは、1万円台半ばから前半の製品もあるが、安定性を考えると電源ユニットは妥協すべきではないとのことだ。

ここでSeasonicのハイエンド電源を選ぶところがシブい。相性問題も少なく安定して動作する

 ストレージには、HDDとSSD、光学ドライブがある。光学ドライブは、昨今のダウンロード型のゲームタイトルの普及を考慮するとあまり重要ではないので、ここでは価格最優先で選ぶ。一方、HDDとSSDは、ゲーミングPCでは両方を組み合わせるのが望ましい。OSやプログラムをSSDに、データファイルをHDDにと、分散することで速度と容量の両方を取る。SSDの売れ筋はSAMSUNG「MZ-75E250U2/IT」だ。850EVOシリーズの250Gバイトモデルで、コストパフォーマンスにも優れている。一方、HDDは2Tバイトモデルが1万円前後で売れ筋だ。そこで、1万円という価格帯からシーゲイトの2Tバイトモデル「ST2000DM001」を選んだ。

SSD、HDD、光学ドライブのコーナー。特にHDDは、メインストリームだけでなく、NAS用や録画用など、選択肢が豊富だ

 OSはいわゆるDSP版のWindowsになる。Windows 7/8.1/10という選択肢があるが、売れ筋でいえば依然としてWindows 7だそうだ。とはいえ、ゲーミングPCとなるともう少し考えることになる。古いゲームタイトルとの互換性を求めるのであればWindows 7がベストだ。しかし、最新タイトルの互換性でいえばWindows 8.1だ。一方、DirectX 12対応を考えるとWindows 10も視野に入る。今回は、現時点ではWindows 8.1を選び、DirectX 12対応ゲームタイトルがそろった段階、かつ、無料アップグレード期間にWindows 10に移行するのがベストと考えた。

DSP版のOSは、PCパーツコーナーからは少し離れた、エレベーターホール付近に並べている

ゲーミングスペック、レスポンス、静音性とバランスよしのパーツ構成が完成

 こうして、““PCアクセサリー専門チームのスペシャリスト”木村氏のアドバイスをうけて、ゲーミングPC一式のパーツ選びが完了した。OS込みで25万円の予算をわずかにオーバーした25万5600円となった。PCパーツ激戦区の専門ショップと比べて、パーツ単体では価格帯が上ではあるが、“ポイント”という還元もついてくる。

 Core i7-6700Kにゲーミングマザーのスタンダードグレード、16GバイトのシステムメモリにGeForce GTX 970いう組み合わせなら最新のFPSゲームを1920×1080ピクセルで楽しむために十分なスペックだ。また、システムドライブにSSDを選択したことで、操作時のレスポンスもHDDほど待たされることがない。グラフィックスカードのクーラーユニットにファン停止機能を備えたASUSTeKのSTRIXシリーズ、CPUクーラーユニットに静音性で評価が高いグランド鎌クロスシリーズ、ほぼ密閉型と呼べるAntec P280ケースを組み合わせたことで、ハイエンド構成でありながら動作音をかなり低いレベルに抑えられそうだ。

今回選んだパーツ一式。在庫がなかったCore i7の代わりにCore i5のパッケージが写っている。最新のFPSが快適に動くゲーミングPCでありながら、静かで、かつ、安定したPCを構成できた

今回の「ゲーミングPC」のために選択したPCパーツ(8月下旬時点)
CPU インテル Core i7-6700K 5万7600円
CPUクーラーユニット サイズ グランド鎌クロス 6460円
CPUグリス Ainex JP-DX1 1420円
マザーボード GIGABYTE GA-Z170X-Gaming 3 2万1490円
システムメモリ Crucial CT2K8G4DFD8213 8GB×2 2万9490円
グラフィックスカード ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5 5万4880円
SSD Samsung MZ-75E250U2/IT 250Gバイト 1万4680円
HDD Seagate ST2000DM001 2Tバイト 9570円
光学ドライブ アイ・オー・データ機器 DVR-SA24ETK 3110円
電源ユニット オウルテック Seasonic SS-660XP2S 660W 2万1500円
PCケース Antec P280 ATX 1万7150円
OS Microsoft 64ビット版 Windows 8.1DSP 1万2760円
計25万5600円(ポイント還元2万5560円→23万0040円)

 最後に、実際にヨドバシカメラでPCパーツを探して気がついたことを紹介しておこう。ヨドバシカメラのPCパーツコーナーは、いわゆる家電量販店の広いスペースでコンパクトにまとまっているが、同じフロアですべてがそろうのは、“買い物”という行動において「移動が楽!」という大きなメリットをもたらす。PCパーツコーナーからは少し離れたところになるが、ディスプレイやキーボード、マウスなども同じフロアで販売している。

 もちろん、PCパーツショップでも、郊外や地方ではワンフロアにまとまってる店舗もあるが、秋葉原でこうしたレイアウトを展開しているのはヨドバシカメラの魅力だろう。大規模駐車場も完備しているので、大荷物になりがちなPC一式購入でも持ち帰りに苦労しない。

 自作PCユーザーのPCパーツ購入の巡回コースとして、ヨドバシカメラのPCパーツコーナーは売り場の構成もスタッフのスキルとセンスも、ユーザーの頼りになって、かつ、楽しませてくれる場所だった。

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