その意気込みは“龍の如く”――ウィルコムが「XGP」を限定スタート(2/2 ページ)

» 2009年04月22日 21時55分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

XGPとモバイルWiMAX 同じ部分と違う部分

photo ウィルコム取締役執行役員副社長の近義起氏

 XGPは、モバイルWiMAXやLTEとともにBWA(Broadband Wireless Access)として期待される次世代の通信技術の1つ。喜久川氏はXGPの特徴を改めて説明し、その利点を強調した。例えば高速化に伴う回線容量の増加については、現行PHSから採用されているマイクロセルで解決できると胸を張る。

 「これまでの2Gや3G、PHSといった端末はケータイの形をしていて、それほど大きな回線容量は必要なかった。例えば携帯電話は月に10Mバイト程度しか通信を行わない。しかし、ブロードバンドがワイヤレスになるということはどういうことか。ADSLやFTTHは月間10Gバイト程度の通信が発生している。これは携帯電話の約1000倍の数値だ。これを従来のマクロセルでさばくのは現実的ではない。隣接する基地局が互いにカバーするマイクロセルでないと吸収できない」(喜久川氏)

photophotophoto XGPの特徴とほかの次世代通信サービスとの違い

 ウィルコムがBWAの実現に自信を見せるのは、マイクロセルに加え、オールIP化されたインフラと長年蓄積したTDD技術という3つの資産があるからだ。現在ウィルコムは、全国に約16万局のマイクロセルを設置。そのほとんどは独自のバックボーン設備「ITX」によってIP化されており、無線部分がPHS(204〜800Kbps)からXGP(20Mbps以上)に高速化しても十分対応できるという。また、PHSは上りと下りの通信を同じ周波数で行うTDD方式を採用しているため、周波数の利用効率が高いのも特徴だ。ウィルコムのようにTDD方式をマクロセルの細かい置局設計で使うキャリアはほかにない。もちろんXGPもTDDによって上り通信と下り通信を二重化している。

 「OFDMAやMIMOを使っている点は、WiMAXもLTEも同じだが、XGPはTDDであり、マイクロセルを使う点が違う。ウィルコムならではの“3つの資産”は、XGPのバックボーンとしてそのまま活用できる。今風に言うならば、エコでグリーン。環境負荷が少なく、低コストでスピーディな展開が可能だ」(喜久川氏)

photophotophoto 都内の一部地域などで、100カ所近い基地局でエリア限定サービスを開始する

 XGPの基地局は、既存のPHS基地局に装置を追加することで簡単に設置できる。すでに100局程度が設置され、6月には数百局が稼働するという。例えば東京駅付近では、光化している現行基地局の中から2〜300メートルおきに候補を選び、カバー範囲をオーバーラップさせて置局した。同社取締役執行役員副社長の近義起氏は、「基地局のカバー範囲をオーバーラップできるのが、PHSとXGPの特徴」と補足した。

 XGPの基地局は京セラが供給し、端末はNECインフロンティアとネットインデックスの2社が開発した。NECインフロンティア製のGX000Nは、加Wavesat製のベースバンドチップとエイビットのソフトを採用。またネットインデックス製のGX000INはイスラエルAltair semiconductorのOFDMA技術が使われている。近氏は「XGPはWiMAXやLTEと技術的に似ているので、WiMAXやLTEを手がけるベンダーならその技術を流用できる。特に無線部分のチップは“2.5GHz帯でOFDMAを使う”という点がモバイルWiMAXと共通のため安く調達できる。今回提供する端末も、ほかの規格部品を流用することで、低コストかつ短期間で開発できた」と説明し、デバイス開発のハードルが低いことを示した。

photo XGPの基地局

 なお、エリア限定サービスで貸与されるGX000NとGX000INはMIMOに対応していないが、商業サービス開始後はMIMOを利用した端末を提供することで、高速化を図る。

その実力は?

 XGPはモバイルWiMAXと違い、上りと下りの通信速度が同じ点が特徴だ。発表会場ではXGP環境が用意され、ダウンロードとアップロードのデモが行われた。ファイルのダウンロードでは最大18.5Mbpsを記録し、理論値に近い速度をコンスタントに出していた。またアップロードは「チューニング中」(近氏)のため最大12Mbpsとやや遅かったが、10Mバイト程度のファイル転送が数秒で完了した。

photophotophoto 発表会場ではファイルのダウンロードとアップロードの実演や、ライブカメラの操作といったデモが行われた
photophoto 映像伝送のデモも行われた

 喜久川氏は、「上りと下りで高速通信が行えるXGPは、テレビ会議など動画の送受信に強さを発揮するだろう。新たなアプリケーション開発が期待できる」とし、その1例としてカメラネットワーク構想を紹介。六本木交差点に置かれたライブカメラの映像を、XGPを使って会場に伝送するデモも行った。

 映像伝送についてはフジテレビとともにニュース映像の伝送実験を行う予定で、会場内に置かれた映像機材から、伝送する様子も公開された。そのほかにもエリア限定サービスでは、XGPを利用することで置き場所を選ばないデジタルサイネージ端末の実験、鉄道・路面電車沿線や教育現場のエリア化を通じて、XGPの可能性について検証を行う予定だ。

 喜久川氏は「WILLCOM COREとは、XGPだけでなく、3Gや無線LANも含まれる総合サービス。しかし、ど真ん中のXGPがないと完成したとはいえない。龍の絵に瞳を描かなかったことから『画竜点睛を欠く』という故事が生まれたが、XGPはWILLCOM COREという龍の瞳にあたるもの。瞳が入ったWILLCOM COREは龍となって天高く飛び立って行くだろう」と、WILLCOM CORE XGPの発展に期待を寄せた。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月05日 更新
  1. スマホ大型化の裏で高まる「小型音楽プレーヤー」待望論 現役ウォークマンか、“ポストiPod”のiPhone SEか (2026年04月05日)
  2. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【4月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のチャンスあり (2026年04月03日)
  3. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【4月4日最新版】 ポイント10倍多数、1万ポイント還元も (2026年04月04日)
  4. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  5. 皆さん、パソコンやスマホを何で持ち運んでいますか? 私はリュックサックです (2026年04月04日)
  6. au PAYとPontaのキャンペーンまとめ【4月2日最新版】 1万ポイント還元や30%還元のチャンスあり (2026年04月02日)
  7. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【4月5日最新版】 チャージで最大2万ポイント還元のチャンス (2026年04月05日)
  8. ドコモの「ぷらら」フレッツ光関連サービスが「OCN」に統合へ 利用料金に変更あり (2026年04月02日)
  9. 選択肢が増えた「Starlink衛星とスマホの直接通信」 ドコモとauのサービスに違いはある? (2026年04月02日)
  10. 新幹線でも「音漏れ」気にせず映画に没頭 NTTの技術実装で 公共交通機関で初 (2026年04月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年