モバイルできるディスプレイとキーボードでメインPCに!? 「GPD P2 Max」使い込んでみたむしろ荷物は増えた予感(1/3 ページ)

» 2020年02月27日 12時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]

「たまには小さいバッグを使いたい!」「だけど、万が一のためにPCは持ち歩きたい」という2つの願いを同時にかなえてくれるはずだった「GPD Pocket2 Max」(以下「GPD P2 Max」)。Core m3を搭載する上位モデルを購入したものの、電源回りに不具合が生じたため、里帰りすることになった。

 遠い目をしていた筆者に、PC USER編集部から救いの手(?)が差し伸べられて、Celeronを搭載する下位モデルをレビューすることになった――ここまでが、前回までのあらすじだ。

 Amazonにおける下位モデルの販売価格は税込みで6万7490円。上位モデルと約2万円の差だ。

 下位モデルでも仕事に使えるのか、そして拡張性はどうなのだろうか。実際に仕事をこなしながら検証した。

正面
背面 GPD P2 Max(Celeronモデル)はシルバーが映える

上位モデルと下位モデルの違いは?

GPD P2 Maxの上位モデルと下位モデルは何が違うのか。

 まずボディーカラーが違う。上位モデルがブラックなのに対し、下位モデルはシルバーだ。ちょっとGPD P2 Maxについて詳しい人なら、カラーを見ただけでスペックがある程度分かってしまう。

 当然、ボディーカラーとCPU以外にも違いはある。上位モデルと比較すると、下位モデルはメインメモリとSSDの容量は半分となっているのだ。

 一方で、タッチ対応の8.9型WQXGA(2560×1600ピクセル)ディスプレイ、サイズ、本体重量といった他の仕様は、上位モデルも下位モデルで共通だ。

 下位モデルを業務で使うに当たり、CPUの貧弱さはもちろんだが、メインメモリが8GBと半減されていることが心配だ。動作のカクつきや処理の遅延は起こらないだろうか。

 もっとも、メインマシンとして使っている「LAVIE Pro Mobile」も、メインメモリが8GBなのだが。

GPD P2 Max(Core m3モデル) 里帰りしてしまった、筆者のGPD P2 Max(Core m3モデル)。カラー、CPU、メインメモリとストレージ以外はCeleronモデルとの違いはない

キーボードはやはり「外付け」が吉?

 GPD P2 Maxのキーボードがかなり変則的であることは前回もお伝えした通りで、他誌のレビューでも散々に言われている。もちろん「慣れれば問題はない」という人もいるが、筆者はかな入力派ということもあり、使いこなせる気がしない。

 そこで、どうしても単体で使わなければいけないシーンに限り、IME(日本語入力ソフトウェア)をローマ字入力に切り替えて、それ以外では外付けキーボードを使ってかな入力をすることにした。

キーボード GPD P2 Maxは、コンパクトさを追求したがゆえにキー配列に変則的な部分がある。US(米国英語)配列に慣れている人でも、場合によっては厳しいかもしれない

 幸い、自宅にはiPad用に購入したモバイル外付けキーボードが数種類あり、幾つかはWindowsにも対応している。もちろん、Windows対応キーボードであればどれでも入力に使えるが、超小型PCたるGPD P2 Maxと組み合わせた際の使用感を紹介したい。

MOBO Keyboard

 日本語配列で83キーを備える折りたたみ式のパンタグラフ式Bluetoothキーボード。約19mmのキーピッチを基本的に保ちつつ(右下あたりの一部に小さめサイズあり)、折りたたみ時のサイズは約166(幅)×120(奥行き)×15(厚さ)mmで、広げると自動的に電源が入る仕組みとなっている。

 充電式で、2台までのマルチペアリングができる。Micro USBケーブルでも接続できるので、バッテリーが切れてしまった場合でも何とかなるのも強みだ。

 コンパクトさや軽さが魅力的な1枚である。 ただし、折りたたみ式であるため、膝の上など段差のある場所で使うと、多少ガタガタする。使うとしたら、あくまでも平らな作業場所に限られるだろう。

