「たまには小さいバッグを使いたい!」「だけど、万が一のためにPCは持ち歩きたい」という2つの願いを同時にかなえてくれるはずだった「GPD Pocket2 Max」(以下「GPD P2 Max」)。Core m3を搭載する上位モデルを購入したものの、電源回りに不具合が生じたため、里帰りすることになった。
遠い目をしていた筆者に、PC USER編集部から救いの手(?)が差し伸べられて、Celeronを搭載する下位モデルをレビューすることになった――ここまでが、前回までのあらすじだ。
Amazonにおける下位モデルの販売価格は税込みで6万7490円。上位モデルと約2万円の差だ。
下位モデルでも仕事に使えるのか、そして拡張性はどうなのだろうか。実際に仕事をこなしながら検証した。
GPD P2 Maxの上位モデルと下位モデルは何が違うのか。
まずボディーカラーが違う。上位モデルがブラックなのに対し、下位モデルはシルバーだ。ちょっとGPD P2 Maxについて詳しい人なら、カラーを見ただけでスペックがある程度分かってしまう。
当然、ボディーカラーとCPU以外にも違いはある。上位モデルと比較すると、下位モデルはメインメモリとSSDの容量は半分となっているのだ。
一方で、タッチ対応の8.9型WQXGA(2560×1600ピクセル)ディスプレイ、サイズ、本体重量といった他の仕様は、上位モデルも下位モデルで共通だ。
下位モデルを業務で使うに当たり、CPUの貧弱さはもちろんだが、メインメモリが8GBと半減されていることが心配だ。動作のカクつきや処理の遅延は起こらないだろうか。
もっとも、メインマシンとして使っている「LAVIE Pro Mobile」も、メインメモリが8GBなのだが。
GPD P2 Maxのキーボードがかなり変則的であることは前回もお伝えした通りで、他誌のレビューでも散々に言われている。もちろん「慣れれば問題はない」という人もいるが、筆者はかな入力派ということもあり、使いこなせる気がしない。
そこで、どうしても単体で使わなければいけないシーンに限り、IME(日本語入力ソフトウェア)をローマ字入力に切り替えて、それ以外では外付けキーボードを使ってかな入力をすることにした。
幸い、自宅にはiPad用に購入したモバイル外付けキーボードが数種類あり、幾つかはWindowsにも対応している。もちろん、Windows対応キーボードであればどれでも入力に使えるが、超小型PCたるGPD P2 Maxと組み合わせた際の使用感を紹介したい。
日本語配列で83キーを備える折りたたみ式のパンタグラフ式Bluetoothキーボード。約19mmのキーピッチを基本的に保ちつつ(右下あたりの一部に小さめサイズあり)、折りたたみ時のサイズは約166(幅)×120(奥行き)×15(厚さ)mmで、広げると自動的に電源が入る仕組みとなっている。
充電式で、2台までのマルチペアリングができる。Micro USBケーブルでも接続できるので、バッテリーが切れてしまった場合でも何とかなるのも強みだ。
コンパクトさや軽さが魅力的な1枚である。 ただし、折りたたみ式であるため、膝の上など段差のある場所で使うと、多少ガタガタする。使うとしたら、あくまでも平らな作業場所に限られるだろう。
Windows、iOS、Androidに対応する、スリムなモバイルBluetoothキーボード。スタンドの役割を果たすカバーを開けると、自動的にスリープから復帰するようになっている。長時間使わない場合は、本体側面の電源ボタンを押して、電源を完全に落とすことをお勧めする。
こちらも充電式で、最大3台の端末とペアリングできる。接続先の切り替えは、Fnキーと文字キーの組み合わせで行う。
膝の上でも入力しやすいのだが、独立したファンクションキーを備えない。それどころか、ファンクションキーに相当するコンビネーションキーもない。そのため、筆者のようなかな入力派には困ったこともある。「ぬよめぬふめあぬ」と入力した後で、F10キー(半角英数変換)を押し、「19/12/31」と入力することができないのだ。
ただし、スペースキーの左右に「英数」「ひらがな/カタカナ」キーがあるため、Mac(macOS)のように楽に入力文字の切り替えができるので、影響は軽微かもしれない。
カバーを兼ねるスタンドが優秀な所もポイントだ。GPD P2 Maxのキーボード部分を差し込んで使っても、倒れる気配がない。差し込んだ状態でキーボードを持ち上げたり下ろしたりしても、びくともせず安定する。
見た目が不安定かつ「変態」チックなので、これで運用するかと聞かれると微妙だが、狭いテーブルが多いカフェでは“有効”なのかもしれない。
深いキーストロークと、タイピングの楽しさを味わえる高級キーボード。Bluetoothで最大4台の機器と接続できる上、「HYBRID」という名の通り、USB Type-Cケーブルで接続して使うことも可能だ。
電源は単三形の乾電池なので、電池切れを起こした場合でも、コンビニエンスストアなどで調達できる。
入力するのには最高のキーボードなのだが、いかんせんバッグの中でスペースを取る。テーブルの上でも同様だ。
それぞれのモバイルキーボードをGPD P2 Maxと合わせた際の重量は、以下の通りとなる。一般的なモバイルノートPC程度の重さに一応収まってはいる。
メール連絡などの軽い入力作業がある場合はMOBO Keyboardを、取材とその後の執筆作業がある場合はUniversal Mobile Keyboardを、バイクなどで移動できる場合や宿泊を伴う出張のときにはHHKB HYBRID Type-Sを、という具合に、シーンごとに使い分けるのが最適そうだ。
「UMPCの意味がないのでは?」というツッコミが入りそうだが……。
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