ハードの垣根を越えた“唯一なるもの” クラウドに船出するG'zOneブランド開発陣に聞く「G'zOne TYPE-L」(3/3 ページ)

» 2012年12月06日 17時26分 公開
[青山祐介,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

LIVE Gと連携するツールが増えた「G'zGEAR」

 シリーズの象徴ともいえる「G'zGEAR」は、フィーチャーフォンの「G'zOne CA002」から搭載されている“地球を感じるアプリ”である。G'zOne TYPE-LではIS11CAのものを引き継ぎ、LIVE Gの連携機能を搭載するなどのブラッシュアップが図られている。気圧センサーが搭載されたことで追加された「BAROMETER」のほか、IS11CAではプリインストールされていなかった「WALKING COUNTER」を新たに追加。また前述の通り、「TRIP MEMORY」がLIVE G上の地図でほかのユーザーとアクティビティログを共有できるなど、G'zWORLDの1要素となっている。

photophotophoto 「G'zGEAR」(写真=左)には、新機能である「BAROMETER」(気圧計)が追加された(写真=中央)。「TIDES」(潮位計)は端末内で簡易計算する方式から、ウェザーニュースが配信するデータを参照する方式に変わった(写真=右)

 「今回はウェザーニュースとのデータの連携、LIVE Gとの連携を強化しています。例えば、これまでのモデルでは『TIDES』(潮位計)で表示する潮位を端末内で計算していました。それはあくまでも簡易計算なので、最新のデータとは違っていました。そこで今回は、ウェザーニュースと連携してLIVE Gから最新の潮位データをダウンロードして表示できるようにしました」(後藤氏)

 このG'zGEARのLIVE G連携は、現在の手元の気温を表示する「THRMOMETER」でも、任意の都市の最高・最低気温を表示するのに利用できる。また、前述の「BAROMETER」では、手元の気圧傾向をLIVE Gにアップロードして、地図の上に周囲の気圧傾向をプロットして表示することが可能だ。

 「センサーとネットワークで、こうしたG'zGEARで表示する情報の精度を上げていくというのが今回の面白いところです。また、新たにジャイロセンサーを搭載しているので、例えば夜空に端末をかざすと星座が分かる『STSR GAZER』では、前作の「STAR PLATE」でカクカク動いていたものが、スムーズに動くようになりました。ランチャーは中がごちゃごちゃするので、カテゴリーを作って整理できるようなユーティリティも作成しました」(後藤氏)

ユーザーからの要望が圧倒的に多かった卓上ホルダ

 G'zOne TYPE-Lには、新たに専用の卓上ホルダを同梱した。本体を横位置でセットすると充電が始まり、専用の横画面が現れるという凝ったものだ。前モデルのIS11CAは卓上ホルダがなく、充電するにはMicroUSB端子のキャップを開けて充電しなければならなかった。キャップを閉め忘れると防水・防塵性がなくなるうえ、度重なる開閉で劣化する心配もあった。

photo G'zOne TYPE-Lの卓上ホルダ

 そのため、フィーチャーフォンのG'zOneで卓上ホルダで充電していたユーザーからは、かなり評判が悪かったという。この点ついては「ユーザーの方にも、メディアの方にもかなり指摘され、ネットでの反響をヘコみながら読んでいただけに、社内でもこれはさすがに次作で卓上ホルダに対応しないとダメだろうと判断しました」と佐合氏は説明する。

 また、Bluetoothは新たにVersion 4.0となり、Bluetooth low energy technologyにも対応した。カシオ計算機の腕時計「G-SHOCK」の対応モデルと接続することで、電話やメールの着信をG-SHOCK上で確認できたり、本体の気圧変化を時計に通知したりといった機能が使える。これはすでにドコモ2012年夏モデルのNECカシオ製「MEDIAS LTE N-04D」などのモデルで先行されていた機能だけに、G-SHOCKとブランドイメージが重なるG'zOneのファンとしては待望の機能だ。

photo Bluetooth対応の「G-SHOCK」と連携できる

 「G'zOneからG-SHOCKに情報を送るほかに、時計側からG'zOneを鳴動させてその場所を見つけられる機能もあります。今は気圧のようにG'zOneのセンサーの情報をG-SHOCKで表示する機能だけですが、G-SHOCKが進化すれば、時計側のセンサーで得た情報をG'zOneで活用するといったことも考えられますね。ただ、時計側でいろいろやろうとするとバッテリーが消耗するので、難しい面もあります」(佐合氏)

