NTTドコモが目指す“NFCの未来”とは:Mobile IT Asia(1/2 ページ)

» 2012年03月07日 22時52分 公開
[園部修,ITmedia]

 3月14日から16日まで、東京ビッグサイトで開催する「Mobile IT Asia」で、NTTドコモは「スマートホームを実現するモバイルIT」「スマートフォンとNFCの今後」「スマートデバイスとシルバー社会」の3つのテーマでブースを出展する。

 その中でも、最も注目すべきトピックは同社のNFCへの取り組みだ。NFCは、おサイフケータイやICカードで利用されているFeliCaの上位互換性を持つ近距離無線通信技術。10センチ程度の距離でカードや対応機器をかざすことで簡単にデータ通信ができる。かざすだけでデータのやりとりができるため、さまざまな応用が検討されているだけでなく、世界標準の技術であることから、日本以外の地域での広がりも期待されている。

 もともと日本では、FeliCaチップを利用したICカードや、NTTドコモとソニーの合弁会社、フェリカネットワークスが開発したモバイルFeliCaチップを利用したおサイフケータイが広く利用されている。そのため、今後はNFCに対応したサービスも徐々に広がると予想されるが、まだNFC対応端末がほとんど販売されていないこと、対応サービスがあまり普及していないことなどから、認知度は高まっているものの、具体的な利用イメージが広く認識されていない。

Photo NTTドコモ フロンティアサービス部 おサイフケータイ事業推進 利用促進担当課長の鈴木茂美氏(左)と、フロンティアサービス部 おサイフケータイ事業推進担当部長の中村典生氏(右)

 そんな中NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは、2011年12月21日に「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を設立して国内での環境整備に取り組む姿勢を明らかにした。同協議会は、国内外の規格の違いを意識することなくサービスが利用できる環境の整備運用と、サービスの低コスト化・迅速化を目的とした、国内向けモバイル非接触ICサービスの共通仕様策定および運用の統一化を目指しており、日本でも今後NFC対応の端末やサービスが登場するのは間違いないだろう。

 NFC対応へ向けて、ドコモはどういった“仕込み”をしているのか。フロンティアサービス部 おサイフケータイ事業推進担当部長の中村典生氏と、フロンティアサービス部 おサイフケータイ事業推進 利用促進担当課長の鈴木茂美氏に聞いた。

NFCはFeliCaとシームレスに共存

ITmedia ドコモはこれまで、モバイルFeliCaを採用したおサイフケータイの普及に積極的に取り組んできた歴史があります。実際、お2人とも部署名に「おサイフケータイ事業推進」という文字がありますね。日本で“ケータイをかざす”という習慣が根付いた背景には、御社の取り組みが少なからず影響していると思います。一方世界で注目を集めているNFCについては、どのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

中村典生氏 今まで私たちは、モバイルFeliCaを中心に取り組んできましたが、今後はNFCの機能を追加していくことを考えて作業を進めています。2月27日からスペインのバルセロナで開催されていたMobile World Congressでも、ドコモがこれから日本市場でNFCに積極的に取り組んでいく、ということをアピールしました。国内外でNFC/FeliCaをシームレスに利用できるよう、ドコモはFeliCaのSE(Secure Element)とNFCチップを搭載し、SIMにNFCアプリを内蔵させて、NFCとFeliCaを両立させる予定です。こちらは2012年度内の商品化を目指しています。

 ドコモとしては、モバイルSuicaやEdy、iDが使えるおサイフケータイで、NFCのサービスも同じように利用できる世界を想定しています。利用者がFeliCaを使うのか、NFCを使うのかは意識することなく各サービスを使えるようにしたいと考えています。2月27日に発表があったとおり、フェリカネットワークスがSamsung電子と提携して日本のFeliCaサービスとも互換性のあるNFCチップを開発しますので、今年度内にはNFCとFeliCaの両方に対応したチップを搭載した端末もリリースしたいと考えています。

鈴木茂美氏 おそらく来年(2013年)の春くらいには、具体的なサービスも見えるようになってくると思います。

ITmedia その具体的なサービスというのは、おサイフケータイのように3キャリアで足並みをそろえてやっていくことになるのでしょうか。

鈴木氏 3キャリアが同時にサービスを始める、ということにはならないと思いますが、サービス提供社が対応しやすくなるように、3キャリアで同じような仕組みにしていきます。モバイル非接触ICサービス普及協議会はそのための組織なので、情報共有をしながら準備を進めています。

Mobile IT Asiaではさまざまな利用シーンを提示

ITmedia Mobile IT Asiaではどのような展示をされるのですか?

中村氏 NFCにはICカードの代わりになるという側面もあるのですが、携帯電話やスマートフォンでNFCタグのデータを読み取ることもできるので、今回は読み取り機能のデモを中心に展示を行います。NFCではなくFeliCaを利用するのですが、デモ端末を用意して、来場していただいた方に、いろいろ試していただけるようにします。日本でも海外でも同じようにNFCでの決済などが使えるようになる、という将来の姿はパネルでご紹介します。また、Mobile World Congressで展示した内容もご覧いただけるようにする予定です。

鈴木氏 会場に用意するのは「ICタグ・バーコードリーダー」というアプリをインストールしたAndroidスマートフォンです。このアプリはドコモで開発したもので、ご来場前にご自身のAndroidスマートフォンにインストールしていただければ、会場ではデモ端末ではなく、ご自身の端末で体験していただけます。

 会場では、法人営業部が「スマートホームを実現するモバイルIT」をテーマに、日産の電気自動車「リーフ」を設置し、周りにスマートホームに見立てたミニチュアの家電などを配置した展示も行います。そこで、そのリーフにICタグを用意して、ICタグをかざすことで詳細情報がスマートフォンで入手できるようなデモをします。「続きはWebで」ではありませんが、その場でアプリのダウンロードサイトなどにアクセスしていただく動作を、ICタグにスマートフォンをかざすことで簡単に実現できるようにするわけです。

 実はこのリーフでのデモにもちょっとした技術の進歩があります。これまでICタグというのは、鉄板の前などに設置するとうまく動作しないことがあったのですが、ソニーさんに“貼る場所を選ばない”タグを開発していただきました。看板や駅のポスター貼付スペースには、金属製のベース板があったり、壁に鉄が入っていたりする場所があります。これまでこうした場所では、ポスターなどにICタグを用意しても、うまく読み取れないことがありました。でも今回デモをする新しいタグは、水に濡れても大丈夫ですし、裏が金属でも問題ありません。ポスターを貼る場所を選ばなくなるわけです。リーフのようなクルマに埋め込むことも、新しいタグで可能になりました。

 また、高齢者向けの活用法として、家の中に家族の写真が付いたICタグを用意し、息子や娘、孫のタグにスマートフォンをかざすと電話がかけられる、という提案も行います。「らくらくホン」には、押しやすい3つのボタンを用意していますが、それでも1番が誰か忘れてしまうことがあるかもしれません。写真とタグを組み合わせれば、分かりやすいですし、忘れてしまうこともありません。

ITmedia 決済などに使うだけでなく、NFCでスマートフォンや生活をもっと便利にするような提案をするわけですね。

鈴木氏 そうです。

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