年度末に4000局が75Mbps対応、100Mbps/112.5Mbpsエリアも拡大――ドコモのLTE戦略当たり前のことをきっちりと(1/2 ページ)

» 2012年11月17日 11時55分 公開
[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモが11月16日、同社のLTEサービスへの取り組みに関する説明会を開催。代表取締役副社長の岩崎文夫氏、取締役常務執行役員の尾上誠蔵氏、執行役員の入江恵氏が、2012年冬モデルから提供する下り最大100Mbpsの「Xi」、LTE基地局の展開、人口カバー率などの詳細を説明した。

東名阪で100MbpsのLTEサービスを使えるのは2014年春から

photo 岩�啗文夫氏

 日本では他社に先駆けて2010年末にLTEサービス(Xi)を開始したドコモ。当初はデータ端末を発売し、2011年末にLTE対応スマートフォンも投入した。まず提供したのは、2GHz帯の5MHz幅(×2)を使った下り最大37.5Mbps/上り最大12.5Mbpsと、10MHz幅(×2)を使った下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsのサービス。全国主要都市から展開し、2012年度末に約75%の人口カバー率を目指す。なお、全国政令指定都市の人口カバー率は100%を達成している。「高速スループットを利用してサクサク使えることが有用な場所――例えば主要駅、空港、新幹線といったところでも、ナンバーワンの品質を確保していきたい」と岩崎氏は意気込む。

 2012年11月16日からは、1.5GHz帯を利用した下り最大100Mbpsのサービスも提供し、2012年冬モデルのスマートフォンは全機種が100Mbpsの通信をサポート。16日には100Mbps対応機種として「GALAXY Note II SC-02E」と「Xperia AX SO-01E」を発売した。実効速度が気になるところだが、11月12日にドコモが新潟市の100Mbps対応エリアで調べたところ、下りは平均78Mbps以上、上りは平均21Mbps以上を計測したという。2012年度内には、下り最大112.5Mbpsの通信が可能なLTEの“Category 4”に対応した端末を発売する予定だ。

 ただし100Mbpsと112.5Mbpsの通信が可能なのは、当初は新潟県、石川県、愛媛県、香川県、高知県、徳島県、沖縄県の一部都市に限られる。東名阪と九州の場合、1.5GHz帯は現在タクシーなどで使われるMCA無線用に割り当てられているため、ドコモ端末で15MHz幅をフルに利用できるようになるのは2014年春からだ。「事前の準備はできるので、電波が出せるようになり次第、垂直起ち上げをしたい」(岩崎氏)。なお、東名阪と九州においても、1.5GHz帯の1波(5MHz幅)だけは使用できる。「これを基盤として、(1.5GHz帯で)2波3波の許可をいただいたときに通信速度を上げられるように、東名阪と九州でも展開していきたい」(入江氏)

 なお、Xperia AXと「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」「ARROWS Tab F-05E」「L-03E」は800MHz帯のLTEサービスにも対応している。800MHz帯はFOMAプラスエリアと同じく地方を中心に展開するが、「都心部でも使えるところには積極的に導入したいし、それを制約する条件はないと思っている」(岩崎氏)とのこと。

photophoto Xiのロードマップ(写真=左)。さらなる高速化と基地局増加を図る(写真=右)
photophotophoto 2012年冬モデルの全11機種が100Mbpsの通信に対応するが、LTEのCategory 4はサポートしていないので、112.5Mbpsの通信はできない(写真=左)。100Mbps/112.5Mbps対応エリア(写真=中)。11月12日に100Mbps対応の新潟市で計測した通信速度。最大で90Mbps以上の速度が出たという(写真=右)

75Mbps対応エリアを増やして速度を向上させる

 2012年度末におけるXiの対応基地局は2万3000局に上方修正するともに、下り最大75Mbpsに対応する基地局も2012年度末までに全国4000局に拡大する。入江氏によると、4000局のうち約700局が東京23区、320局が京阪神エリアにあるという。ドコモの2GHz帯は20MHz幅をFOMAとXiで分け合っている状態だが、75Mbpsに対応させるためには、FOMAで使っていた10MHz幅(2波)をXiへ移行する必要がある。そのために3Gのスループットが下がってしまっては意味がないが、ドコモの調べでは、2012年5月と11月の東京23区おける1波あたりのトラフィックは、Xiが1.8倍増え、FOMAが0.9倍に減っているという。「FOMAの速度を維持し、Xiの速度はより改善できる」(岩崎氏)ので、都心部でも無理なく75Mbps化ができそうだ。