MOBO Keyboard MOBO Keyboard。右端の一部キーを除いて19mmのキーピッチを確保している(写真は製品のWebサイトより)
開いた様子 有線でも使えるので、UEFI(BIOS)を設定する時やキーボードのバッテリー切れの際に便利
閉じた様子 折りたたむとコンパクトになる

Microsoft Universal Mobile Keyboard

 Windows、iOS、Androidに対応する、スリムなモバイルBluetoothキーボード。スタンドの役割を果たすカバーを開けると、自動的にスリープから復帰するようになっている。長時間使わない場合は、本体側面の電源ボタンを押して、電源を完全に落とすことをお勧めする。

 こちらも充電式で、最大3台の端末とペアリングできる。接続先の切り替えは、Fnキーと文字キーの組み合わせで行う。

 膝の上でも入力しやすいのだが、独立したファンクションキーを備えない。それどころか、ファンクションキーに相当するコンビネーションキーもない。そのため、筆者のようなかな入力派には困ったこともある。「ぬよめぬふめあぬ」と入力した後で、F10キー(半角英数変換)を押し、「19/12/31」と入力することができないのだ。

 ただし、スペースキーの左右に「英数」「ひらがな/カタカナ」キーがあるため、Mac(macOS)のように楽に入力文字の切り替えができるので、影響は軽微かもしれない。

 カバーを兼ねるスタンドが優秀な所もポイントだ。GPD P2 Maxのキーボード部分を差し込んで使っても、倒れる気配がない。差し込んだ状態でキーボードを持ち上げたり下ろしたりしても、びくともせず安定する。

 見た目が不安定かつ「変態」チックなので、これで運用するかと聞かれると微妙だが、狭いテーブルが多いカフェでは“有効”なのかもしれない。

高さの有効活用 Microsoft Universal Mobile KeyboardにGPD P2 Maxを差し込んだ図。ディスプレイ部分が目の高さにくるため、首や肩に優しいかもしれない
意外と安定している 横から見ると不安定そうに思えるが、GPD P2 Maxのディスプレイ部分を押したところでびくともしないほどには安定している
相性良好 どうやら、キーボード部分の底面カーブとUniversal Mobile Keyboardカバー兼スタンドとの相性が良いようだ。もっとも、油断は禁物だが……

HHKB HYBRID Type-S

 深いキーストロークと、タイピングの楽しさを味わえる高級キーボード。Bluetoothで最大4台の機器と接続できる上、「HYBRID」という名の通り、USB Type-Cケーブルで接続して使うことも可能だ。

 電源は単三形の乾電池なので、電池切れを起こした場合でも、コンビニエンスストアなどで調達できる。

 入力するのには最高のキーボードなのだが、いかんせんバッグの中でスペースを取る。テーブルの上でも同様だ。

HHKB HYBRID Type-S 圧倒的存在感のあるHHKB HYBRID Type-S。機能キーはFnキーとの組み合わせが必要なものの、慣れてしまえば問題ない。「どうやって持ち運ぼうか」ということだけが悩ましい

 それぞれのモバイルキーボードをGPD P2 Maxと合わせた際の重量は、以下の通りとなる。一般的なモバイルノートPC程度の重さに一応収まってはいる。

  • MOBO Keyboard:946g
  • Microsoft Universal Mobile Keyboard:1045g
  • HHKB HYBRID Type-S:1271g

 メール連絡などの軽い入力作業がある場合はMOBO Keyboardを、取材とその後の執筆作業がある場合はUniversal Mobile Keyboardを、バイクなどで移動できる場合や宿泊を伴う出張のときにはHHKB HYBRID Type-Sを、という具合に、シーンごとに使い分けるのが最適そうだ。

 「UMPCの意味がないのでは?」というツッコミが入りそうだが……。

MOBOと組み合わせ MOBO Keyboardと組み合わせると946g
MSと組み合わせ Universal Mobile Keyboardとの組み合わせでは1kgを超えてしまった
HHKBと組み合わせ HHKB HYBRID Type-Sとの組み合わせでは約1.3kg。ただ、見た目の割には「そんなものか」と感じてしまう
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