インタビュー
» 2013年01月25日 17時48分 UPDATE

2013 International CES:Huaweiの“強み”とは?――「Ascend D2」「Ascend Mate」の狙いとスマホ戦略を聞く (1/2)

「不可能を可能にする」――そんな社是のものと、チャレンジ精神を持ってインフラ事業や端末事業を展開しているHuawei。今回はCESで発表したAscend D2とAscend Mateの狙いや優位性、そして日本市場への取り組みについて聞いた。

[田中聡,ITmedia]

 2015年までに世界トップ3の携帯電話メーカーになる――。これはHuaweiが掲げている目標だ。今年のCESでは、中国と韓国メーカーが大きな存在感を放っており、Huaweiもその一翼を担っていたと言える。

 同社はCESで「Ascend D2」「Ascend Mate」という2つのスマートフォンを発表。Ascend D2はフルHD液晶にクアッドコアCPU、3000mAhバッテリーなど強力なスペックを持つほか、側面にステンレスのフレームを用いるなどデザインや質感にもこだわった。Ascend Mateは、スマートフォンとしては最大クラスの6.1インチ液晶や4050mAhバッテリーを搭載した意欲作。日本では、Ascend D2の4.7インチ版である「Ascend D2 HW-03E」が発表され、国内最速の下り112.5MbpsのLTEをサポートする。Huaweiのスマートフォンといえば、ローエンドからミドルクラスのモデルが主流だったが、Ascend D2とAscend Mateは紛れもないハイエンドモデル。Huaweiはこれら2機種をどのような狙いで投入するのか。また日本市場へはどのような姿勢で取り組んでいくのか。CESの会期中に、Huawei ハンドセット プロダクトライン プレジデントのケビン・ホウ(Kevin Ho)氏と、ファーウェイ・ジャパン 端末統括本部 プロダクトセンター 商品企画部長の伊藤正史氏に話を聞いた。

photo Huaweiのケビン・ホウ氏とファーウェイ・ジャパンの伊藤正史氏

フルHDスマホ「Ascend D2」の強みは防水と金属質感

photo ホウ氏

――(聞き手:ITmedia) Ascend D2とAscend Mateはどちらもスペックが高く、先進的な技術が導入されていますが、どのように棲み分けていくのでしょうか。

ホウ氏 Ascend D2は、最新の技術すべてを詰め込んだ端末です。ディスプレイはフルHD(1080×1920ピクセル)という最高の解像度、カメラは13メガピクセル、スピーカーも最新の部品を使っています。フレームには本物の金属を使っています。最新の技術を駆使して、お客様により豊かな生活を送っていただくことが、Ascend D2のコンセプトです。

 一方、Ascend Mateはトータルバランスを重視したモデルです。6.1インチという大きなディスプレイを実装したのは、弊社の調査に基づいています。5.5から6.5インチまで、0.1インチごとにモックアップを作って調査したところ、大きい画面と持ちやすさを両立できるベストなサイズが6.1インチだと判断しました。またバッテリーは4050mAhと大きく、普通に使えば2日間は持ちます。残り20%でも800mAhほどなので、(残量が少なくても)安心して通話ができます。

伊藤氏 Ascend D2は、20〜30代の男女により広く使っていただきたいと考えています。またエリアごとにバリエーションを持たせるため、4.7インチのモデルも同時に開発をしています。継ぎ接ぎのないシームレスなデザインを目指し、ラウンドを付けて持ちやすさにもこだわりました。(フレームのステンレスによって)リアルマテリアルの風合いも感じていただける、心地よい端末に仕上がっています。

 Ascend Mateは、より革新的な端末です。6.1インチは、スマートフォンとタブレットの中間に位置するサイズだと思いますが、スマートフォンとして使っていただける上限だと考えました。また、ソフトウェアキーボードを左右の端に寄せるUI(ユーザーインタフェース)を採用するなど、無理なく片手でも操作できるよう工夫しました。

photophoto 「Ascend D2」(写真=左)と「Ascend Mate」(写真=右)
photo Windows Phone 8搭載の「Ascend W1」

―― HuaweiさんはAscendでD、P、G、Yの4つのシリーズを展開していますが、Mateはまったく新しいカテゴリーに含まれるのでしょうか。またDやPのように継続して展開していくのでしょうか。

ホウ氏 Mateは独立したカテゴリーの商品です。継続展開の可能性はありますが、市場の動向を見て判断したいと思います。

伊藤氏 Ascend D、P、G、YはAndroidを中心に展開していますが、OSにWindows Phone 8を採用した「Ascend W」もあります。既存のシリーズにこだわらず、継続してラインアップの拡大を図っていきたいと思います。

―― 今回のCESではソニーモバイルさんの「Xperia Z」やZTEさんの「Grand S」など、5インチフルHDディスプレイを搭載したスマートフォンがいくつか発表されましたが、Ascend D2の強みはどこにあるとお考えでしょうか。

