MVNOユーザーを混乱させるiOS「キャリアプロファイル」問題――KDDIはiPad向けにプリペイドプランを準備か?石川温のスマホ業界新聞

» 2014年06月20日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 ドコモ向けiPad Air/iPad miniが6月10日に発売となった。iPhoneの時と違い、盛り上がりに欠けている感があるが、iPad Air/iPad miniが発売されて、すでに半年以上が経過していることを考えれば、仕方のないことだろう。

 今回のiPad Air/iPad mini発売で、ちょっとした騒動となっているのが、MVNOだ。これまで、SIMフリー版iPad Air/iPad miniで利用できていた「インターネット共有機能(テザリング)」が使えなくなってしまったのだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年6月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 原因は「キャリアプロファイル」だ。これまでのバージョンは「Carrier16.1」であったが、NTTドコモからiPad Air/iPad miniが発売されるということで、5月31日に「ドコモ 16.2」が配布されたのだった。これにより、MVNOのSIMカードでは、「インターネット共有機能(テザリング)」が使えなくなったのだ。

 ようやく、MVNOにおけるSIMカード市場が盛り上がってきたのに、水を差す結果となってしまった。アップルは、アップルストアでSIMロックフリーiPhoneを発売し、NTTドコモのiPad Air/iPad mini参入で、こちらにもSIMロックフリー版が出るのではないかと、期待されている。

 しかし、過去にもiOSのメジャーアップデートやキャリアアップデートがかかる度に、MVNOが戦々恐々として検証作業に追われるという事を繰り返している。ユーザーとしても、アップデートがかかる度に「今契約しているMVNOのSIMカードは使い続けられるのだろうか」と不安になる状況は何とか改善する必要があるだろう。

 その点、MVNOとして老舗であるIIJは、いち早く対応状況をブログにアップし、解説記事を載せてくれるのでとても親切だ。ここ最近、格安スマホブームでMVNOが盛り上がりを見せているが、最終的にはこうしたサポート体制が充実しているMVNOが生き残っていくのではないだろうか。

 ところで、このiOSにおける「キャリアプロファイル」問題、個人的には結構、興味深く、面白い事象としてとらえている。

 iOSデバイスは、当然ながら、各キャリアとも同じ仕様である。「究極のマルチキャリアデバイス」といえるのだが、この「キャリアプロファイル」だけが、キャリアの個性が出てくる部分であり、注目しているところだったりするのだ。

 例えば、先頃、KDDI向けiOSデバイスに配布された「KDDI 16.1」では、アンテナピクトの表示が「LTE」から「4G」に変更された。

 夏モデルのAndroidスマホも、今回からLTEではなく4Gという表記に変わっている。夏モデルはWiMAX2+ことTD-LTEに対応したため、こうした表記になったのだろう。そう考えると、次期iPhoneでは、TD-LTEに対応する可能性が俄然高くなったといえる。

 実は「KDDI 16.1」には、もうひとつ、世間ではあまり知られていないアップデートがある。iPad向けなのだが、「KDDI 16.1」を適用したiPadでは「モデルデータ通信」という項目に「アカウントを表示」というメニューが登場するようになるのだ。ここをタッチするとauのロゴが表示されると共に「当メニューは現在提供しておりません」というメッセージが出てくる。

 ちなみにこの「アカウントを表示」というメニューはアメリカのAT&TやベライゾンのSIMカードを挿したiPadだと、IDとパスワードでログインした後、プリペイドの契約ができたり、追加のデータ量を購入できたりする項目になっている。

 つまり、KDDIとしても、今後、au IDを入力させて、iPad向けのコンテンツを使いやすくしたり、あるいは、iPad向けに新しいデータシェア料金、あるいはプリペイド向け料金プランを設定してくる可能性がある、というわけだ。

 いまだにNTTドコモ対抗料金を発表してこないことを考えると、KDDIはこうした仕組みを利用した上での、新しい料金施策を考えているのかも知れない。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年