使い手と作り手の世界観がつながっているG'zOneシリーズ

 G'zOne TYPE-Lは、IS11CAユーザーやまだスマートフォンに乗り換えていないフィーチャーフォンのユーザーからの期待が詰まった最新作だ。開発陣としては、コアなファンやユーザーの声に1つずつ応えた自信作であることは間違いない。最後にそんなG'zOne TYPE-Lについて、それぞれの想いを語ってもらった。

photo

 「毎回、満を持してということになってしまいますが、デザインは常に進化を続けるべきであると考えています。ですから、ぜひ店頭で手に取ってみて、いろいろなところを眺めてもらって、ここが気に入った、気に喰わないということを、率直に私たちに伝えてほしいと思います。それが次のG'zOneの糧となって進化を遂げることができますから。ぜひ皆さんの声をお待ちしています」(杉岡氏)

 「作り手として、G'zOneが好きなユーザーがいるといつも意識して取り組んでいます。ユーザーの方々の要望があり、それが私たち構造設計やデザイナーにインプットされています。それに対してどう応えるのか。みんな同じ思いで作っている端末ですので、ぜひ手に取っていただきたいと思います」(和田氏)

 「G'zOneのファンの方にとっては、今回のものが最新のスペックに対応しているということで、きっとご満足いただけると思います。どこに行くにも持っていける端末として、最高のモデルだと思いますので、ぜひ皆さんも使って楽しんでいただければと思います」(永峯氏)

 「僕らが励まされるくらい、G'zOneユーザーの皆さんは世界観を持っていますよね。そんなユーザーの皆さんをつなげたいという一心で、今回はLIVE Gを立ち上げました。これから米国をはじめ、どんどんアクセスするユーザーが増えていってほしいですね。そして、LIVE Gの中でよりユーザー同士で新しい楽しみができるよう、いろいろな方々に協力してもらって盛り上げていきたいと思っています」(後藤氏)

 「今はiPhoneというすごい製品があり、メーカー各社がターゲットを同じくする製品開発を進めています。そうした環境の中で、我々のG'zOneは独自性が強い製品だと思います。トータルの台数が多くなくても、決まったファンの方々がいて、そういう人たちが継続的に買ってくれるモデルって、ほかの日本メーカーにはありません。そこを強みにして、ファンの皆さんの琴線に触れるモデルを作り続けていきたいと思っています」(佐合氏)

 「G'zOneというブランドは今年12年目となり、auでは一番歴史のあるブランドになりました。開発メンバーの全員が“G'zOneならでは”“G'zOneらしい”ということ常に意識して、モノづくりに携わっているというのがこのブランドの象徴的なことだと思います。これまで、“唯一なるもの”というブランドコンセプトを言い続けてきましたが、この“唯一なるもの”というキーワードが、特にこのスマホの時代になって、言い続けてきてよかったなと感じます。というのも、やはり今どのスマホを見てもスペックが同じで、ユーザーも何を買っていいか分からない、特徴が分からない、と言われています。その中でG'zOneの“唯一なるもの”があらためて評価されるのでないかと思います。iPhoneは、使い手と作り手の考えている世界観がつながっている製品の1つだと思いますが、まさに我々もそこを目指していて、12年やってきたことでそれが実を結んでいるのではないかと思います。ブランドとして、使っているユーザーに自分たちの想いが伝わるというのが非常に重要なことであり、そこにこだわり続けるというのが開発メンバー全員の考えです。そういう意味で、ユーザーを常に意識して、そこに突き刺さるものとして作ったG'zOne TYPE-Lをぜひ楽しんでいただきたいと思います」(高木氏)

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年