ホウ氏 まずは「防水」が挙げられます。グローバルモデルで防水性能を備えたモデルはあまりありません。5インチフルHDディスプレイに防水を対応させたことは1つの強みです。あとはバッテリー容量が3000mAhと大きいことです。フルHDディスプレイを動かすことでバッテリーの消費も増えるので、使用時間をしっかり保つことが重要だと考えます。また、日本のメーカーさんに提供いただいた1300万画素カメラや、(半径1.5メートル以内でクリアな音声を録音できる)スーパーハンズフリーという独自の機能も実装しています。トータルでは弊社の方が良い端末だと思います。

伊藤氏 防水はソニーモバイルさんも(Xperia Zで)対応されていますが、Ascend D2ではメタルフレームと防水を両立させることに苦労しました。このフレームの完成には116もの工程を必要としています。“リアルマテリアル”の実現にこだわり、持ったときのヒンヤリとした質感を得られます。

photo Ascend MateやAscend D2から、他の端末への充電も可能

ホウ氏 ちなみに、Ascend D2とMateは大容量のバッテリーを搭載しているので、ほかのスマートフォンを充電することもできます。

―― 通常のスマートフォンでは、30〜40ほどの工程でメタルフレームを作っていると聞きましたので、116は多いですね(※なお、ドコモ向けAscend D2 HW-03Eには、残念ながらステンレスではなくプラスチックのフレームが使われている)。

ホウ氏 持ちやすい構造にするのに複雑な設計になったので、かなりチャレンジングでしたね。ステンレスを使ったのは、金属の質感をしっかりと感じてもらい、より良いユーザー体験を提供するためです。

―― ただ、筐体に金属を使うと、電波干渉のリスクが高まると思います。

ホウ氏 おっしゃるとおり、金属を使うと電波干渉をする恐れがあるので、そこはかなり苦労しました。ただ、Huaweiは(基地局など)インフラ事業もやっているので、そこでの経験を生かして何とか解決しました。無線性能は問題なく保っています。

「マジックタッチ」や「Emotion UI」で使いやすさも訴求

―― Ascend Mateについて質問です。競合製品のGALAXY Noteはペンを使った操作法を提案していますが、Ascend Mateではペン操作の提案や訴求はしないのでしょうか。

ホウ氏 Ascend Mateの原点は“片手で使いやすい大画面スマートフォン”です。片手で操作しやすいUIや、Huawei独自の音声入力も実装しています。もちろんGALAXY Noteを使っている方もたくさんいらっしゃるので、そういった方(Noteから乗り替える人)のために、オプション品としてペンも用意します。

伊藤氏 ペン入力とは違いますが、Ascend D2とAscend Mateは、手袋をしてもタッチ操作ができる「マジックタッチ」に対応しています。またUIについては、Huawei独自の「Emotion UI」をAscend D2とAscend Mate共通で入れています。このUIでは、使いたい機能に簡単に到達できるような工夫を入れています。例えば、1つのウィジェットの中に天気予報、連絡先、ギャラリー、ミュージックプレーヤーなど複数のコンテンツを貼り付けられるようにしています。また、利用シーンに応じて設定を一括で変えられる「プロファイルスイッチャー」という機能も用意しています。

photophoto カレンダー、連絡先、ミュージックプレーヤーなど複数のコンテンツを1つのウィジェットにまとめられる。コンテンツは変更可能だ。また、アプリトレイを用意せず、ホーム画面上だけでアプリを管理できるのも特長だ(写真=左)。設定を一括で変更できる「プロファイルスイッチャー」(写真=右)

―― マジックタッチはどのように実現しているのでしょうか。

伊藤氏 通常のタッチパネルでは、手袋をしていると位置を正しく検出できず、誤認識してしまうことが多かったのですが、手袋で触っても確実に検出できるようにチューニングしています。

―― Ascend D2とAscend Mateには、データ通信をしていないときに基地局との接続を制御する「QPC(Quick Power Control)」と、ネットワークの状況に応じて基地局との通信(間欠受信)を自動化する「ADRX(Automated Discontinuous Reception)」を搭載しています。これは今回初めて搭載した技術なのでしょうか。

ホウ氏 今回正式に発表しましたが、以前の機種にも部分的に搭載しています。(Androidでは)ユーザーが使っている裏でアプリが通信していて、こういったところがバッテリーの消費に影響します。QPCとADRXでは、実際の利用には影響を与えない範囲でこうした消費電力を抑えられます。

―― Wi-Fiアンテナを2つ搭載することで、Wi-Fi接続時の通信速度を向上させていますね。

伊藤氏 この技術もAscend D2とAscend Mateで初めて搭載したものです。Wi-Fiアンテナを調整することで、ほかのアクセスポイントからの電波などの干渉を減らすようにしています。

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