連載
» 2012年06月04日 17時30分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:いよいよ子どもの「スマホ化」が始まった(1)

急速なスマートフォン化の流れは、子どもたちにも広がりつつある。ある女子高生向けサイトではユーザーの9割以上がスマホに機種変したという。Wi-Fiが使える点が評価されているが、それは従来のフィルタリングが機能しなくなることを意味する。

[小寺信良,ITmedia]

 女子中高生向けポータルサイト、「ふみコミュ!」が今年4月に調査した結果によれば、この半年で携帯電話を機種変した中高生のうち、スマートフォンに変更した子が93.3%に上るそうである。衝撃的な数字ではあるが、この結果を純粋な調査として見るには、分母が少なすぎること、また調査対象地域が明らかにされていないことから、1つのコンテンツとして見る方がいいだろう。

 これに続くアンケート企画では、原宿でのインタビューがいくつか掲載されている。これによれば、スマートフォンのほうが利用料が安くなること、Wi-Fiが利用できるメリット、「PocketWiFi」に代表されるモバイルルーターも利用できることなどが上がっており、子どもといえども高校生ぐらいになれば、普通にスマートフォンらしい使い方が理解できると言えそうだ。

 ふみコミュ!は、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の認定サイトではないため、フィルタリングが機能している携帯電話ではアクセスできない。そういう事情から、キャリアのフィルタリングが無効となる、スマートフォンでのWi-Fi利用へ誘導しているのではないかという見方もできる。

 このようなポータルサイトが子どもにスマホやWi-Fiの利用を進めることに対しては、基本的には表現の自由の範疇であるという見方はできる。その一方で、結果的にフィルタリングが機能しない方向へ誘導することは、青少年インターネット環境整備法の理念に反するのではないだろうか。

スマホ以外の選択肢があるか

 以前もこのコラムで指摘したが、青少年のインターネット利用に関しての安全性を考えると、フィーチャーフォンで実現された環境はかなり強力である。その一方でスマートフォンの場合は、Wi-Fiへの逃げ道があるため、事実上スマートフォンで構築された青少年保護の仕組みが機能しなくなる。

 しかし実際に今、小学生向けキッズケータイを除いて、中高生にフィーチャーフォンを与えるという選択肢がありうるのか。

 先月、主要携帯キャリア3社からこの夏に向けての新モデルが発表された。スマートフォンで最大勢力のiPhoneは、Appleの発表待ちであるため、基本的にはAndroid搭載スマートフォンの発表会といってもいい。5月末から市場投入される各社の新モデルのうち、スマートフォンとフィーチャーフォンの数を調べてみると、以下のようになる。

携帯電話3社の2012年夏モデル内訳
キャリア スマートフォン フィーチャーフォン 新製品情報
KDDI(au) 6 3 au 製品ラインアップ
NTTドコモ 17 1 docomo 発売予定の製品一覧
ソフトバンクモバイル 4 3 SoftBank 新製品ラインアップ

 KDDI(au)、ソフトバンクモバイルはまだフィーチャーフォンという選択肢も考えられるが、NTTドコモドコモのフィーチャーフォンは、キッズケータイが1機種のみである。既発売モデルも併売されるため、市場からフィーチャーフォンが消えるわけではないが、選択肢は着実に減っていく状況にある。

 次回は保護者のスマートフォンに対する見方をご紹介する。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia +Dモバイルでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.