GPD Pocket2 Max(以下、GPD P2 Max)の「Max」たるゆえんの1つ、「システムメモリの増量とストレージ接続バスの高速規格採用」「ディスプレイのサイズアップ」の効果を前回の記事で検証した。
この処理能力の向上の他にも、というか、こちらこそ本題ともいえる「ディスプレイのサイズアップ」に伴う「キーピッチとレイアウトの変更」「本体のサイズアップと重量増」が携行利用に及ぼす影響を考察する。
7型から8.9型にサイズアップしたディスプレイを搭載したことで、最も影響を受けたのがキーボードだ。とはいえ、キーピッチは実測で約17mm、キートップのサイズが約14mmとGPD Pocket2と同等である。“なんとか”ストレスなくキータイプができるぎりぎりのサイズといえるだろう。
なお、キーストロークは実測1mm程度で、指を押し込むと「うん、キーを押している」と十分に認識できるほど軽くはないが、キーを押し込んでも揺らいだりがたついたりすることはなく、押し切って本体がたわむこともない。安心してタイプできる。
本体サイズに伴ってキーボードが受けた最も大きな影響は、キーレイアウトの変更だ。特に本体の幅がGPD Pocket2の約181mmから206mmに増えたことで、記号キー(アルファベット以外のキー)の配置が大きく換わっている。
GPD Pocket2では、通常のキーボードで最上段になる数字キーの上にもう一段設け、そこに記号キーを移設していた他、一部の記号キーはスペースキーの脇やカーソルキーの一部と混在する状況だった。
一方、GPD P2 Maxでは、カーソルキーがその他のキーと離れた場所に“独立”し、「、」「。」など、日本語入力(そして英語入力)で多用するキーが正規の位置といえる「M」キーの右隣りに用意した。
キーボード手前には、パームレストとタッチパッドを用意した。GPD Pocket2のポインティングデバイスは、キーボード奥の右端に光学センサー方式のポインティングデバイスを設け、左端に左右のクリックボタンを備えていたのと比べると、普通のクラムシェル型ノートPCと共通するレイアウトになった。
実際に使ってみると、パームレストに手を置くようなスタイルにはならないが、ホームポジションに手を置いた状態から、手をさほど動かすことなくタッチパッドを右人差し指で操作できるため意外と使いやすい。その代わり、GPD Pocket2は立って本体を両手で持った姿勢でも使えたが、GPD Pocket2 Maxではそれが難しくなった。
ポインティングデバイスとパームレストを設けた影響で、キーボードは5段レイアウトになった。それもあって、GPD P2 Maxにおけるキーの数はGPD Pocket2より少なくなっている。その“しわ寄せ”で「一部の機能キーがFnキーとの同時押しで有効」という仕様になってしまった。
この対象となった機能キーが「〜」「−」「_」「=」「+」「{」「}」「[」「]」「Delete」だ。この中で日本語の文章入力で多用するのが「−」とカギ括弧だろう。キーの場所がそれぞれホームポジションの右人差し指近くにあるのでタイプしやすいが、FnキーがCtrlキーに右隣で、左小指でも左親指でも微妙にタイプしにくい場所にあるため、文章入力の流れがいったん止まってしまう。
今回の評価作業中も、できるだけGPD P2 Maxで原稿を入力するようにしていたが、それでもこのスタイルに慣れることはできなかった。
キーの配置で、もう1つだけ気になったのがAltキーだ。通常のキーボードではスペースキーの左右両脇にAltキーが存在するが、ノートPCでは省スペース化を優先するので、どちらか一方がない場合も多い。
筆者の経験では、このとき左のAltキーを残す製品が多かった。そのため、Altキーを伴う操作(アプリケーションのメニューを呼び出すなど)は「左手の親指でAltキーをタイプする」動作に慣れている。ところがGPD P2 Maxは右Altキーだけなので、Altキーを伴う操作で戸惑うことが多かった。
ただし、こちらは評価作業の終盤で何とか指が慣れることができた他、右側にしかAltキーがないことを体が覚えさえすれば「Altキーと間違えてWindowsボタンを誤爆することがない」というメリットもある(それまでは、Altキーと間違えてWindowsボタンを誤爆しまくっていた)。
続いて、ボディーサイズと重量アップの関係を見ていこう。
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