 Xiの契約数はすでに600万を超えていることもあり、ここ最近「Xiの通信速度が遅い」という声が多く聞かれるようになった。ドコモもこうした現状は認識している。「一部の場所や時間帯でXiのスループットが落ちていることがあるが、75Mbps対応で改善できる」と岩崎氏は説明する。基地局のチューニングも行い、「山手線沿線上(のLTE接続率)は96%ほどに向上している。1〜2カ月前とは環境が違う」(岩崎氏)という。「無線のパラメーターの最適化を行い、山手線や中央線などの鉄道沿線で、よりLTE電波を捕捉するようチューニングしている。まずは山手線から注力し、この秋に集中的にやっている」

photophoto Xiへの移行が進むことで、Xiのトラフィックが増え、FOMAのトラフィックは減っている。これにより75Mbps化も進めやすくなる(写真=左)。山手線付近の75Mbps通信対応エリア。2012年9月には極めて限られたエリアしか対応していなかったが、2012年度末には多くのエリアが75Mbpsに対応していることが分かる(写真=右)

 岩崎氏は、ユーザーの利用シーンにマッチするようXiのエリア化を進めていくことも強調する。エリア化の重要なスポットの1つが「駅」だが、ドコモが29路線と486の駅で調査したところ、ホーム、改札口、駅周辺の店舗にて、いずれも約8割の場所でXiが利用できたという。商業施設やホテルなど屋内でのエリア化も積極的に進めており、2012年10月末時点で2200施設でXiエリア化を完了させている。2012年度内には全国53空港(現在は42空港)、新幹線は8路線97駅(現在は57駅)がXiエリア化する予定だ。

 高いスループットを出すには、基地局を密に設置して“エリア密度”を深めることも重要だ。「LTEはスループットを追求しているので、いくら面が広くても多くのお客さんが集まってくるとスループットが落ちてくる。密にLTE化を図れるよう、2年間で取り組んできた」と岩崎氏は説明する。東京23区と政令指定都市におけるドコモの基地局数(免許数)は、auとソフトバンクに比べて1.8倍多いという。

photophotophoto 駅周辺や屋内でのXiエリア化も進めている(写真=左)。空港や新幹線駅の多くもカバーしている(写真=中)。基地局を多く設置するのはもちろん、6方向に電波を吹く「6セクタ基地局」なども展開し、エリア密度を深めていく(写真=右)

6セクタ基地局やリモート設置基地局も展開

photo 屋外と屋内の基地局ラインアップ

 基地局のラインアップも豊富に展開していく。屋外には1つの基地局で1つの電波を吹く「オムニ基地局」と、3セクタに分割して電波を吹く「3セクタ基地局」、6セクタに分割して電波を吹く「6セクタ基地局」を設置する。オムニ基地局はトラフィックの低い場所で主に使い、トラフィックの多い場所では3セクタ/6セクタ基地局で対応する。「6セクタ局を使うことでシステム容量が向上する。乱暴に言えば1つの基地局で6局分の能力があるということ」(岩崎氏)。さらに、電波の届きにくい場所を補完するため、「リモート設置基地局」も増やしている。これは、アンテナを備えた子局とデジタル信号処理を行う親局を光ファイバーで接続し、親局から離れた場所に、複数の子局を不感知エリアに設置していくというもの。LTE導入時から設置しており、現在の子局はより小型化されている。

 屋内ではIMCS(Inbuilding Mobile Communication Sysyem:ドコモのビル内基地局設備)で大規模施設のエリア化を進める。こちらは下り最大75Mbpsと37.5Mbpsの局が混在している。岩崎氏によると、これはもともと1波(5MHz幅)しか使っていないことと、すでに2波を使える環境をビル内には作っているが、屋内のアンテナが(アンテナを複数用いる)MIMOを導入していないためだという。「ビル内はオーナーさんとの工事の調整が難しい場合がある。基地局装置は75Mbpsに対応しているので、アンテナ工事ができればMIMOを導入して75Mbpsになるよう準備している」(岩崎氏)

 あわせて、LTE対応のフェムトセルを12月から導入する。フェムトセルでは2×2 MIMOに対応させることで、LTEは2GHz帯で下り最大112.5Mbps、上り最大37.5Mbpsの速度を実現する。個人宅、オフィス、ドコモショップなど小規模な屋内への導入を想定しており、「年度内にできれば1000局ほど導入したい」(岩崎氏)とのこと。利用にはブロードバンド回線が必要になる。

photophoto LTE/3G対応のリモート設置型基地局とフェムトセル(写真=左)。リモート設置型基地局は導入当初より小型化されている(写真=右)
photophotophoto フェムトセルを手にする岩崎氏(写真=左)。2×2 MIMOのLTEに対応させたことで、初代フェムトセルよりもやや大きくなっているようだ(写真=中、右)
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